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佐賀アジアドリームズ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
佐賀アジアドリームズ
SAGA ASIA DREAMS
会社名 NEO ASIA JAPAN株式会社
創設 2023年
所属リーグ
九州アジアリーグ(準加盟)
歴代チーム名
  • 佐賀インドネシアドリームズ (2024年)
  • 佐賀アジアドリームズ(2025年[注釈 1] - )
本拠地
武雄市民球場(ひぜしんスタジアム)
嬉野総合運動公園野球場(みゆき球場)
佐賀県武雄市嬉野市
獲得タイトル
成績(タイトル以外)
球団組織
オーナー 福原佑二
GM 山下翔一
監督 香月良仁
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NEO ASIA JAPAN株式会社
種類 株式会社
本社所在地 日本の旗 日本
843-0301
佐賀県嬉野市嬉野町大字下宿乙369
設立 2023年6月28日
法人番号 3300001013356
代表者 福原佑二
外部リンク https://saga-asia-dreams.jp/
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佐賀アジアドリームズ(さがアジアドリームズ[注釈 2]、Saga Asia Dreams)は、佐賀県を拠点とする日本独立リーグプロ野球球団。九州アジアリーグ(ヤマエグループ 九州アジアリーグ)に準加盟し、2024年より一部の公式戦に参加している。リーグ日程表等での略称は「佐賀[2][注釈 3]。発足当時の球団名は「佐賀インドネシアドリームズ」であったが、2025年1月23日に変更した[4]

概要

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発足時点では野球インドネシア代表メンバーを中心に、スリランカフィリピン出身も含めた計5か国の選手で構成される[5]。選手たちはそれまでの本業を退職してプロ選手として参加する[6]。2024年3月時点の所属選手には日本人も含まれている[7]

武雄市ひぜしんスタジアム[注釈 4]嬉野市みゆき球場を本拠地にする[9]

2023年4月の発足記者会見時点では、球団社長の福原佑二のほかに、元千葉ロッテマリーンズ選手の香月良仁(佐賀県に隣接する福岡県久留米市出身)やペライチ創業者の山下翔一、インドネシア代表やスリランカ代表で監督を務めた野中寿人らが共同代表を務めている[10][注釈 5]。同年11月に、香月は監督を、山下はGMを、それぞれ務めることが明らかにされた[9][12]。インドネシア本国では国営放送で球団の話題が取り上げられたという[6]。その後も2024年シーズンにはインドネシア、スリランカ、シンガポールから現地大手メディアが取材に訪問し、公式の配信動画へのアクセスは9割が日本国外からとされる[13]

リーグ準加盟承認当時は2025年の正式加盟を目指していた[14]。初年度シーズン終了後の2024年10月1日に、リーグを取材してきたライターの田尻耕太郎は「来季も準加盟球団としてシーズンに臨む」と記し、その理由として2024年の4倍近い試合数を消化できるだけの体力や経験が選手に不足しているという判断ではないかと述べた[13]。2025年1月23日に球団が開いた同年度の体制発表会で、引き続き準加盟になることを明らかにした[15]

リーグでの活動

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2023年9月時点では、2024年は準加盟球団として一部の公式戦(報道では「24試合」または「約30試合」)に参加するとしていた[5][14][12]

2024年2月9日に発表されたリーグの公式戦日程では、加盟4球団との間で1カード当たりホーム・ビジター各2試合ずつの合計4試合(総計16試合)を実施する予定(このほかに予備日が各カードで2試合ずつ設定されており、公式戦を予定通り消化した場合には練習試合を実施)[2]。公式戦ホームゲーム開催球場は、ひぜしんスタジアムが4試合、嬉野総合運動公園が2試合、未定が2試合だった[2]。しかし、3月7日に発表された修正版の日程では、対大分B-リングス戦のホームとビジターの日程が入れ替えられ、当初嬉野とされていた佐賀ホームの2試合(および予備日程)の球場は未定となった[16]。その後、5月16日に球場未定だった対北九州下関フェニックス戦2試合が日程変更の上で嬉野となった(対大分戦2試合は日程ともに未定)[17]。6月18日に、未定だった対大分戦2試合がひぜしんスタジアムで8月に開催されることが発表された[18]。これにより主催試合の球場別試合数はひぜしんスタジアムが6試合、嬉野が2試合となった。

2025年1月23日に同年度の体制発表会を開き、席上で24試合を実施する予定と明らかにした[15]

なお、公式戦での佐賀所属選手の記録は、個人成績の表彰対象外である[19]

沿革

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発足時点で球団社長を務める福原佑二が2018年に野球指導のためインドネシアを訪問した際、野球を教えても現地で続けられる環境がないことを知り、現地での社会人チーム創設や日本の社会人野球や独立リーグへの選手入団も困難なことから自らチームの結成に動いた[20]。この動きには、全日本野球協会会長の山中正竹からも「野球の発展には世界の人口の半分が住むアジアでの普及が必要」と激励を受けた[20]

2023年

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  • 4月21日 - 球団関係者が熊本市で記者会見を開き、2024年からのリーグ戦参加を表明[10]。この時点では球団名は未決定だった[21]
  • 9月27日 - 九州アジアリーグが準加盟を承認し、2024年に一部公式戦への参加を認めることを発表した[5][14]
  • 11月2日 - 球団名を発表するとともに、武雄市・嬉野市をホームタウンとする協定を両市との間で調印した[9]。また山下翔一がGMを、香月良仁が監督を務めることも明らかにされた[9][12]

2024年

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  • 3月28日、嬉野市の和多屋別荘で体制発表会を実施した[22][23]。この席で球団ソング『We are DREAMS』も発表された[24]
  • 4月12日、リーグより登録選手と背番号が発表された(監督・コーチは全員選手兼任となる)[25]。登録外選手についてもチームウェブサイトで背番号が掲載されている。
  • 4月13日、初のリーグ公式戦となる対宮崎サンシャインズ戦をひぜしんスタジアムで開催(0-17で敗戦、リーグ規程により7回得点差コールド)[26]。試合に合わせて球場周辺でイベントも開かれ、イベントを含めた来場者は3811人を記録した[27]
  • 4月 - 球団運営会社を嬉野市に移転[28]
  • 6月7日、元東京ヤクルトスワローズ選手の水野祐希がコーチに就任することが発表された[29]。7月11日に水野は選手兼任となることが明らかにされた[30]
  • 6月9日の対火の国サラマンダーズ戦で、リーグ初となる完全試合を喫する(スコア0-11、相手投手は松江優作)[31][3]
  • 9月1日に当シーズンの公式戦を終了し、16試合全敗の結果だった[32][33]。なお、練習試合では9月4日の対北九州下関フェニックス戦で勝利をあげている[13]

2025年

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  • 1月23日、球団名を「佐賀アジアドリームズ」に変更することを発表[4]。同日武雄市内で2025年シーズンの体制発表会を開き、改名の理由についてGMの山下翔一は「アジア全体に野球を普及させるとの思いを強くした」と説明した[15]

運営

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球団は、野中寿人らが中心に設立した「NEOアジアプロ野球機構」の傘下団体という位置づけである[6]。球団はインドネシアとの関係を生かした産業活動の仲介(スポーツ関連事業や水産業)を事業としておこない、そこからも資金を得る方針と報じられている[6]。球団社長の福原は、2024年6月の時点で15社のスポンサーが集まり、初年度から黒字の見込みと取材に対して述べている[20]

共同代表の野口のブログによると、佐賀市の球団事務所の所在地は彼の実家で、インドネシアに母体を持つ球団の事務所を置いているのは、リーグ規定上日本に法人組織を設置することが必須とされているためであるという[34]

スポンサー企業から無償提供された嬉野市内の集合住宅を選手の宿舎に使用し、食費や光熱費も球団が負担している[20]。その後の報道では選手の生活拠点は和多屋別荘の施設であったとされ、試合や練習のないときには選手が農作業の支援や夏祭りへの参加など地域と交流する機会を持った[35]。リーグ代表の徳丸哲史は、「(引用者注:加盟球団に比較して)試合数が少ない分、地域とふれあう機会が多くなった。こういった活動が必要と感じました」と述べている[35]

2024年のシーズン終了後の取材に対してGMの山下は、2025年は選手の出身国の数を14 - 15に増やすとともに、選手を育成するファーム組織を発足させる構想を示した[13]。2025年1月23日の同年シーズン体制発表会では、新たにパキスタンカンボジアドイツの選手が加わり、選手の出身は8か国になると説明された[15]。ほかにベトナムフィリピンからも選手入団について問い合わせがあったとGMの山下は述べている[15]

選手・スタッフ

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指導者・選手は

所属選手については当初球団ウェブサイトのみでの発表だったが、公式戦を控えた2024年4月12日にリーグウェブサイトで「開幕登録選手」が公表された[36]

脚注

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注釈

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  1. ^ 厳密には同年1月23日から。
  2. ^ 同じ言葉を球団名に採用しているベースボール・チャレンジ・リーグ神奈川フューチャードリームスは「ドリーム」である。日本では「タイガース」など、複数形の「S」を英語で濁っても澄んだ発音で表記する球団名の例が存在すると指摘されている[1]
  3. ^ 一球速報.comは2024年シーズンに、リーグ公式とは異なる「佐賀インドネシア」とする表記を一部で使用していた[3]
  4. ^ 正式名称は「武雄市民球場」[8]
  5. ^ 共同代表4名は、インドネシア本国初のプロ野球チームである「アジアゴールデンラークス」にも運営に関与している[11]

出典

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  1. ^ 井上章一 (2017年9月3日). “井上章一の大阪まみれ 英語に背を向けたタイガー「ス」 ありえない響きにマスコミも学生もすっかり馴染み…”. 産経新聞. https://www.sankei.com/article/20170903-V6CM5PNANNOJJBW74MSNPSCAMQ/ 2023年11月3日閲覧。 
  2. ^ a b c 2024年日程表 (PDF) - 九州アジアベースボールリーグ(2024年2月9日)2024年2月13日閲覧。
  3. ^ a b 火の国vs佐賀インドネシア ボックススコア - 一球速報.com
  4. ^ a b 佐賀インドネシアドリームズ 球団名変更のお知らせ - 九州アジアベースボールリーグ(2025年1月23日)2025年1月23日閲覧。
  5. ^ a b c “インドネシアが独立リーグへ 東南アジア初のプロ野球球団”. 沖縄タイムス共同通信配信). (2023年9月27日). オリジナルの2023年11月3日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20231103010222/https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1229844 2023年11月3日閲覧。 
  6. ^ a b c d “〝東南アジアの大谷翔平〟は誕生するか? 独立リーグ・佐賀の挑戦”. 東京スポーツ. (2023年11月19日). https://www.tokyo-sports.co.jp/articles/-/283302 2023年11月19日閲覧。 
  7. ^ TEAM - 佐賀インドネシアドリームズ(2024年3月20日閲覧)
  8. ^ “7月オープンの武雄市民球場、愛称は「ひぜしんスタジアム」 佐賀県初の全面人工芝”. 佐賀新聞. (2022年5月26日). https://www.saga-s.co.jp/articles/-/860513 2023年11月3日閲覧。 
  9. ^ a b c d “武雄・嬉野に新球団「佐賀インドネシアドリームズ」 両市とホームタウン協定 九州独立リーグに参加”. SAGA SSP(佐賀新聞からの転載). (2023年11月2日). https://ssp.saga.jp/sponews/4477/ 2023年11月3日閲覧。 
  10. ^ a b “アジア発展途上国初のプロ野球チーム設立 2024年から独立リーグ九州アジアリーグ参戦へ”. Full-Count. (2023年4月21日). https://full-count.jp/2023/04/21/post1369073/ 2023年11月3日閲覧。 
  11. ^ インドネシア初プロ野球チーム『アジア ゴールデン ラークス』とは - ジョグジャラン(2023年6月8日)2023年11月3日閲覧。
  12. ^ a b c “野球独立リーグにインドネシア選手たちの球団が参入”. 九州朝日放送. (2023年11月2日). オリジナルの2023年11月3日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20231103005226/https://kbc.co.jp/news/article.php?id=11123584&utm_content=uzou_5&utm_source=uzou 2023年11月2日閲覧。 
  13. ^ a b c d 田尻耕太郎 (2024年10月1日). “独立球団では異例の“2軍”を来季発足か。佐賀インドネシアドリームズが描く未来図とは”. Yahoo!ニュース. https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/216524390f330929580d0f9c51e63d0e6907f816 2024年10月29日閲覧。 
  14. ^ a b c ヤマエグループ九州アジアリーグ インドネシア球団準加盟承認 - ウェイバックマシン(2023年10月11日アーカイブ分) - 九州アジアプロ野球機構(2023年9月27日)2023年11月3日閲覧。
  15. ^ a b c d e “「佐賀インドネシアドリームズ」から「佐賀アジアドリームズ」に 独立リーグ参戦2年目 2025年の体制発表”. 佐賀新聞. (2025年1月26日). https://www.saga-s.co.jp/articles/-/1397530 2025年2月1日閲覧。 
  16. ^ 2024シーズン日程(3月7日更新) (PDF) - 九州アジアベースボールリーグ(2024年3月7日)2024年3月8日閲覧。
  17. ^ 振替試合日程及び公式戦日程変更 - 九州アジアベースボールリーグ(2024年5月16日、添付のPDFも参照)2024年5月16日閲覧。
  18. ^ 振替試合日程(4月21日、5月11日・12日分) - 九州アジアベースボールリーグ(2024年6月18日、リンク先のPDFを参照)2024年6月19日閲覧。
  19. ^ 2024年度九州アジアリーグ公式戦ルール (PDF) - 九州アジアベースボールリーグ(2024年2月27日)2024年3月9日閲覧。
  20. ^ a b c d “日本初インドネシア選手主体の新プロ球団 狙うNPB入りと世界4位の2・7億人市場開拓”. 産経新聞. (2024年6月1日). https://www.sankei.com/article/20240610-GGMRGJMRMFLAHBPAIBUO2YZEP4/ 2024年6月10日閲覧。 
  21. ^ “インドネシア“代表”が独立リーグ参戦「九州アジアL」足掛かりに野球の国際化へつなげたい”. 日刊スポーツ. (2023年4月27日). https://www.nikkansports.com/baseball/column/baseballcountry/news/202304260000338.html 2023年11月3日閲覧。 
  22. ^ “佐賀インドネシアドリームスが体制発表 インドネシア代表など24人所属 4月から九州アジアリーグ参戦”. 佐賀新聞. (2024年3月28日). https://www.saga-s.co.jp/articles/-/1217522 2024年3月29日閲覧。 
  23. ^ “佐賀インドネシアドリームズ 開幕を前にチームの体制発表”. NHK佐賀放送局. (2024年3月29日). https://www3.nhk.or.jp/lnews/saga/20240329/5080016812.html 2024年3月29日閲覧。 
  24. ^ “ロ野球独立リーグに参入「佐賀インドネシアドリームズ」決起集会・球団ソング発表【佐賀県】”. サガテレビ. (2024年3月29日). https://www.sagatv.co.jp/news/archives/2024032916196 2024年3月29日閲覧。 
  25. ^ 開幕選手-佐賀 (PDF) - 九州アジアベースボールリーグ(2024年4月12日)2024年4月12日閲覧。
  26. ^ “新たな歴史の第一歩 異色の外国人選手中心のチーム・佐賀インドネシアドリームズの初陣は大敗”. 西スポWEB OTTO!. (2024年4月13日). https://nishispo.nishinippon.co.jp/article/828823 2024年4月13日閲覧。 
  27. ^ 田尻耕太郎 (2024年4月14日). “近鉄、オリックス、巨人で活躍の香月良太。異色の独立球団で「兄弟タッグ」。現役復帰し登板も!”. Yahoo!ニュース. https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/660f814cced936c4ab0f267a56c6d0926459601d 2024年4月14日閲覧。 
  28. ^ About us - 佐賀インドネシアドリームズ
  29. ^ 佐賀インドネシアドリームズ コーチ就任のお知らせ - 九州アジアベースボールリーグ(2024年6月7日)2024年6月7日閲覧。
  30. ^ 佐賀インドネシアドリームズ 新入団選手のお知らせ - 九州アジアベースボールリーグ(2024年7月19日)2024年7月19日閲覧。
  31. ^ 九州アジアリーグ [@kyushuasia] (2024年6月9日). "2024年6月9日のポスト". X(旧Twitter)より2024年6月9日閲覧
  32. ^ “宮崎サンシャインズがホーム最終戦で佐賀インドネシアドリームズにコールド勝ち!”. 西スポWEB OTTO!. (2024年9月1日). https://nishispo.nishinippon.co.jp/article/857837 2024年9月26日閲覧。 
  33. ^ 佐賀インドネシアドリームズ 2024ヤマエグループ九州アジアリーグ - 一球速報.com
  34. ^ 外国人監督の•••佐賀インドネシアドリームス〜ホームタウン提携結締 - 元インドネシア代表監督、スリランカ代表監督(野中寿人- 66番の部屋(ブログ、2023年11月7日)2024年3月9日閲覧。
  35. ^ a b “16戦全敗、多国籍チームが示した独立リーグの存在意義 九州アジアリーグが目指す「すそのからの野球普及」”. 西スポWEB OTTO!. (2024年12月25日). https://nishispo.nishinippon.co.jp/article/881900 2024年12月26日閲覧。 
  36. ^ 開幕登録選手 - 佐賀 (PDF) - 九州アジアベースボールリーグ(2024年4月12日)2024年4月12日閲覧。

外部リンク

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