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代用卵

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
Just Eggブランドの卵代替品
Just Eggブランドの卵代替品

代用卵(だいようたまご、: egg substitutes)とは、鶏卵の代用品である。また、代替卵ともいう[1][2]

植物や魚などを使って卵に似せた卵液状態やオムレツの状態などにした食品である[3][1]。植物由来の素材を使ったものは、植物性卵とも呼ばれる[4][5]。一般的な流通形態としては紙パックなどの容器に溶き卵のような状態で封入されて販売されている。(欧米では殻を除いた鶏卵が紙パックに入れられ売られているが、日本では業務用に限られる。)[要出典]

元々は卵が高価な食品だった時代に安い代用食品として誕生したものだったが[要出典]、卵に対してアレルギーを持つ人間やベジタリアンなどに需要がある。

近年では畜産業の及ぼす環境負荷や動物福祉と言う側面から代替卵に注目が集まっている[2]。「卵代替食材市場 調査レポート2020-2026」によると、世界の卵代替原料の市場規模は、2020年の13億3960万ドルから 2026 年までに17億6450万ドルに達すると予測されている[6]。米国では、2019年から2020年にかけて、代替卵市場は約2.7倍に成長した[7]ビル・ゲイツも代替卵のスタートアップを支援する[8]

日本国内でも2021年6月、大手マヨネーズメーカーのキユーピーが、「健康志向の高まりと地球環境への配慮の観点」から国内初の代替卵商品を発表した[9]。また、農林水産省は、2023年に植物性代替卵企業に9億1千万円を助成した[10]

主な用途

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  • 卵に対してアレルギーを持つ人が食べる[1]
  • 糖尿病肥満などの理由でカロリーを控えた食事をする必要のある人が食べる[1]
  • ベジタリアンなどの思想的、宗教的理由により卵を食べることが出来ない人が食べる[1]
  • ウイルス感染症などの要因で食用卵の供給の滞りにより価格が高騰した際の代用供給[1]
  • 健康志向の料理素材用。完全な代用品ではなく、本来の卵と合成とする場合もある。
  • 環境や動物福祉への配慮という持続可能な社会への試み[1][9]

原料

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  • 豆乳ベース[4]
  • こんにゃく[5]
  • ニンジンや白インゲン豆[11]
  • 緑豆[12]
  • スケソウダラ[3]

カロリーコレステロールを控える意味で卵の白身のみに脱脂粉乳と黄色色素を加えた物と、完全な植物性の原料としてトウモロコシ澱粉とジャガイモ澱粉などにゼラチンアルギン酸ナトリウムを添加した製品がある[要出典]

代替卵拡大の背景

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畜産由来の卵に比べて、植物性代替卵は、水の使用量98%減、土地の使用量83%減、二酸化炭素排出93%減と言われる[13]。このような環境負荷という観点から、穀物メジャーカーギルネスレケロッグなど、従来の卵に変わる代替卵を導入するグローバル企業は、近年増加している[14][15][16][17][18][19][20]

代替卵拡大の別の背景には動物福祉がある[1]。近年の代替卵拡大の先駆者と言われるのがEat Just英語版(イート・ジャスト)社[21]で、同社は代替卵の販売先としてコンパスグループセブンイレブンなどの大口顧客を持ち[22]、養鶏大手のドイツの家禽大手PHW Groupや、グローバルフードサービスであるソデクソとも代替卵販売のパートナーシップを結んでいる[13][23]。イート・ジャスト社もまた、代替卵に取り組む理由の一つに動物福祉を挙げている[24]

假鸡蛋

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1990年代半ば以降の中国では、假鸡蛋と呼ばれる偽卵が登場し、2005年に中国全土に広まった[25]炭酸カルシウムパラフィン、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、色素などを合成して作られた偽卵が市場に出回り問題視された。製造コストは本物の卵の十分の一程度だが、この中国の偽卵を食べ続けると記憶障害や認知症になる危険性が指摘されている[26]。ただし、假鸡蛋とされるものは、毒性物質のゴシポールが混入して性質が変化したもの[27]、他国の報道が玩具を誤解したものである可能性も指摘されている[28]

脚注

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  1. ^ a b c d e f g h 日本放送協会. “最近よく聞く「代替卵」って何?|サクサク経済Q&A|NHK”. NHK NEWS WEB. 2023年5月20日閲覧。
  2. ^ a b 卵だけどたまごじゃない! 価格高騰で注目が集まる「代替卵」とは?大手食品メーカーやベンチャー企業も続々参入【news23】”. TBS NEWS DIG (2023年4月5日). 2023年5月17日閲覧。
  3. ^ a b https://www.facebook.com/wwwjijicom.+“卵代替品に脚光 魚や植物が原料、販売好調:時事ドットコム”. 時事ドットコム. 2023年5月21日閲覧。
  4. ^ a b 日経クロストレンド. “キユーピー植物性卵「HOBOTAMA」 卵アレルギーの人の福音となるか”. 日経クロストレンド. 2023年5月17日閲覧。
  5. ^ a b 【今話題】こんにゃくからできた植物性卵「UMAMI EGG」がEXPOで食べられる PRTIME
  6. ^ Egg Replacement Ingredient Market”. 20240208閲覧。
  7. ^ 3Dプリンター肉のSavorEatが代替卵に特化したスタートアップEgg’n’upを設立”. 20240208閲覧。
  8. ^ Clever marketing can lift your egg price”. 20240421閲覧。
  9. ^ a b キユーピーが提案するサステナブルな食生活とは。代替卵「HOBOTAMA」にも注目”. 20240208閲覧。
  10. ^ 農林水産省中小企業イノベーション創出推進事業(フェーズ3基金)の第1回公募の採択結果について”. 20240208閲覧。
  11. ^ 植物性由来の「代替たまご」とは?鳥インフルで卵不足のなか発売 TVasahi
  12. ^ 豆から卵。緑豆を使った植物由来の液体卵「JUST Egg」は味も栄養面もニワトリの卵レベル(アメリカ) カラパイア
  13. ^ a b JUST & Sodexo Partner on a Breakfast Solution for a Better Tomorrow FEBRUARY 06, 2020”. 20240208閲覧。
  14. ^ MorningStar Farms® Announces 100 Percent Plant Based Commitment, Introduces Vegan Cheezeburger”. 20240208閲覧。
  15. ^ European poultry companies win top honours”. 20240208閲覧。
  16. ^ This Chinese fast-food chain is swapping almost all its eggs for plant-based alternatives”. 20240208閲覧。
  17. ^ Nossos cuidados ORIGEM”. 20240208閲覧。
  18. ^ ネスレ、植物由来の卵とエビ代替食品発売へ  ビーガン市場での展開拡大”. 20240208閲覧。
  19. ^ Cargill scales up European plant-based portfolio with pea protein addition”. 20240208閲覧。
  20. ^ スペインの食品メーカーGrupo Palacios、精密発酵卵タンパク質を使用したオムレツ開発でThe EVERY Companyと提携”. 20240628閲覧。
  21. ^ 代替卵の始祖「Eat Just(イート・ジャスト)」とは一体何者なのか”. 20240208閲覧。
  22. ^ Factory Farming: Assessing Investment Risks 11th August 2016”. 20240208閲覧。
  23. ^ JUST Egg partners with PHW Group for distribution”. 20240208閲覧。
  24. ^ アメリカ発、緑豆由来のヴィーガン卵。欧州委員会の承認を取得し、ヨーロッパ市場参入へ”. 20240208閲覧。
  25. ^ Bad Eggs: Another Fake-Food Scandal Rocks China タイム 更新日:2012年11月6日 参照日:2023年5.19
  26. ^ レコードチャイナ <中国食品>初公開!ニセ卵の製造過程が明らかに―河南省
  27. ^ 中国有关部门调查疑似“假鸡蛋” ロイター 参照日:2023年5.19
  28. ^ 中国生产“假鸡蛋”“塑料菜”?法媒站出来为中国喊冤! 新華社 参照日:2023年5.19

関連項目

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