コンテンツにスキップ

五瓣の椿

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
五瓣の椿
作者 山本周五郎
日本の旗 日本
言語 日本語
ジャンル 長編小説
発表形態 雑誌連載
初出情報
初出講談倶楽部
1959年1月 - 1959年9月
刊本情報
出版元 講談社
出版年月日 1959年
総ページ数 252
ウィキポータル 文学 ポータル 書物
テンプレートを表示

五瓣の椿』(ごべんのつばき)は、山本周五郎時代小説1959年1月から同年9月まで講談社の雑誌『講談倶楽部』に連載の後、同年に講談社より刊行された。

新潮文庫版でロングセラーとなっている。また、ドラマ・映画・舞台にもなっている。

あらすじ

[編集]

「紅あかい一枚の椿の花片」が現場に残される連続殺人が起きた。平簪で男を突き死に至らしめるが、そこには躊躇った様子が見えなかった。捜査にあたる八丁堀の与力、青木千之助は現場で目撃された若く美しい娘を探すが正体が掴めない。しかし幻の女が現れる場所で再び男が殺されていく。

天保5年正月に亀戸天神近くの白河端にある薬種商「むさし屋」の寮より火事が出て、主人の喜兵衛(45)、妻のおその(35)、娘のおしの(18)と一家3人が亡くなった。遺体は損傷がはげしく男女の区別さえつかない様子だった。おしのは老舗で財産家の一人娘らしくおっとりとして母親譲りのうつくしい娘だった。

おしのの最愛の父・喜兵衛が死んだ。婿に入って以来、遊びもせず身を粉にして働いた身体は労咳(結核)に蝕まれていた。一方、母・おそのは夫を避けて寮に移り住み、遊興に耽り、男を連れ込んで、不行跡を続けていた。おそのが夫の死を知ったのは、おしのと見舞いに行く約束を破って、役者と行った箱根から帰ってきてからだった。おそのは夫の遺骸を前にしても悲しまないばかりか、死人の側にいるのを嫌がる。おしのに、父への不人情をなじられると、夫を悪く言い、この人は本当の父ではないから悲しむことはないと言い放った。呆然としたおしのは一人、部屋にこもり、己を恥じない母を汚れていると思った。母の血が流れる自分の身体も汚れていると身震いした。そして実の子でない自分への父の愛情を思った時、女ばかりか人間ぜんぶを辱める罪を犯した母と母と一緒に父を苦しめた男たちに、罪を償わしてやると誓う。寮には、父が眠り、母と役者が酒を飲み抱き合って眠っている。おしのは、そこへ火を放ち、去っていった。

一年後、おりうという女が一人の男を殺した。男の傍らに一片の花びらが落ちていた。それは、喜兵衛が子どものころ悲しいことがあった時に見てすごしたと、おしのに語った椿の花びらだった…。

登場人物

[編集]

書誌情報

[編集]

映画

[編集]
五瓣の椿
The Scarlet Camellia
監督 野村芳太郎
脚本 井手雅人
原作 山本周五郎
製作 城戸四郎
杉崎重美
出演者 岩下志麻
加藤剛
左幸子
岡田英次
伊藤雄之助
田村高廣
西村晃
加藤嘉
小沢昭一
音楽 芥川也寸志
撮影 川又昻
編集 浜村義康
配給 松竹
公開 1964年11月21日
上映時間 162分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
テンプレートを表示

井手雅人脚色、野村芳太郎監督により、松竹配給で1964年11月21日に公開された。主演は岩下志麻

キャスト(映画)

[編集]

スタッフ(映画)

[編集]

テレビドラマ(1969年版)

[編集]

1969年4月4日から同年5月9日までフジテレビ系列で放送。全6回。『おんなの劇場』の第1作。

キャスト(1969年版)

[編集]

スタッフ(1969年版)

[編集]

ネット局(1969年版)

[編集]

特筆の無い限り全て同時ネット。

フジテレビ おんなの劇場
前番組 番組名 次番組
(なし)
五瓣の椿
(1969年版)
フジテレビ系 金曜21:30 - 22:30枠
スター千一夜
(平日21:30 - 21:45)
【19:30へ移動】
お茶の間寄席(第1期)
(平日21:45 - 22:00)
【19:45へ移動】
宝塚映画シリーズ
わが恋やまず
(22:00 - 22:30)
【ここまでKTV制作枠】
五瓣の椿
(1969年版)
乱舞

※『宝塚映画シリーズ』(後の『阪急ドラマシリーズ』)は『おんなの劇場』設置に伴い、30分繰り下げる。

テレビドラマ(1981年版)

[編集]

五辮の椿 復讐に燃える女の怨念』と題して、1981年4月2日に日本テレビ系の木曜ゴールデンドラマ枠で放送。全1回。視聴率18.0%[3]

キャスト(1981年版)

[編集]

スタッフ(1981年版)

[編集]
  • 脚本:服部ケイ
  • 演出:鶴橋康夫
  • 制作:YTV/NNN

テレビドラマ(1987年版)

[編集]

五瓣の椿 復讐編 焼死体をすり替えた美女の謎』および『五瓣の椿 完結編 白い肌に秘めた復讐の簪』と題して、1987年4月14日および4月21日に2週にかけてテレビ朝日系の傑作時代劇枠で放送。

キャスト(1987年版)

[編集]

スタッフ(1987年版)

[編集]

テレビドラマ(2001年版)

[編集]
五瓣の椿
ジャンル 時代劇
原作 山本周五郎
脚本 中島丈博
演出 黛りんたろう
野田雄介
出演者 国仲涼子
阿部寛
堺雅人
国本武春
隆大介
及川光博
竹中直人
江守徹
つるぎみゆき
左時枝
秋吉久美子
奥田瑛二
ナレーター 内藤啓史
エンディング 華原朋美あなたのかけら
製作
製作総指揮 小林千洋
制作 NHK
放送
放送国・地域日本の旗 日本
放送期間2001年11月30日 - 12月28日
放送時間金曜 21:15 - 21:53
放送枠土曜時代劇 (NHK)
放送分43分
回数5
公式サイト
テンプレートを表示

2001年11月30日から12月28日までNHK金曜時代劇で放送。全5回。アジアテレビ祭 最優秀賞、ゴールデンチェスト国際テレビ賞受賞。同年放送のNHK連続テレビ小説ちゅらさん』でヒロインを務めて数々の新人賞を受賞した国仲涼子時代劇初出演ならびに初主演作品である[4]

2012年9月2日から10月までアンコール放送された。また2017年3月3日から3月31日までNHK BSプレミアムBS時代劇で「時代劇アンコール」として再放送された[5]。さらに2022年12月4日から2023年1月8日までNHK総合テレビの『特選!時代劇』で再放送された[6]

キャスト(2001年版)

[編集]

主要人物

[編集]

その他

[編集]

スタッフ(2001年版)

[編集]

放送日程

[編集]
各話 放送日 サブタイトル 演出 視聴率[3]
第1回 11月30日 復讐の炎 黛りんたろう 11.2%
第2回 12月07日 変身 12.7%
第3回 12月14日 絶体絶命 野田雄介 9.1%
第4回 12月21日 宿命 黛りんたろう 9.8%
最終回 12月28日 父と娘 9.6%
(視聴率は関東地区ビデオリサーチ社調べ)

受賞

[編集]
  • 第27回ブルガリア・ゴールデンチェスト国際テレビ祭
  • アジア・テレビ賞2002
    • 最優秀単発ドラマ/テレビ映画賞(『五瓣の椿 特別編』)
NHK 金曜時代劇
前番組 番組名 次番組
五瓣の椿
(2001.11.30 - 12.28)
逃亡
(2002.1.11 - 2.8)
NHK BSプレミアム BS時代劇
雲霧仁左衛門3
(2017.1.6 - 2.24)
五瓣の椿
(2017.3.3 - 3.31)
立花登青春手控え2
(2017.4.7 - 5.26)

脚注

[編集]

注釈

[編集]
  1. ^ ドラマのオリジナルの人物。

出典

[編集]
  1. ^ a b 北日本新聞』1969年4月11日付朝刊、テレビ欄。
  2. ^ 『長野放送二十年の歩み』(1989年5月25日、長野放送発行)174頁『昭和44年4月基本番組表』より。
  3. ^ a b 「テレビ視聴率季報(関東地区)」ビデオリサーチ。
  4. ^ “国仲涼子:デビュー17年目 自分の“いやな顔”も受け入れられるように”. MANTANWEB(まんたんウェブ) (MANTAN). (2015年1月30日). https://mantan-web.jp/article/20150129dog00m200007000c.html 2017年3月5日閲覧。 
  5. ^ 再放送情報「五瓣の椿」”. NHKドラマ. 日本放送協会 (2017年1月27日). 2017年2月3日閲覧。
  6. ^ 日本放送協会『五瓣の椿https://www.nhk.jp/p/ts/856NY4WYR7/2022年12月3日閲覧 

外部リンク

[編集]