不許複製
フランス語: La reproduction interdite | |
作者 | ルネ・マグリット |
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製作年 | 1937 |
種類 | 油彩、キャンバス |
寸法 | 81.3 cm × 65 cm (32.0 in × 26 in) |
所蔵 | ボイマンス・ファン・ベーニンゲン美術館、ロッテルダム |
『不許複製(La reproduction interdite, 1937年)』は、ベルギーのシュルレアリストであるルネ・マグリットによる絵画である。現在は、オランダのロッテルダムにあるボイマンス・ファン・ベーニンゲン美術館に収蔵されている[1]。
マグリットのパトロンであった詩人のエドワード・ジェームズの依頼で製作された作品であり、顔は描かれていないものの、ジェームズの肖像画であると考えられている[2]:106。この作品は、ロンドンにあるジェームズの自宅の舞踏室のためにマグリットによって製作された3作品のうちの1つであり、他の2作品は、『赤いモデル(Le Modèle rouge)』と、『貫かれた時間(La Durée poignardée)』である[3][4]。
作品には、鏡の前で、鏡の方を向いて立つ男の後ろ姿が描かれている。マントルピースに置かれた1冊の本は鏡に正しく反射しているが、鏡に映る男の姿は、鏡の手前に立つ男と同様に、こちらに背を向けている。
他の作品との関係
[編集]マントルピースの上に置かれた本は、エドガー・アラン・ポーによる1838年の小説『ナンタケット島出身のアーサー・ゴードン・ピムの物語』(絵画中では、フランス語でLes aventures d'Arthur Gordon Pymと書かれている)である。ポーはマグリットが好んだ作家の一人であり、ポーの作品は、マグリットの他の作品にも関連づけられている。例えば、1938年の絵画『アルンハイムの地所(Le domaine d’Arnheim)』は、1847年のポーの短編『アルンハイムの地所(The Domain of Arnheim)』と同名である[5]。
マグリットが描いたエドワード・ジェームズの肖像には、この作品の他に『快楽原則(Le Principe du Plaisir, 1937年)』がある。『快楽原則』では、テーブルに手を置いて座っているジェームズが正面から描かれているが、彼の顔は、カメラのフラッシュのような明るい光によって覆い隠されている[6][7]。
1977年には、グラハム・ヒューズがこの作品をオマージュした写真を撮影し、ロジャー・ダルトリーのソロアルバム『ワン・オブ・ザ・ボーイズ』のカバーアートに使用された。
2003年のペール・ペッテルソンによる小説『馬を盗みに(Ut og stjæle hester)』では、主人公のトロンドが悪夢を見た後、「私は、私がこの世で最も恐れていることが何であったかに気づいた。それは私が、鏡に映る自分を見つめても、ただただ自分の頭の後ろしか見ることのない、あのマグリットの絵の男になることであった」と、この作品に言及している。
映画作品では、ベルナルド・ベルトルッチによる『暗殺のオペラ(Strategia del ragno, 1969年)』、デヴィッド・ケップによる『シークレット・ウインドウ(Secret Window, 2004年)』、リチャード・アイオアディによる『嗤う分身(The Double, 2013年)』、ジョーダン・ピールによる『アス(Us, 2019年)』に、この作品の簡単な再現品が登場する。
また、ジョルジュ・ペレック(脚本)、ベルナール・クィザンヌ(監督)による映画『眠る男(Un homme qui dort)』には、この作品の複製が繰り返し現れ、2014年のドイツの映画『ピエロがお前を嘲笑う(Who Am I - Kein System ist sicher)』にも複製が使用されている。
ジョン・ケッセルによる選集『The Dark Ride(2022年)』に収録された短編『Consolation』では、この作品がムード・ピースとして役立っている。
関連項目
[編集]参考文献
[編集]- ^ René Magritte - Museum Boijmans Van Beuningen Archived September 4, 2008, at the Wayback Machine.
- ^ Calvocoressi, Richard, Magritte. Phaidon, London, UK (1984)
- ^ Calvocoressi, pg. 102.
- ^ Object Information | The Art Institute of Chicago
- ^ “Magritte and Poe: Strange Brew”. Matteson Art. 2012年9月10日閲覧。
- ^ Paquet, Marcel, Magritte. Taschen (2006), Koln, Germany, pg. 79.
- ^ The Pleasure Principle (Portrait of Edward James), by René Magritte. 1937. Oil on canvas. 79 × 63.5 cm. Edward James Foundation, Chichester, UK.