不純物半導体
不純物半導体(ふじゅんぶつはんどうたい)または外因性半導体(がいいんせいはんどうたい[注釈 1])とは、純粋な真性半導体に不純物(ドーパント)を微量添加(ドーピング)した半導体のこと。ドーピングする元素により、キャリアがホール(正孔)のP型半導体と、キャリアが電子のN型半導体に分類される。
N型とP型のどちらになるかは、不純物元素の原子価、その不純物によって置換される半導体の原子価によって決まる。 例えば原子価が4であるケイ素にドーピングする場合、原子価が5であるヒ素やリンをドーピングした場合がN型半導体、原子価が3であるホウ素やアルミニウムをドーピングした場合がP型半導体になる。
性質
[編集]電荷中性の条件
[編集]伝導帯の電子濃度を n、価電子帯の正孔濃度を p、イオン化したドナー濃度を ND、イオン化したアクセプター濃度を NA とすると、以下の電荷中性の条件が成り立つ。
キャリア密度
[編集]ドーピングした不純物が全てイオン化している場合を考える。非縮退半導体の伝導帯の電子濃度 n、価電子帯の正孔濃度 p、真性キャリア密度 ni との間には以下の関係が成り立つ[1]。
これと電荷中性の条件から、キャリア濃度は以下のように与えられる。
例えばアクセプター濃度 NA と真性キャリア密度 ni が無視できる時の電子濃度は n = ND となる。同様に、ドナー濃度 ND と真性キャリア密度 ni が無視できる時の正孔濃度は p = NA となる。
フェルミ準位
[編集]非縮退半導体のフェルミエネルギー EF は、真性半導体のフェルミ準位を Ei とすると次のように表せる。
真性半導体のフェルミ準位 Ei は、バンドギャップのほぼ中央に位置する。ドナーを増加させて電子濃度 n を増やすとフェルミ準位は上昇し、伝導帯に近づく。逆にアクセプターを増加させて正孔濃度 p を増やすとフェルミ準位は下がり、価電子帯に近づく。
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ B.L.アンダーソン、R.L.アンダーソン 著、樺沢宇紀 訳『半導体デバイスの基礎』 上巻(半導体物性)、丸善出版、2012年、114,103頁。ASIN 462106147X。ISBN 978-4621061473。 NCID BB09996372。OCLC 793577200。