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三角多項式

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

数学の一分野である数値解析および解析学における三角多項式(さんかくたこうしき、: trigonometric polynomial)は、一つ以上の自然数 n に対する函数 sin(nx), cos(nx)有限線型結合である。実数値函数に対しては、結合の係数は実数に取ることができる。複素係数の場合には、三角多項式とはフーリエ多項式(有限フーリエ級数)の事に他ならない。

三角多項式は、例えば周期函数補間に適用できる三角補間英語版に利用されるなど、広く用いられる。離散フーリエ変換にも用いられる。

「三角多項式」という名称は、実数値の場合には「多項式空間に対する基底としての単項式英語版の代わりに sin(nx), cos(nx) を用いたもの」というアナロジーによって理解することができる。複素係数の場合には、三角多項式全体の成す空間は eix の正負の整数冪によって張られる

厳密な定義

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0 ≤ nN に対して、複素数の定数 an, bnC を用いて

の形に表される任意の函数 T を、次数 (degree) N複素三角多項式 (complex trigonometric polynomial) と総称する (Rudin 1987, p. 88)。オイラーの公式を用いれば、このような多項式を

の形に書くことができる。同様に、an, bn (0 ≤ nN)実数aN ≠ 0 または bN ≠ 0 であるものとして、

を次数 N実三角多項式 (real trigonometric polynomial) と言う (Powell 1981, p. 150)。

性質

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三角多項式は、実数直線上で定義され 2π の適当な倍数の周期を持つ周期函数と考えることもできるし、あるいは単位円上で定義された函数と考えることもできる。

基本的な結果として「三角多項式全体の成す集合は、単位円上定義された連続函数全体の成す空間において、一様ノルムに関して稠密である」こと (Rudin 1987, Thm 4.25) が挙げられる(これはストーン–ヴァイアシュトラスの定理の特別の場合である)。より具体的に書けば、「任意の連続函数 ƒ および実数 ε > 0 に対して、適当な三角多項式 T が存在して全ての z に対して |ƒ(z) − T(z)| < ε とすることができる」。フェイェールの定理の述べるところによれば「ƒフーリエ級数の部分和の算術平均は ƒ に一様に収束する」から、これに基づいて ƒ の近似三角多項式 T を求める具体的な方法が得られる。

次数 N の三角多項式は、それが零函数でない限りにおいて、[a, a + 2π) (aR) の形の任意の開区間に 2N 個のの最大値を持つ (Powell 1981, p. 150)。

参考文献

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  • Powell, Michael J. D. (1981), Approximation Theory and Methods, Cambridge University Press, ISBN 978-0-521-29514-7 
  • Rudin, Walter (1987), Real and complex analysis (3rd ed.), New York: McGraw-Hill, ISBN 978-0-07-054234-1, MR924157 .