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一般ディリクレ級数

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

一般ディリクレ級数(いっぱんでぃりくれきゅうすう、: general Dirichlet series)とは、

複素数、無限大に発散する狭義の単調増加列 および複素数 s に対して、

で表される級数のことをいう。指数型のディリクレ級数または広義のディリクレ級数ともいう。

特に、 のとき、

であり、(通常)ディリクレ級数となる。

また、 とすると、

と、ベキ級数になる。


s を変数とみなし、一般ディリクレ級数の収束性を問わないとき、形式的一般ディリクレ級数 (formal general Dirichlet series)という。


収束性

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収束軸

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任意の一般ディリクレ級数に対して、次のいずれかが成り立つ。

  1. 任意の複素数 s に対して、一般ディリクレ級数は収束する。
  2. 任意の複素数 s に対して、一般ディリクレ級数は発散する。
  3. 一般ディリクレ級数が を満たす複素数 s に対して収束し、 を満たす複素数 s に対して発散する様な実数 が存在する。


この を一般ディリクレ級数の収束軸 (line of convergence)または収束座標 (abscissa of convergence)という。 収束軸について、一般ディリクレ級数が常に収束するときは 、常に発散する場合は と定める。


収束軸の値の求め方

一般ディリクレ級数

の収束軸 の値は、以下の様に求められる。

  • が発散する場合
  • が収束する場合

また、

という式も知られている。


絶対収束性

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一般の級数のときと同じく、

が収束するとき、一般ディリクレ級数

絶対収束するという。

絶対収束する複素数 s に対する、 の下限を絶対収束軸 (line of absolute convergence)または絶対収束座標 (abscissa of absolute convergence)という。 絶対収束軸について、一般ディリクレ級数がすべての点で絶対収束するときは 、常に絶対収束しない場合は と定める。


ディリクレ級数の場合、ある点で収束すれば絶対収束する点が存在するが(ディリクレ級数の絶対収束性を参照)、ある点で収束しても、すべての点で絶対収束しない一般ディリクレ級数が存在する。

例えば

は、すべての複素数 s に対して収束するが、絶対収束することはない。

一般に、収束軸が有限の値 を持ち、

が有限の値 α をとるならば、絶対収束軸 は有限の値を持ち、 [1]であることが知られている。


絶対収束軸は、先に述べた収束軸の値を求める公式を用いて、以下の様に与えられる。

一般ディリクレ級数

の絶対収束軸 の値は、以下の様に求められる。

  • が発散する場合
  • が収束する場合

また、

が成り立つ。

一様収束性

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一般ディリクレ級数を

として、s を変数とする関数とみなすと、一様収束性が問題となる。


一般ディリクレ級数の一様収束性について、収束軸 および絶対収束軸 が有限の値であるならば、 このとき、

[2]

を満たす実数 が存在して、 を満たす複素数 s に対して、 は一様収束するが、 を満たす複素数 s に対して、 は一様収束しない。 

この を、一様収束軸 (line of uniform convergence)または一様収束座標 (abscissa of uniform convergence)という。 一様収束軸について、一般ディリクレ級数がすべての点で一様収束するときは 、常に一様収束しない場合は と定める。


一様収束軸の値は、収束軸・絶対収束軸とは異なる方法で求められる。

ディリクレ級数

の一様収束軸 の値は、以下の様に求められる。

ここで、

解析的性質

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正則性

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一般ディリクレ級数

は、 で収束するならば、正則である。さらに、微分

で与えられる。


で正則である様な σ の下限を とおくと。

但し、


一般ディリクレ級数の一意性

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2つのディリクレ級数

が、ある開領域内で収束し、そこで、 が成立するならば、すべての n に対して、 である。


一般ディリクレ級数の係数

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収束軸 が有限の値もしくは である、一般ディリクレ級数

に対して、ω を を満たす様にとり、 とする。このとき

が成立する。但し、積分路は、すべての を通らない様にとる。


さらに、 であるならば、


一般ディリクレ級数の零点の個数

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ε、 δ、T を任意の正数とする。

収束軸 が有限の値である一般ディリクレ級数

に対して、 を満たす複素数 のうち、 を満たすものの個数を とおくと、 は有限の値であり、

が成立する。


注釈

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  1. ^ α が有限の値でない場合でも、この不等式は成立する。しかし、絶対収束する点が存在するかは、この不等式からでは分からない。
  2. ^ が有限の値でなくても、この不等式は成り立つ。

参考文献

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関連項目

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