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ヴィエルコポルスカ県

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ヴィエルコポルスカ県

Województwo wielkopolskie
ヴィエルコポルスカ県の旗
ヴィエルコポルスカ県の紋章
紋章
ヴィエルコポルスカ県の公式ロゴ
ブランドマーク
座標:北緯52度17分34秒 東経16度44分8秒 / 北緯52.29278度 東経16.73556度 / 52.29278; 16.73556
ポーランドの旗 ポーランド
県都 ポズナン
4市31郡
政府
 • ヴォイヴォダ アガタ・ソブチク(Agata Sobczyk PL2050
 • 元帥 マレク・ヴォジニャク(Marek Woźniak PO
 • EP ポーランド選挙区
面積
 • 計 29,826 km2
人口
(2023年6月)
 • 計 3,594,363人
 • 密度 120人/km2
 • 都市部
1,892,609人
 • 農村部
1,602,861人
GDP
 • 計 566億8600万ユーロ
 • 1人当たり 1万6400ユーロ
等時帯 UTC+1 (CET)
 • 夏時間 UTC+2 (CEST)
ISO 3166コード PL-30
ナンバープレート P
HDI(2019年) 0.888[2]
高速道路
ウェブサイト https://www.poznan.uw.gov.pl/

ヴィエルコポルスカ県ポーランド語: Województwo wielkopolskie [vɔjɛˈvut͡stfɔ vjɛlkɔˈpɔlskʲɛ] ( 音声ファイル))は、ポーランド中西部のである。県都はポズナン。全国16県の中では、面積で2番目、人口で3番目に大きい。1999年に、旧ポズナン県、カリシュ県、コニン県、レシュノ県と、ピワ郡の大部分の地域を統合して発足した。ルブシュ県ドルヌィ・シロンスク県オポーレ県ウッチ県ポモージェ県西ポモージェ県クヤヴィ・ポモージェ県と接している。

「ヴィエルコポルスカ」(大ポーランドポーランド語版)を意味する県名は、この地域の「ポーランド揺籃(ようらん)の地」という歴史的呼称でもある。歴史学者ズィグムント・グローゲルポーランド語版によれば、これは旧い村の隣に新しい村を立てた際にポーランドの習慣にしたがい、新旧それぞれに「小」と「大」を冠して並び称した。公文書の初出は1242年プシェムィスウ公ボレスワフ敬虔公が共同で「大ポーランド両公」(ラテン語: Duces Maioris Poloniae)と称したときである[3]。対義語はマウォポルスカ(小ポーランド)ではあるが、実際のところ、かつてのポーランド・リトアニア共和国の時代、面積は前者(大ポーランド)のほうが後者よりも小さかった。マウォポルスカ地方は現在のウクライナ全土までをも含む広大な地域を指した[要出典]

地域区分

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  • 地域
  • 人口推移
    人口±%
    19883,236,618—    
    20023,351,915+3.6%
    20113,447,441+2.8%
    20213,504,579+1.7%
    Source: [4]
    • 主な市と人口
    ヴィエルコポルスカ県の地域区分
    ポズナン(53万5802人)
    カリシュ(10万482人)
    ピワ(7万1846人)
    コニン(7万1427人)
    オストルフ・ヴィエルコポルスキ(7万1947人)
    グニェズノ(6万8323人)
    レシュノ(6万3774人) 郡(powiat

    観光地

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    グニェズノ

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    ポーランド王国の建国時より大司教座がある。グニェズノ大聖堂の扉は1175年に製作され、ロマネスク様式[注 1]の好例である[6]

    カリシュ

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    古代ローマ時代の天文学プトレマイオスが「カリシア」として紹介したポーランド最古の街。スラヴ語で「湿地帯」を意味する「カル」が語源。当時の「琥珀街道」にあり[7]琥珀その他の商品の一大集散地だった。この周辺ではローマ時代の遺物が大量に発掘される。城塞都市としては9世紀に建設。ずっとポーランド人(ポラン人)の実質的な支配下にあったが、1106年より正式にポーランド王国領となる。

    中世ポーランド時代は木材の集散地で、それ以来、伝統的に木工品産業が盛ん。1264年には国内のユダヤ人人権を保障する画期的な法律カリシュの法令」が発布された。市庁舎1426年に完成。

    1793年第二次ポーランド分割によりプロイセン王国に併合されてドイツ支配下に置かれる。1945年第二次世界大戦末期にはナチス・ドイツソビエト連邦の激しい戦闘で被災したが、戦後、元通りに修復された。

    木材加工、食品加工、航空機エンジン生産が盛ん[注 2]。ポーランドを代表するピアノメーカーの「#カリシア」社[9]や、プラット・アンド・ホイットニー社の航空機エンジン工場などがある。市街地や聖ユゼフ教会などの歴史的建造物がみどころ。


    ポズナン

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    ポズナンの旧市街
    ポズナンの中心街
    ツール・ド・ポローニュ

    ヴィエルコポルスカ県の県都。ポーランドでも最も古い都市の一つであり、ポーランド王国の最初の首都であった。第二次世界大戦ではドイツ軍ソ連軍との戦闘で市街地の大半(旧市街の90%以上、市街地全体の55%以上)が破壊されたが、戦後に旧市街をはじめとした歴史的建造物はポーランド市民の努力で完全に復元され、中世の美しい姿を回復した。昔から東西陸上交易の中継地として栄えており、現在でもポーランドでも有数の商業都市で、国内外のメーカーによる大規模な見本市が開かれる[注 3]

    ポズナン
    フランチスカンスカ通りより旧市街広場を望む
    旧市街広場
    旧市街広場
    旧市庁舎
    歴史的建造物群
    アポロの噴水とルネサンス時代の商人の館
    ゴシック様式の館
    ネプチューンの噴水
    マルスの噴水
    ツィタデラ(水道橋)
    ツィタデラの平和の鐘
    宗教施設
    協同教区教会
    旧イエズス会
    諸聖人の教会
    救世主教会
    ベルナルド修道会の教会と修道院
    丘の聖ヴォイチェフ(アダルベルト)教会
    丘の聖ヨゼフ教会(聖ヴォイチェフ/アダルベルト)
    十字架賞賛教会
    聖スタニスワフ・コストカ教会
    聖ジャン・ヴィアンネィ教会
    バプティストの礼拝堂
    シナゴーグ
    王宮
    プシェミスウ丘の王の居城
    自由広場
    ドイツ帝国時代の城
    衛兵所
    劇場
    オペラ座
    コレギウム・マイウス
    旧市立劇場
    新劇場
    政治、経済
    旧食肉処理場
    ポズナン水道局
    ガス燈管理夫の像
    アダム・ミツキェヴィチ広場と1956年ポズナン民主化運動記念碑
    聖マルティヌス通りの郵便局
    旧農協事務所
    旧アントニ・クシジャノフスキ会計事務所
    博物館、図書館、公文書館、美術館
    民族学博物館
    バンベルク人移民博物館
    国立博物館絵画館
    教育、医療
    ポズナン経済大学
    ポズナン工科大学総長公邸
    アダム・ミツキェヴィチ広場とアダム・ミツキェヴィチ大学講堂
    ポズナン芸術科学友の会
    聖アンナ病院
    カロル・マルチンコフスキとパウル・フォン・ヒンデンブルクの住んだ家
    マルチン・カスプロヴィチの家
    ユゼフ・レイトゲベルの家
    ヴィエジュビェンチツェ通りの旧家
    ソワチュ公園
    狭軌鉄道
    軍事、警察
    第15槍騎兵連隊の記念碑
    第15槍騎兵連隊
    20世紀初頭の軍服の警察官
    騎馬警官
    民族
    バンベルク人移民の噴水
    バンベルク人移民
    コサック人

    湖水地方

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    ヴィエルコポルスカ地方(Wielkopolska)とは、ヴィエルコポルスカ県、ルブシュ県クヤヴィ・ポモージェ県にまたがる5万5千平方キロメートルの広大な地域。ゴプラン湖(イェジォーロ・ゴプウォGopło)をはじめとする数千の大小さまざまな湖が散在する[10]

    ヴォルシュティン

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    ヴォルシュティンポーランド語版(波: Wolsztyn)はヨーロッパで唯一、2014年停止まで蒸気機関車による旅客列車の定期運行で知られていた。特にイギリスの鉄道ファンに大変人気のある街。蒸気機関車の運行区間はヴォルシュティン-ポズナン間であったが、運行が終わった現在は博物館に転用[注 4]

    脚注

    [編集]

    注釈

    [編集]
    1. ^ グニェズノ市公式サイトは多言語対応(英語・ポーランド語・ドイツ語)[5]
    2. ^ カリシュ市公式サイトは多言語対応(英語・ポーランド語・ドイツ語)[8]
    3. ^ ポズナン市案内、公式ウェブサイト(www.cs.put.poznan.pl)2025-02-12閲覧。
    4. ^ ヴォルシュティン市公式サイトはポーランド語版・ドイツ語版あり[11]

    出典

    [編集]
    1. ^ EU regions by GDP, Eurostat”. 18 September 2023閲覧。
    2. ^ Sub-national HDI - Area Database - Global Data Lab” (英語). hdi.globaldatalab.org. 2018年9月13日閲覧。
    3. ^ Gloger, Zygmunt (1900) (ポーランド語). Geografia historyczna ziem dawnej Polski. Kraków: Spółka Wydawnicza Polska. ISBN 83-214-0883-4. NCID BA75753627 
    4. ^ Statistics Poland - National Censuses” (英語). 2025年2月11日閲覧。
    5. ^ Gniezno”. www.gniezno.home.pl. 2025年2月12日閲覧。
    6. ^ 鳥山 成人 19巻、講談社〈世界の歴史〉、1978年5月、85 コマ頁。doi:10.11501/12185611NDLJP:12185611。「グニェズノ大聖堂の扉の浮彫り」 
    7. ^ 佐藤 彰一「第1部 起源の地を求めて」『クローヴィス以前』 1巻、名古屋大学出版会〈フランク史〉、2021年。 NCID BC08423709OCLC 1265334566ISBN 9784815810306, 4815810303 
    8. ^ INTERMEDIA, CONCEPT. “Urząd Miejski w Kaliszu” (英語). www.kalisz.pl. 2025年2月12日閲覧。
    9. ^ Calisia - Fabryka Fortepianów i Pianin”. www.calisia.pianina.pl. 2025年2月12日閲覧。
    10. ^ ヴィエルコポルスカ県公式サイトWielkopolska Agencja Rozwoju Przedsiębiorczości Sp. z o.o. [大ポーランド企業開発庁 Sp z o.]”. www.wielkopolska-region.pl. 2025年2月12日閲覧。
    11. ^ Urząd Miejski w Wolsztynie”. wolsztyn.pl. 2025年2月12日閲覧。

    外部リンク

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