コンテンツにスキップ

ワダダ・レオ・スミス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ワダダ・レオ・スミス
Wadada Leo Smith
ワダダ・レオ・スミス
(Photo by Tom Beetz)
基本情報
出生名 Leo Smith
別名 Ishmael Wadada Leo Smith
生誕 (1941-12-18) 1941年12月18日(83歳)
出身地 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
ミシシッピー州リーランド
ジャンル アヴァンギャルド・ジャズフリー・インプロヴィゼーション
職業 音楽家作曲家
担当楽器 トランペット
共同作業者 クリエイティヴ・コンストラクション・カンパニー
New Dalta Ahkri
公式サイト www.wadadaleosmith.com

ワダダ・レオ・スミス[1]Wadada Leo Smith1941年12月18日 - )は、アメリカ人のトランペッターにして作曲家であり、主にアヴァンギャルド・ジャズフリー・インプロヴィゼーションの分野で活動している[2]。2012年5月22日にリリースされたアルバム『Ten Freedom Summers』によって、2013年のピューリッツァー賞 音楽部門におけるファイナリスト3人のうちの1人となった[3]

略歴

[編集]

スミスはミシシッピー州リーランドで生まれた。自分の楽器がトランペットに落ち着く前には、ドラム、メロフォン、そしてフレンチホルンの演奏を行っていた。さまざまなリズム・アンド・ブルースのグループで演奏した後、1967年までにAACMのメンバーとなり、リロイ・ジェンキンス、アンソニー・ブラクストンとのトリオであるクリエイティヴ・コンストラクション・カンパニーを共同で結成した。1971年、スミスは自身のレーベル「Kabell」を設立。また、ヘンリー・スレッギル、アンソニー・デイヴィス、オリヴァー・レイクなどのメンバーと一緒に別のバンド、New Dalta Ahkriを結成した。

1970年代に、スミスはウェズリアン大学で民族音楽学を学んだ。その頃、再びアンソニー・ブラクストンと共演し、同時にデレク・ベイリーカンパニーとも共演した。1980年代半ば、スミスはラスタファリアン(ラスタファリ運動の実践者)となって、「ワダダ」という名前を使い始めた。1993年にはカリフォルニア芸術大学で教鞭をとるようになり、2014年まで続けることとなった。トランペットとフリューゲルホルンに加えて、スミスはカリンバ、atenteben(ガーナの竹笛)を含むいくつかの世界の楽器を演奏している。また、楽器を作成するコースも教えてきた。彼の作曲には、しばしば1970年に開発した「Ankhrasmation」と呼ばれる図形譜のシステムが使われている。

1998年、スミスとギタリストのヘンリー・カイザーは、マイルス・デイヴィスの当時あまり知られていなかった1970年代エレクトリック期へのオマージュ作品『ヨ・マイルス!』をリリースした。このアルバムでは、スミス、カイザーに加え、大勢のミュージシャンが、マイルスのエレクトリック・ミュージックにインスパイアされたカバー・ヴァージョンやオリジナル作品をレコーディングした。続編の『Sky Garden』(2004年にキュニフォームよりリリースされた)と『Upriver』(2005年リリース)は、また違うミュージシャンによってレコーディングされた。どちらののラインナップでも、マイケル・マンリングのベースがフィーチャーされた。

スミスが率いるグループ、ゴールデン・カルテット(彼はこの名義でいくつかのアルバムをリリースした)は、もともとドラムのジャック・ディジョネット、キーボードのアンソニー・デイヴィス、そしてベースのマラカイ・フェイバースをフィーチャーしていた。何度かのメンバー・チェンジを経て、ゴールデン・カルテットは新たにドラムのフェローン・アクラフ、ベースのジョン・リンドバーグ、ピアノのデイヴィスをフィーチャーするようになった。

2000年代には、スミスはジョン・ゾーンのレーベルであるツァディク、およびパイ・レコーディングスでアルバムをレコーディングした。2008年に、彼とゴールデン・カルテットは『Freedom Now』というタイトルのDVDを発売した。

ディスコグラフィ

[編集]

リーダー・アルバム

[編集]
  • Creative Music - 1 (1972年、Kabell)
  • Reflectativity (1975年、Kabell)
  • Song of Humanity (1977年、Kabell)
  • The Mass on the World (1978年、Moers)
  • Solo Music: Ahkreanvention (1979年、Kabell)
  • 『ディヴァイン・ラヴ』 - Divine Love (1979年、ECM)
  • Budding of a Rose (1979年、Moers)
  • Spirit Catcher (1979年、Nessa)
  • Touch the Earth (1980年、FMP)
  • Go in Numbers (1982年、Black Saint)
  • If You Want the Kernels You Have to Break the Shells (1983年、FMP)
  • Human Rights (1982年、Kabell)
  • Procession of the Great Ancestry (1982年、Nessa, 1989)
  • Rastafari (1983年、Sackville)
  • 『カルチャー・ジャズ』 - Kulture Jazz (1993年、ECM)
  • Tao-Njia (1996年、Tzadik)
  • Golden Hearts Remembrance (1997年、Chap Chap)
  • Prataksis (1997年、Ninewinds)
  • Condor, Autumn Wind (1998年、Wobbly Rail)
  • Light Upon Light (1999年、Tzadik)
  • Reflectativity (2000年、Tzadik)
  • Golden Quartet (2000年、Tzadik)
  • Red Sulphur Sky (2001年、Tzadik)
  • 『象の年』 - The Year of the Elephant (2002年、Pi)
  • Luminous Axis (2002年、Tzadik)
  • 『有機音響』 - Organic Resonance (2003年、Pi)
  • Lake Biwa (2004年、Tzadik)
  • Saturn, Conjunct the Grand Canyon in a Sweet Embrace (2004年、Pi)
  • Snakish (2005年、Leo)
  • Compassion (2006年、Meta/Kabell)
  • Wisdom in Time (2007年、Intakt)
  • Tabligh (2008年、Cuneiform)
  • America (2009年、Tzadik)
  • Spiritual Dimensions (2009年、Cuneiform)
  • Abbey Road Quartet (2009年、Treader)
  • The Blue Mountain's Sun Drummer (2010年、Kabell)
  • Heart's Reflections (2011年、Cuneiform)
  • Dark Lady of the Sonnets (2011年、TUM)
  • Ten Freedom Summers (2012年、Cuneiform)
  • Ancestors (2012年、TUM)
  • Occupy the World (2013年、TUM)
  • Sonic Rivers (2014年、Tzadik) ※with ジョージ・ルイスジョン・ゾーン
  • Red Hill (2014年、RareNoise) ※with ジェイミー・サフト、ジョー・モリス、ボラージュ・パンディ
  • The Great Lakes Suites (2014年、TUM)
  • June 6th 2013 (2014年、Novara Jazz) ※with Eco D'Alberi
  • Celestial Weather (2015年、TUM) ※with ジョン・リンドバーグ
  • A Cosmic Rhythm with Each Stroke (2016年、ECM) ※with ヴィジェイ・アイヤー
  • America's National Parks (2016年、Cuneiform)
  • 『ゴールデン・ハーツ・リメンバランス』 - Golden Hearts Rememberance (2016年、Bishop Records) ※ワダダ・レオ・スミス&ンダ・カルチャー名義
  • Najwa (2017年、TUM)
  • 『アスピレーション』 - Aspiration (2017年、Libra Records) ※with 田村夏樹、藤井郷子イクエ・モリ
  • Solo: Reflections and Meditations on Monk (2017年、TUM)
  • Lebroba (2018年、ECM) ※with アンドリュー・シリルビル・フリゼール

コンピレーション・アルバム

[編集]
  • Kabell Years: 1971-1979 (2004年、Tzadik) ※『Creative Music - 1』『Reflectativity』『Song of Humanity』『Solo Music: Ahkreanvention』と追加曲で構成

参加アルバム

[編集]

ムハル・リチャード・エイブラムス

  • 『ヤング・アット・ハート』 - Young at Heart/Wise in Time (1974年、Delmark)

マリオン・ブラウン

  • 『リズマス』 - Creative Improvisation Ensemble (1970年、Freedom [1975年発売])
  • 『ジーチー・リコレクションズ』 - Geechee Recollections (1973年、Impulse!)

アンソニー・ブラクストン

  • 『スリー・コンポジションズ・オブ・ニュー・ジャズ』 - 3 Compositions of New Jazz (1968年、Delmark)
  • 『サイレンス』 - Silence (1969年、Freedom [1975年発売]) ※with Leroy Jenkins
  • 『アンソニー・ブラクストン』 - Anthony Braxton (1969年、BYG Actuel)
  • 『ジス・タイム…』 - This Time... (1970年、BYG Actuel)
  • 『トリオ・アンド・デュエット』 - Trio and Duet (1974年、Sackville)
  • Creative Orchestra Music 1976 (1976年、Arista)
  • Creative Orchestra (Köln) 1978 (1978年、hatART [1995年発売])

クリエイティヴ・コンストラクション・カンパニー

  • 『クリエイティヴ・コンストラクション・カンパニー』 - Creative Construction Company (1970年、Muse [1975年発売])
  • 『クリエイティヴ・コンストラクション・カンパニー VOL.2』 - Creative Construction Company Vol. II (1970年、Muse [1976年発売])

アンドリュー・シリル

  • Lebroba (1918年、ECM)

ヘンリー・カイザー

  • 『ヨ・マイルス!』 - Yo, Miles! (1998年、Shanachie)
  • Sky Garden (2004年、Cuneiform)
  • Upriver (2004年、Cuneiform)

フランク・ロウ

  • 『ザ・フラム』 - The Flam (1975年、Black Saint)

マシュー・シップ

  • New Orbit (2001年、Thirsty Ear)

スプリング・ヒール・ジャック

  • 『ザ・スウィートネス・オブ・ザ・ウォーター』 - The Sweetness of the Water (2004年、Thirsty Ear)
  • Hackney Road (2018年、Treader) with Pat Thomas and Steve Noble

ジョン・ゾーン

  • 50th Birthday Celebration Volume 8 (2003年、Tzadik)
  • The Unknown Masada (2003年、Tzadik)

脚注

[編集]
  1. ^ 初期の活動においては「レオ・スミス」の表記であった。
  2. ^ Wadada Leo Smith | Biography”. AllMusic (1941年12月18日). 2014年3月23日閲覧。
  3. ^ The Pulitzer Prizes | Citation”. Pulitzer.org. 2014年3月23日閲覧。

外部リンク

[編集]