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ワキスジイワワラビー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ワキスジイワワラビー
保全状況評価[1]
VULNERABLE
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
: 双前歯目 Diprotodontia
: カンガルー科 Macropodidae
: イワワラビー属 Petrogale
: ワキスジイワワラビー P. lateralis
学名
Petrogale lateralis
Gould, 1842[2]
和名
ワキスジイワワラビー[3]
英名
Black-flanked rock-wallaby[2]
ワキスジイワワラビーの生息地
青:原生、ピンク:人工的に再導入された地域

ワキスジイワワラビーPetrogale lateralis)は、双前歯目カンガルー科イワワラビー属に分類される有袋類夜行性草食動物であるこの種には、主に西オーストラリア州の西部および南部、北部準州南オーストラリア州の一部に分布する2つの主要な亜種が存在する。近年、一部の亜種の個体数が減少していることから、この種はIUCNレッドリストにおいて危急種に分類されている。

分類

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ワキスジイワワラビーはイワワラビー属に属し、1842年ジョン・グールド英語版によって記載された。この種は以下の亜種に区別される[2]

以下の個体群は2020年まで分類学上の正式な記載がなく“race”ないし“form”として区別されていたが、IUCNでは便宜上“subspecies”として扱われている[1]。2020年にそれぞれが新亜種として記載された[4]

形態

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全長1mほどで、全長の半分ほどある長い尾を持つ[5]。一般に灰褐色で、腹部と胸部が淡い色をしている。頭から背骨にかけて暗い縞模様があり、尾と足も暗い色をしている[6]。亜種によって色合いはわずかに異なる。短くて厚い羊毛のような毛皮を持ち、特に尾の根元、尻、側面にかけて密生している。尾は長く、岩の多い地形でのバランスを取るのに役立ち、先端にはブラシ状の毛が生えている[7]

水分のほとんどを食事から得ることができ、ほとんど水を飲まず、岩場の洞窟に避難することで暑さを避け、水を節約することができる。

生態

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ワキスジイワワラビーはかなり臆病な夜行性動物で、夜に住処とする岩場の近くで草を食べる[7][6]

10〜100頭の群れを形成し、その群れは生涯維持される[要出典]が、つがい以外の雄とも交尾をする。1〜2歳で性成熟を迎えるが、その繁殖サイクルは季節の降雨状況によって変化する。この種は胚休眠英語版を特徴とし、環境条件が適切になるまでの発育は休眠状態に入る[7]

妊娠期間は約30日間。他の有袋類と同様に出産直後の幼体は生育が不十分であり、外で生きることができるようになるまで母親の袋の中で育つ。しかし他の有袋類とは異なり、餌を与える時に母親は子供を袋から出す[要出典]

分布

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西オーストラリア州では、花崗岩の露出部、砂岩の崖、ガラ場、ハンモック草が茂る少数の木々や低木のある山岳地帯[訳語疑問点]や、海岸にある石灰岩の崖の近くに生息する。P. lateralis lateralis は西オーストラリア州南部と西部に、P. l. hacketti は西オーストラリア州南部のルシェルシュ諸島に、P. l. kimberleyensisはエドガー山脈、アースキン山脈、おそらくグラント山脈、そして西キンバリー地域の隣接地域に、P. l. centralis北部準州南オーストラリア州、西オーストラリア州の広範な地域に生息していたが、分布と生息数が共に減少している[7]

保全状況

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Mammals of Australia によるイラスト[8]

近年、外来種アカギツネネコなどによる捕食、ヒツジヤギウサギなどの草食動物によって住処を奪われたことによって個体数が減少しており、現在の生息数は8000頭以下[9]。生息域のいくつかは保護されており、回復計画が進行中である[1]

Petrogale lateralis lateralis は亜種の中で最も甚だしい個体数の減少に見舞われているが、西オーストラリア州では2012年まで亜種P. l. hackettiP. l. kimberleyensisの減少は記録されていなかった[7]

出典

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  1. ^ a b c d e Burbidge, A.A.; Woinarski, J. (2016). Petrogale lateralis. IUCN Red List of Threatened Species 2016: e.T16751A21955343. doi:10.2305/IUCN.UK.2016-1.RLTS.T16751A21955343.en. https://www.iucnredlist.org/species/16751/21955343 19 November 2021閲覧。. 
  2. ^ a b c Colin P. Groves, “Order Diprotodontia,” In: Don E. Wilson & DeeAnn M. Reeder (eds.), Mammal Species of the World (3rd ed.), Volume 1, Johns Hopkins University Press, 2005, Pages 43-70.
  3. ^ 川田伸一郎・岩佐真宏・福井大・新宅勇太・天野雅男・下稲葉さやか・樽創・姉崎智子・横畑泰志 「世界哺乳類標準和名目録」『哺乳類科学』第58巻 別冊、日本哺乳類学会、2018年、1–53頁。
  4. ^ Mark D. B. Eldridge & Sally Potter, 2020. “Taxonomy of rock-wallabies, Petrogale (Marsupialia: Macropodidae). V. A description of two new subspecies of the black-footed rock-wallaby (Petrogale lateralis),” Australian Journal of Zoology , 67(1): 19-26.
  5. ^ レッドリストの動物たち「ワキスジイワワラビー」”. エコファミリーしんぶんのホームページ エコファミリーWEB (2022年6月2日). 2024年7月11日閲覧。
  6. ^ a b Australian Geographic, 2015年10月 - 12月, p. 75
  7. ^ a b c d e Black-flanked Rock-wallaby Petrogale lateralis (Gould, 1842)”. en:Government of Western Australia. Department of Environment and Conservation (24 October 2012). 2024年7月11日閲覧。
  8. ^ Mammals of Australia, Vol. II Plate 42, London, 1863
  9. ^ 絶滅の危機にある野生動物たち”. WWFジャパン. 2024年7月11日閲覧。
  10. ^ Petrogale lateralis lateralis - Black-flanked Rock-wallaby”. Department of the Environment, Water, Heritage and the Arts. 12 November 2009時点のオリジナルよりアーカイブ。24 August 2021閲覧。
  11. ^ Petrogale lateralis lateralis - Black-flanked Rock-wallaby, Moororong, Black-footed Rock Wallaby”. Species Profile and Threats Database. Department of Agriculture, Water and the Environment, Australian Government (24 August 2021). 9 March 2021時点のオリジナルよりアーカイブ24 August 2021閲覧。