バラ油
バラ油(バラゆ、薔薇油)、バラ精油(薔薇精油)、ローズオイル(英:Rose oil)は、バラの花から抽出される揮発性の油で、バラの芳香を持つ。厳密には精油とアブソリュートがあり、精油は水蒸気蒸留によって抽出され、アブソリュートは溶剤又は超臨界二酸化炭素を用いた抽出によって得られる。昔のローズアブソリュートは、精製した豚油などの油脂と共に花を加熱して油脂に香りを移し、エタノールで抽出するアンフルラージュ(温浸法、熟成法)で抽出されていた[1]。
抽出法や原料のバラの品種の違いで、成分組成、芳香が異なる。ローズオットー、モロッコローズの精油、ダマスクローズ、ブルガリアローズのアブソリュートなどがある。ダマスクローズのアブソリュートは精油の女王と言われ、感情を落ち着かせる作用があるとされる。精油、アブソリュート共に香料として多くの食品に添加される[2]。香水にも広く利用されており、ローズオットーの精油は、フローラル系に使う場合、少量でもかなりの効果が見られる[2]。
水蒸気蒸留の副産物として、バラの芳香を持つ芳香蒸留水(ハイドロゾル)バラ水(薔薇水、ローズウォーター)が得られる。多くの場合、芳香蒸留水に含まれる精油も、溶剤を使って抽出される[2]。
混入
[編集]1オンス(約30mL)のローズオイルを作るには、数ポンド(1ポンドは約0.45kg)の花びらが必要である[3]。生産の平均収率は抽出方法と花の種類によって幅があるが、1:1500〜1:10,000の範囲に収まる。ローズオイルは非常に高額であり、精巧な偽和の技術が確立している。精油は、主成分であるゲラニオールが多いテンジクアオイ属の通称ローズゼラニウム(和名ニオイテンジクアオイ)や、パルマローザの精油の混入が頻繁に行われる。アブソリュートは合成のパルマローザ油成分や、ペルーバルサム油などによる希釈が行われる。市販されるバラ油の多くは完全な合成精油である[2]。
脚注
[編集]- ^ フランス香水委員会監修 『香水賛歌 魅惑の香り』 朝日新聞社、1994年
- ^ a b c d マリア・リス・バルチン 著 『アロマセラピーサイエンス』 田邉和子 松村康生 監訳、フレグランスジャーナル社、2011年
- ^ The Chemistry of Essential Oils and Artificial Perfumes (1921)
外部リンク
[編集]- ダマスク ローズオイル - ブルガリアローズジャパン(株)~PRODUCTS《商品情報》より
- ローズオイル - 『わかさの秘密』(わかさ生活)~成分情報より