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ローウェル・フルソン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ローウェル・フルソン
パリでの公演(1980年)
基本情報
原語名 Lowell Fulson
生誕 1921年3月31日
出身地 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 オクラホマ州アトカ
死没
ジャンル
  • ウェストコースト・ブルース
  • ソウル・ブルース
職業
  • ミュージシャン
  • シンガー
  • ソングライター
担当楽器 ギター
活動期間 1940年代 – 1999年
レーベル

ローウェル・フルソン (Lowell Fulson、1921年3月31日 – 1999年3月7日)[1]は、アメリカ合衆国ブルースギタリストシンガーソングライターである。ウェスト・コーストのスタイルが特徴であった。契約上の都合からLowell FullsomあるいはLowell Fulsomローウェル・フルソム)名義でのレコーディングもある。T-ボーン・ウォーカーに続く世代として、彼はウェスト・コースト・ブルースの最重要人物のひとりであった[2][3]

来歴

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幼少期

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フルソンはオクラホマ州アトカのチョクトー族保留地にて、メイミーとマーティンのフルソン夫妻の子として生を受けた。彼によると父方の祖先はチェロキー族であったが、チョクトー族の祖先もいたという。父親はローウェルの幼少期に殺害され、その数年後に彼は母親、兄弟とともにオクラホマ州内のクラリータに移住、コールゲートへ通学するようになった[4]

ミュージシャンとしてのキャリア

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18歳のとき、フルソンはオクラホマ州エイダに移住し、1940年の数か月間の間、テキサス出身のブルースマン、アルジャー・"テキサス"・アレクザンダーと行動を共にしたが[1]、その後カリフォルニア州に移住しバンドを結成。そこには若きレイ・チャールズテナー・サクソフォーン奏者のスタンリー・タレンタインが在籍していた。フルソンは1943年に軍隊に召集され、1945年まで米国海軍で兵役を務めた[1]

1970年、アナーバー・ブルース・フェスティバル(ミシガン州)にて。撮影:ジェフ・ティルトン
1970年、アナーバー・ブルース・フェスティバル(ミシガン州)にて

フルソンは、1940年代にスウィングタイム・レコードにレコーディング、1950年代にはチェス傘下のチェッカー、1960年代にはケント、1980年代から90年代にかけてはラウンダー傘下のブルズアイ・ブルースにレコーディングをしている。彼はB.B.キング初のヒット曲となったことでも知られる「3 O'Clock Blues」を始め、ブルースのスタンダート曲となった「Reconsider Baby」、ジミー・マクラクリンとの共作「Tramp」などの楽曲を書いている。1965年の「Black Nights」は10年ぶりのヒットとなったが、その2年後の1967年にリリースした「Tramp」はそれを凌ぐ好成績を示し、彼をR&Bのスターに再び押し上げる結果となった[1]。1966年に弟のロバート・フルソンが元レイレッツのマージー・ヘンドリックスと結婚。彼らは1968年に離婚するまでの間、ローウェルとともにステージに立っている。

「カリフォルニア・ブルース:スウィングタイム・トリビュート」と銘打ったショーが1993年にカリフォルニア州オークランドのパラマウント劇場で開催された。出演者にはジョニー・オーティス、チャールズ・ブラウンジェイ・マクシャン、ジミー・ウィザースプーン、ジミー・マクラクリン、アール・ブラウンといった面々が名を連ねた[5]。フルソンの最後のレコーディングとなったのは、ジミー・ロジャーズとのデュエットの「Every Day I Have The Blues」で、1999年にアトランティック・レコードからリリースとなったロジャーズのアルバム『The Jimmy Rogers All-Stars: Blues, Blues, Blues』に収録されている。

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フルソンは1999年3月7日、カリフォルニア州ロングビーチにて死去した。77歳だった[6][7]。彼のパートナーだったティナ・メイフィールドによると死因は腎不全、糖尿病、うっ血性心不全による合併症であった。フルソンには子息が4人、孫が13人いる。彼はカリフォルニア州イングルウッドのイングルウッド・パーク墓地に埋葬されている。

受賞歴

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  • 1993年:ブルースの殿堂入り
    • 同年、「Reconsider Baby」がブルースの殿堂のブルース・レコーディングの古典(シングルまたはアルバム)を受賞
    • 同年、『Hold On』がブルース音楽賞の年間トラディショナル・アルバム賞を受賞
    • 同年、リズム・アンド・ブルース・ファウンデーションのパイオニア賞受賞
  • 1995年:『Them Update Blues』がグラミー賞の最優秀トラディショナル・ブルース・アルバム賞にノミネート
    • 同年、「Reconsider Baby」がロックの殿堂の「ロックンロールを形作った500曲」入り
  • 2010年:『Hung Down Head』がブルースの殿堂のブルース・レコーディングの古典(アルバム)を受賞

ディスコグラフィー(一部抜粋)

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チャート入りしたシングル

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題名 レーベル R&B

最高位

1948年 Three O'Clock Blues Down Town 6
1949年 Come Back Baby Downbeat 13
1950年 Every Day I Have the Blues Swing Time 3
Blue Shadows 1
Lonesome Christmas (I & II) 7
Low Society Blues 8
1951年 I'm a Night Owl (I & II) 10
1954年 Reconsider Baby Checker 3
1955年 Loving You 14
1965年 Black Nights Kent 11
1967年 Tramp 5
Make a Little Love 20
I'm a Drifter 38
1976年 Do You Love Me Granite 78

アルバム

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[9]

題名 レーベル
1962年 Lowell Fulson Arhoolie
1965年 Soul Kent
1967年 Let's Go Get Stoned
1967年 Tramp
1969年 Now!
In a Heavy Bag Jewel
1970年 Hung Down Head Chess
1973年 I've Got the Blues Jewel
1975年 Ol' Blues Singer Granite
1984年 One More Blues Black & Blue
1988年 It's a Good Day Rounder
1992年 Hold On Bullseye Blues/Rounder
1995年 Them Update Blues Bullseye Blues/Rounder

コンピレーション

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題名 レーベル
1965年 The Blues Came Rollin' In International Polydor Production
1969年 San Francisco Blues Fontana
1972年 In A Heavy Bag Polydor
1975年 Lowell Fulson (Early Recordings) Arhoolie
1976年 Lowell Fulson (Chess Blues Masters) Chess
1980年 Man On The Run P-Vine
1981年 Swing Time In The Big Town: Rare And Unreleased Recordings 1946-1953 B & E
1982年 1946-57 Blues Boy
1984年 Every Day I Have the Blues Kent
1985年 The Blues Got Me Down Diving Duck
1986年 Baby Won't You Jump With Me Crown Prince
Blue Days, Black Nights Ace
1987年 I Don't Know My Mind Bear Family
1989年 "Getting Down" - 20 Blues Classics Blue City
So Many Tears Vogue
Reconsider Baby Charly R&B
1991年 Swingin' Party Fan Club
Back Home Blues Night Train Int'l
1994年 Sinner's Prayer Night Train Int'l
1995年 Every Day I Have The Blues Night Train Int'l
1996年 Mean Old Lonesome Blues Night Train Int'l
1997年 The Complete Chess Masters (50th Anniversary Collection) Chess/MCA
2001年 I've Got The Blues (... And Then Some)(The Jewel Recordings 1969-71) Westside [UK]
2002年 The Complete Kent Recordings 1964-1968 P-Vine
2004年 1946-1953, Vols. 1-4(Complete Big Town, Downbeat/Swing Time recordings) JSP

ジョン・リー・フッカーの作品への客演

  • 1970年 『I Feel Good!』 (Carson)
  • 1970年 『I Wanna Dance All Night』 (America)

ジョン・リー・フッカーの作品への客演

  • 1970年 『I Feel Good!』 (Carson)
  • 1970年 『I Wanna Dance All Night』 (America)

脚注

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  1. ^ a b c d Lowell Fulson | Biography & History”. AllMusic. 2025年2月20日閲覧。
  2. ^ Tony Russell (1997). The Blues: From Robert Johnson to Robert Cray. Dubai: Carlton Books. pp. 112–13. ISBN 1-85868-255-X 
  3. ^ Lowell Fulson obituary” (1999年3月12日). 2025年2月20日閲覧。
  4. ^ Bob Eagle; Eric S. LeBlanc (2013). Blues: A Regional Experience. Santa Barbara, California: Praeger. pp. 60. ISBN 978-0313344237 
  5. ^ Witherspoon still serving up the blues”. Sfgate.com (1995年10月27日). 2025年2月20日閲覧。
  6. ^ “Lowell Fulson, 77, Who Took Texas-Style Blues to the West”. New York Times. (1999年3月14日). https://www.nytimes.com/1999/03/14/nyregion/lowell-fulson-77-who-took-texas-style-blues-to-the-west-coast.html 
  7. ^ “Bluesman Lowell Fulson Dies at 77”. Washington Post. (1999年3月12日). https://www.washingtonpost.com/archive/local/1999/03/13/bluesman-lowell-fulson-dies-at-77/24b03861-cd9e-46aa-ba52-be39bdfdfacb/ 2025年2月20日閲覧。 
  8. ^ Whitburn, Joel (1988). “Lowell Fulson”. Top R&B Singles 1942–1988. Menomonee Falls, Wisconsin: w:Record Research. p. 141. ISBN 0-89820-068-7 
  9. ^ Lowell Fulson – Discography”. AllMusic. 2010年5月2日閲覧。

外部リンク

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