コンテンツにスキップ

ルキフゲ・ロフォカレ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
大奥義書』に描かれたルキフゲ・ロフォカレの挿絵

ルキフゲ・ロフォカレLucifuge Rofocale: Lucifugé Rofocale リュシフュージェ・ロフォカル)は、悪魔学における悪魔の一人。主として18世紀から19世紀のフランスで流布したグリモワールである『大奥義書』やその異本『赤い竜』などに登場した悪魔である。ラテン語風にルキフグス・ロフォカルスを縮めてルキフグス(Lucifugus)と呼ばれることもある。

概要

[編集]

『大奥義書』によれば、地獄の3人の支配者ルシファーベルゼビュートアスタロトに仕える6柱の上級精霊の1柱であり、首相宰相を勤める[1]バアルアガレスマルバスを配下に持つ[1][2]

カバラにおけるクリフォトでは、ビナーに対応するサタリエルの長としてルキフゲの名が挙げられている[3]

ルシファーに命じられて世界中の富と宝物を管理しているという。『大奥義書』にはルシファーに呼びかけてルキフゲ・ロフォカレを召喚し、命令して富を得る方法が記されている[4]

ルキフゲ・ロフォカレの名前の前半部分はラテン語の2つの単語「Lux(光)」および「Fugio(逃げる)」からなっており、「光を避ける者」を意味することから、「光をもたらす者」であるルシファーとの関連が示唆される[5][6]。また、後半部分は『ゴエティア』などの他のグリモワールに登場する悪魔のフォカロルアナグラムの関係になっていることが指摘されている[7]

イエズス会の神学者マルティン・デル・リオの著作『魔術の研究』(Disquisitiones magicarum, 1599年)の中では、光を恐れて昼に出現しない悪魔たちを指してルキフゲス(Lucifuges)という言葉が用いられている[8]。この鬼神論書は(『大奥義書』が流布する以前の)17世紀に好評を博し、何度も版を重ねていた[9]

脚注

[編集]
  1. ^ a b The Book of Ceremonial Magic, p187
  2. ^ 『地獄の辞典』 講談社 1990年 p120
  3. ^ S.L.MacGregor Mathers, The Key of Solomon The King(1888), p.122
  4. ^ 草野巧『図解 悪魔学』新紀元社、2010年7月6日、210-217頁。ISBN 978-4-7753-0819-6 
  5. ^ The Book of the Sacred Magic of Abramelin the Mage, The Internet Sacred Text Archive 内の文書(英文、マグレガー・メイザースの英訳版(1900)) p.110
  6. ^ The Book of Ceremonial Magic, p101脚注
  7. ^ 『天使辞典』 p.231 「フォカロル」の項
  8. ^ ジョルダーノ・ベルティ 『天国と地獄の百科』 竹山博英柱本元彦訳、原書房、2001年
  9. ^ 田中雅史 『魔女の誕生と衰退』 三交社、2008年

参考文献

[編集]