数学においてリース函数(リースかんすう、英: Riesz function)とは、リーマン予想との関係でリース・マルツェルによって定義された、次の冪級数で与えられる整函数のことを言う:
とすれば、双曲余接のゼロを中心としたローラン級数展開の係数としてそれは定義される。もし
であるなら、F は次で定義される。
ζ(2k) の値は k が増加するにつれて 1 に近付き、リース函数に対する級数を に対する級数と比較することで、それは整函数を定義することが分かる。また F は
で定義されることもある。
はドナルド・クヌースの記法における上昇階乗であり、Bn はベルヌーイ数である。この級数は代替的な項の一つであり、函数は x が負の方向に増大するにつれて負の無限大へと発散する。正の x についてはより興味深く、繊細な問題となる。
1/2 より大きい任意の冪乗 e に対して、次が成立する。
ただしこの右辺はランダウの記号であり、値は正および負のいずれの方向についても考えられている。リースは、上の式が 1/4 より大きい任意の e について成り立つことはリーマン予想と同値であることを示した[1]。ただしその同じ論文においては、やや悲観的な次の注釈も見られる «Je ne sais pas encore decider si cette condition facilitera la vérification de l'hypothèse»。
リース函数は、メリン変換を介してリーマンゼータ函数と関連付けられる。今
とすれば、 のときに
は収束し、一方 であれば成長条件により
は収束することが分かる。これを組み合わせることで、リース函数のメリン変換は帯状領域 の上で定義されることが分かる。この領域上では、 が成り立つ。
するとメリン逆変換により、リース函数を式
で表すことが出来る。ここで c は -1 と -1/2 の間の値である。リーマン予想が真であるなら、この積分の直線を -1/4 よりも小さい任意の値へと移動することが出来る。したがってリース函数の成長率の 4 乗根と、リーマン予想との同値性が分かる。
J. garcia(脚注を参照)は、ボレル和(英語版)を使うことで に関する次の積分表現を得た。
ここで は 'x' の小数部分である。
F のマクローリン級数の係数の絶対値は、40番目の項 -1.753×1017 において最大値を取るまで増加である。一方、109番目の項において絶対値は 1 よりも小さくなる。はじめの 1000 個の項を取ることで、 に対する の非常に精確な値を得ることが出来る。しかしこの計算を行う際には、次数 1000 の多項式を、大きな分子あるいは分母の係数に対する有理数演算か、100 位を超える浮動小数点計算によって求める必要が生じうる。いずれの方法も、数値計算的に簡単なものではない。
その他の計算手法として、収束加速法(acceleration of convergence)が挙げられる。今
である。ζ(2k) は k が増大するにつれて 1 に近付くため、この級数は
に近付く。実際、リースは次の式を示していた:。
収束加速法に対するクンマーの方法を使うことで、収束率の改善された
が得られる。
この手順を続けることで、収束に関するより良い性質を備える、リース函数に対する新たな級数を得ることが出来る:
ここで μ はメビウス函数であり、項の再構成は絶対収束によって正当化される。再びクンマーの方法を適用することで、
と表すことが出来る。この項は終局的には、n の 1/4 乗によって減少となる。
上述の級数は至る所で絶対収束し、したがって項毎に微分可能であるため、導関数に関する次の式が得られる:
この式は次のように整理できる:
マレク・ウォルフは [2] において、リーマン予想を想定しながら、十分大きな x に対して次の式を示している:
ここで はゼータ函数のはじめの非自明なゼロ点の虚部である。また および である。これは Herbert Wilf によって 1964 年に証明された [3] リース函数のゼロ点と一致する。
- ^ M. Riesz, «Sur l'hypothèse de Riemann», Acta Mathematica, 40 (1916), pp.185-90.». For English translation look here
- ^ M. Wolf, "Evidence in favor of the Baez-Duarte criterion for the Riemann Hypothesis", Computational Methods in Science and Technology, v.14 (2008) pp.47-54
- ^ H.Wilf, " On the zeros of Riesz' function in the analytic theory of numbers", Illinois J. Math., 8 (1964), pp. 639-641
- Titchmarsh, E. C., The Theory of the Riemann Zeta Function, second revised (Heath-Brown) edition, Oxford University Press, 1986, [Section 14.32]
- Jose Javier garcia Moreta Borel Resummation & the Solution of Integral Equations Prespace time Journal Vol 4, No 4 (2013)Math Physics, Modified GR Solutions & Explorations of Natural Constants http://www.prespacetime.com/index.php/pst/issue/view/42