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リヨン・トロリーバス

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リヨン・トロリーバス
リヨン・トロリーバスの主力車両「クリスタリス(フランス語版)」(2009年撮影)
リヨン・トロリーバスの主力車両「クリスタリスフランス語版」(2009年撮影)
基本情報
フランスの旗 フランス
所在地 リヨン
種類 トロリーバス[1][1]
路線網 8系統(2025年時点)[2]
開業 1935年(2代目)[1][1]
所有者 SYTRALモビリテフランス語版[1]
運営者 ケオリス・バス・リヨンフランス語版[1]
路線諸元
電化区間 120 km[2]
電化方式 直流750 V
架空電車線方式[2]
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リヨン・トロリーバスフランス語: Trolleybus de Lyon)は、フランスの都市・リヨン市内に路線網を有するトロリーバス。フランスに現存するトロリーバスの中で最大の路線網を有しており、他の公共交通機関と共に地方公共団体のSYTRALモビリテフランス語版が所有し、リヨン地域交通フランス語版(Transports en commun lyonnais、TCL)のブランド名のもとケオリス・バス・リヨンフランス語版(Keolis Bus Lyon)によって運営されている[1][1][2][3]

歴史

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フランスの都市・リヨンは、フランス国内で最初期にトロリーバスが使用された場所である。1905年に当時の路面電車と接続する路線が運行を開始し、ドイツ人の技師が開発した車両が導入されたが、営業期間は2年にも満たなかった[4][5]

その後、リヨンに再度トロリーバスを導入する動きが始まったのは1930年代、モータリーゼーションの進展を受け、従来の路面電車を始めとした鉄道に代わる、より経済的かつ効率的な交通機関の模索が始まった頃であった。その中で路面電車の運営を実施していたリヨン乗合軌道会社(Omnibus et Tramways de Lyon、OTL)はトロリーバスの導入に関する検討を進め、試運転を経て1935年10月15日に最初の路線が営業運転を開始した[6]

その後、1936年にも2番目の路線が開通したが、本格的に路線網が拡大を始めたのは第二次世界大戦期、燃料不足により路線バスの運行が制限された1940年代前半であった。更に、戦後も路面電車を全面的にトロリーバスに置き換える方針により路線網は更に拡大し、1957年に路面電車が廃止されて2年後の1959年にはリヨン市内に21系統のトロリーバス路線が存在していた[6]

だが、モータリーゼーションの急速な進展の結果、トロリーバスが自動車の走行の妨げになると見做された結果、1959年以降トロリーバスの路線は順次路線バスへ置き換えられていった。その中で利用客が多い系統には大型車両の導入が行われたものの、1969年時点で残存したのは6系統のみとなっていた。この状況が変わったのは石油危機による見直しや信用乗車方式の導入による合理化に伴うもので、以降は新型車両の導入に加え、路線の復活を含めた延伸も実施された[6]

その後、他の公共交通機関(地下鉄ライトレール)の整備に伴い路線網が縮小を続けた時期もあったが、2006年に専用道路やトロリーバスの優先信号を設けた新規系統・C1号線が導入された事を皮切りに、リヨンではトロリーバス網の拡張や再編が積極的に進められた。特に2011年8月29日には路線バスと共に大規模な系統の再編が実施され、2025年時点でもこれを基本とした路線網が構築されている[6][7][8]

系統

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2025年2月現在、リヨン市内には以下のトロリーバス路線が存在する。各系統の頭文字の「C」は路線バスを含めたリヨンの主要バス系統フランス語版を示しており、2006年のC1号線開通時のトロリーバスの最新車両「クリスタリス(Cristalis)」が由来である。また、下記に加えてバス路線のS6号線フランス語版(Hôtel de Ville L. Pradel - Croix-Rousse)にも架線が存在するが、使用されていた車両の老朽化により2022年以降ディーゼルバスが用いられている[6][9][10][11][12]

系統番号 起点 終点 備考
C1 Gare Part-Dieu V. Merle Cuire
C2 Gare Part-Dieu V. Merle Rilleux Semailles
C3 Gare Saint-Paul Vlux-La Grappinière
C4 Jean Macé Cité Internationale
C11 Saxe-Gambetta Laurent Boonevay
C13 Grange Blanche Montessuy Gutenberg
C14 Jean Macé Les Sources
C18 Hôtel de Ville L. Pradel Croix-Rousse Nord

車両

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現有車両

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2025年現在、リヨン・トロリーバスで使用されている営業用車両は以下の通りである[6][9][10][13]

過去の車両

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今後の予定

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リヨンでは2025年6月に大規模なバス路線網の再編が予定されており、トロリーバスについてもC3号線の補完系統であるC23号線(Cité Internationale - Villeurbanne Flachet)の開通およびC5号線へのC4号線の統合などが予定されている。更に、翌2026年には専用レーンを設けたBRTフランス語: Bus à Haut Niveau de Service)の系統であるBHNS1号線の開通が予定されており、新型車両の「ライトラム」が使用される事になっている[9][14]

脚注

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注釈

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出典

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  1. ^ a b c d e f g h Histoire et chiffres clés”. Keolis Bus Lyon. 2025年2月19日閲覧。
  2. ^ a b c d Development of the Lyon trolleybus network”. Enotrac. 2025年2月19日閲覧。
  3. ^ Notre mission”. Keolis Bus Lyon. 2025年2月19日閲覧。
  4. ^ Guy Cuisinaud (2015-05-26). Il était une fois Charbonnières les bains. PASSION BOUQUIN. pp. 103-106. ISBN 978-2363510297 
  5. ^ “Tramways électriques sans rails, autobus à trolèt, système Schiemann”. Revue générale des chemins de fer et des tramways (RetroNews - Le site de presse de la BnF): 338. (1912-04-01). https://www.retronews.fr/journal/revue-generale-des-chemins-de-fer-et-des-tramways/1-avril-1912/2401/3890291/72. 
  6. ^ a b c d e f Lyon - Trolleybus”. AMTUIR. 2025年2月19日閲覧。
  7. ^ Correspondances”. Lyon En Lignes (Août 2011). 2025年2月19日閲覧。
  8. ^ Michel Godet (2011年8月28日). “29 Août, le nouveau projet AUTOUBUS à Lyon: De gros changements !”. 2025年2月19日閲覧。
  9. ^ a b c The next generation in Lyon: More HESS lighTram®19 DC replace the last 12-metre Irisbus Cristalis”. Urban Transport Magazine (2025年2月9日). 2025年2月19日閲覧。
  10. ^ a b Dirk Budach (2025年2月9日). “First HESS “LighTram 19” in service: Lyon significantly expands its trolleybus system”. Urban Transport Magazine. 2025年2月19日閲覧。
  11. ^ Schedules”. TCL. 2025年2月19日閲覧。
  12. ^ Pentes de la Croix-Rousse : vers la fin des trolleybus sur la ligne S6 ?”. Le Progrès (2023年2月19日). 2025年2月19日閲覧。
  13. ^ LES TROLLEYBUS FRANCAIS”. Association Française des Amis des Chemins de Fer (2017年4月6日). 2025年2月19日閲覧。
  14. ^ Presqu’île de Lyon : nouvelle offre de bus pour le centre-ville en 2025”. MET' (2024年9月4日). 2025年2月19日閲覧。

外部リンク

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