コンテンツにスキップ

リチャード・ブレント

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
Richard Peirce Brent
国籍 オーストラリア
研究分野 数学, 計算機科学
研究機関 オーストラリア国立大学
出身校 スタンフォード大学
博士課程
指導教員
ジーン・ゴラブ
George Forsythe
主な受賞歴 ハンナン・メダル (2005)
プロジェクト:人物伝
テンプレートを表示

リチャード・パース・ブレント (Richard Peirce Brent) はオーストラリアの 数学者計算機科学者オーストラリア国立大学 (ANU) 名誉教授。 2005年3月から2010年3月にかけて、連邦フェロー英語版[1]としてANUに所属していた。彼の研究分野には数論 (特に素因数分解)、擬似乱数列生成器コンピュータ・アーキテクチャ及びアルゴリズム解析が含まれる。

1973年、彼は現在ブレント法[2]として知られている求根アルゴリズム (方程式を数値的に解くアルゴリズム) を公表した。

1975年、彼はユージン・サラミン英語版と独立に、円周率の高精度な計算に用いられるサラミン=ブレントのアルゴリズムを考案した。 それと同時に、彼は (log(x)やsin(x)を含む) 全ての初等関数は、ガウス算術幾何平均を用いて、と (小さな定数倍の差を除けば) 同じ時間で高精度の評価が可能であることを示した。[3]

1975年、彼はリーマンゼータ関数の最初の7500万個の複素零点が臨界線上にあることを示し、リーマン予想に対するある程度の経験的根拠を提供した。[4]

1980年、彼はノーベル賞受賞者のエドウィン・マクミランとともに、オイラー=マスケロー二の定数ベッセル関数を用いて高精度に計算する方法を発見し、は単純な p/q (ここで pq整数) の形にならず、q は少なくとも (1015000 を超える) 巨大数でなければならないことを示した。[5]

1980年、彼はジョン・ポラードとともに、ポラード・ロー素因数分解法の変形版アルゴリズムを用いて、8番目のフェルマー数を素因数分解した。[6] 彼は後に10番目[7]と11番目のフェルマー数を、レンストラ楕円曲線素因数分解法英語版を用いて素因数分解した。

2002年、ブレント、Samuli Larvalaとポール・ジマーマン英語版GF(2) 上の非常に大きな原始三項式を発見した:

この多項式の次数 6972593 は、メルセンヌ素数の指数である。[8]

2009年2016年に、ブレントとポール・ジマーマンはいくつかの更に大きな原始三項式を発見した。例:

この次数 43112609英語版 もまた、メルセンヌ素数の指数である。[9] 発見された最高次数の三項式の次数は 74,207,281であり、これもメルセンヌ素数の指数である。[10]

2011年、ブレントとポール・ジマーマンは算術計算を実行するアルゴリズムと、現代のコンピュータ上での実装に関する書籍 Modern Computer Arithmetic (ケンブリッジ大学出版局) を出版した。

ブレントは Association for Computing Machinery (ACM)、 IEEESIAM及びオーストラリア科学院英語版のフェローである。2005年、彼はオーストラリア科学院からハンナン・メダル英語版を授与された。2014年、マッコーリー大学からモーヤル・メダル英語版を授与された。

関連項目

[編集]

出典

[編集]
  1. ^ Federation Fellowships Funding Outcomes 2004 Archived 2012-07-07 at the Wayback Machine. Australian Research Council
  2. ^ Richard Peirce Brent (1973). Algorithms for Minimization without Derivatives. Prentice-Hall, Englewood Cliffs, NJ. Reprinted by Dover Publications, Mineola, New York, 2002 and 2013. ISBN 0-486-41998-3. オリジナル版オーストラリア国立大学にある彼の職業的Webページから入手可能。
  3. ^ Traub, J. F., ed (1975). “Multiple-Precision Zero-Finding Methods and the Complexity of Elementary Function Evaluation”. Analytic Computational Complexity (New York: Academic Press): 151–176. 
  4. ^ “On the Zeros of the Riemann Zeta Function in the Critical Strip”. Mathematics of Computation 33 (148): 1361–1372. (1979). doi:10.2307/2006473. JSTOR 2006473. 
  5. ^ Brent, Richard Peirce and McMillan, E. M. (1980). "Some New Algorithms for High-Precision Computation of Euler's Constant". Mathematics of Computation 34 (149) 305-312.
  6. ^ “Factorization of the Eighth Fermat Number”. Mathematics of Computation 36 (154): 627–630. (1981). doi:10.2307/2007666. JSTOR 2007666. 
  7. ^ “Factorization of the Tenth Fermat Number”. Mathematics of Computation 68 (225): 429–451. (1999). Bibcode1999MaCom..68..429B. doi:10.1090/s0025-5718-99-00992-8. JSTOR 2585124. 
  8. ^ Brent, Richard Peirce and Larvala, S. and Zimmermann, Paul (2005). "A primitive trinomial of degree 6972593". Mathematics of Computation 74 (250) 1001-1002.
  9. ^ Brent, Richard Peirce and Zimmermann, Paul (2011). "The great trinomial hunt". Notices of the American Mathematical Society 58 233-239.
  10. ^ Richard P. Brent, Paul Zimmermann, "Twelve new primitive binary trinomials", arXiv:1605.09213, 24 May 2016.

外部リンク

[編集]