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リサナウト

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

リサナウト古ノルド語: Risanautr, risa巨人の」 + nautr 「贈り物、戦利品」を意味する)[1][2]は、北欧の伝承に登場する武器。以下の3種類の用例がみられる。

  1. アムロージのサガ』の序盤に登場する
  2. 『アムロージのサガ』の終盤に登場する
  3. ガウトレクの息子フロールヴのサガ英語版』に登場するフロールヴ・ガウトレクスソン(ガウトレクの息子フロールヴ)英語版

『アムロージのサガ』に登場する斧

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リサナウトという名の斧は、サガの一つ『アムロージのサガ』(Amlóða saga, アムレートに関するサガ、『アンバレス・サガ』Ambáles saga などとも)[3]に登場する。

『アムロージのサガ』の序盤[4]、アムロージ (Amlóði) の父王サルマン (Salman) が治めるキンブリア (Cimbria) の地に、スキティア (Scythia) の王弟ファウスティヌス (Faustinus) が率いる異教徒の大軍が攻め込んできた場面で登場する。戦いの中で、おそらく異教徒たちの味方として、ロソー (Rosó) という名の巨人が重厚な戦斧を携えて登場する。巨人はその斧でサルマン王の勇士ヴィクトル (Victor) に打ちかかり、彼が乗っていた馬を一太刀にする。ヴィクトルは鞍から飛び降りてその一撃を避け、巨人の腕を切り落とすことで斧を奪い、逆にその斧を巨人の頭に深々と打ち込み、巨人を倒す[5]。その直後、ヴィクトルはファウスティヌスの手にかかり戦死するが、その後サルマン王がファウスティヌスと直接対峙した際に、サルマン王が「リサナウト(巨人の贈り物)」という斧を手に獅子奮迅するという描写がある[6]

『アムロージのサガ』に登場する剣

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『アムロージのサガ』の終盤[7]にも、リサナウトという同名の剣が登場する。ヘフェストゥス (Hephestus) が帰国する際に、アムロージ王が自身の剣「リサナウト」をヘフェストゥスに渡している[8]

フロールヴ・ガウトレクスソンの剣

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古代のサガの一つ『ガウトレクの息子フロールヴのサガ英語版』でも、リサナウトという名前の剣が登場する。

『ガウトレクの息子フロールヴのサガ』の中盤[9]で、巨人の家に忍び込んだフロールヴ王は、巨大な剣を発見する。その後フロールヴは、帰ってきた家主の巨人グリームニル (Grímnir) を殺し、その剣「リサナウト(巨人の贈り物)」を入手した[10][11]。本サガ中ではこの後もリサナウトはたびたび言及される。

脚注

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  1. ^ "Risanautr" の表記は以下の文献にみられる:Pulsiano & Wolf (2017), p. 304; risanautr sb. m., risanautur (ONP)”. Dictionary of Old Norse prose. コペンハーゲン大学. 2022年9月12日閲覧。
  2. ^ Gollancz (1898), pp. 33, 37 では「giant's treasure(巨人の財宝)」と、Gollancz (1898), p. 179 では「gift of the giant(巨人の贈り物)」と、Waggoner (2014), p. 73 では「Giant's Gift(巨人の贈り物)」と、Pulsiano & Wolf (2017), p. 303 では「giant's companion(巨人の伴)」と訳されている。
  3. ^ 『アムロージのサガ』という表記は以下の文献にみられる:サクソ・グラマティクス 著、谷口幸男 訳『デンマーク人の事績』東海大学出版会、1993年9月30日。ISBN 4-486-01224-0  p. 428.(訳注 第三の書(一六))
  4. ^ Gollancz (1898) 版では第6章から第8章。本サガは全41章である。
  5. ^ Gollancz 1898, p. 27.
  6. ^ Gollancz 1898, pp. 33, 37.
  7. ^ Gollancz (1898) 版では第38章。
  8. ^ Gollancz 1898, p. 179.
  9. ^ Jónsson & Vilhjálmsson (1943) では第18章から第19章。本サガは全37章である。
  10. ^ Jónsson & Vilhjálmsson 1943.
  11. ^ Waggoner 2014, pp. 69–73.

参考文献

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