コンテンツにスキップ

メルテンスの定理

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

メルテンスの定理(メルテンスのていり、Mertens' theorems)は、1874年ポーランド数学者フランツ・メルテンス英語版によって証明された、素数を含んだの評価に関する一連の定理である。 評価の厳しさは素数定理よりも弱いが、素数定理に比べ、証明が比較的容易である。

定理

[編集]

p が素数を走るとき、次の評価が成り立つ。

O, o はランダウの記号である。これらの不等式を順に、第一定理から第三定理と呼ぶ。

また第二定理に現れる定数 b をMeissel–Mertens定数英語版という。

第一定理の証明

[編集]

素数 p が n の階乗 を割り切る回数を とおくと ルジャンドルの公式 より

であるから

が成り立つ。よって

となるから

となるが、チェビシェフ関数の初等的な評価より

が成り立ち、階乗の増大度について、

がすぐわかる(スターリングの公式はより強い近似を与えるが、上の近似はより容易に導かれる)から

となる定数 が存在する。一方

となる定数 が存在することは

が収束することからわかる。

第二定理の証明

[編集]

とおく。第一定理より である。よって積分

のとき収束する。したがって、アーベルの総和公式より

となるので、第二定理は

について成り立つ。

第三定理の証明

[編集]

収束性は

および

から、第二定理よりすぐに導かれる。

定数部分が であることの証明は概略のみ述べる。

とおく( g (s) についての等式はリーマンゼータ関数のオイラー積から得られる)。アーベルの総和公式を用いて

が得られる。ここで とおくとオイラーの定数の積分表示から

となる。これと第二定理を用いて

が示せる。 より

つまり

である。再び第二定理を用いて

が得られ、第三定理が示される。

参考文献

[編集]
  • Hardy, G.H.; Wright, E.M. (2008) [1938]. An Introduction to the Theory of Numbers. Revised by D.R. Heath-Brown and J.H. Silverman. Foreword by Andrew Wiles. (6th ed.). Oxford: Oxford University Press. ISBN 978-0-19-921986-5. Zbl 1159.11001 
  • Apostol, Tom A. (1976). Introduction to analytic number theory. Undergraduate Texts in Mathematics. Springer-Verlag. doi:10.1007/978-1-4757-5579-4. ISBN 978-1-4757-5579-4. MR0434929. Zbl 0335.10001