メソダーモケリス
メソダーモケリス | |||||||||||||||||||||||||||||||||
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![]() メソダーモケリス・ウンデュラータス M. undulatus
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地質時代 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
白亜紀カンパニアン前期 - マーストリヒチアン前期 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
分類 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
Mesodermochelys Hirayama and chitoku1996[1] | |||||||||||||||||||||||||||||||||
種 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
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メソダーモケリス (学名: Mesodermochelys)は、中生代白亜紀後期の約8,000万年前 - 7,000万年前に生息していたウミガメの絶滅した属。爬虫綱 - カメ目 - ウミガメ上科 - オサガメ科に属する。学名は中生代 (Mesozoic) のオサガメ (Dermochelys) の意[2]。
形態
[編集]甲長は論文から記載されている限りは最大150cm[3]、推定全長は2mとされる[4]大型のウミガメ。上腕骨の外側突起が発達するなどオサガメ科独特の特徴を持つ。しかし、現生のオサガメや新生代の属などとは異なり骨質の甲羅はそれほど退化していない。ただし、鱗板の痕跡である鱗板溝は背甲の中央に僅かに見られるだけであった。[5]この属の特徴的な形質としては、背甲の周縁、縁版の内側が波打った様な形状となっている事が挙げられる。頭部はプロトステガ科に似ており、現生のオサガメの様なクラゲ食特化ではなく魚を始めとする様々な動物質を摂食していたと思われる。[2]
分布・沿革
[編集]メソダーモケリス・ウンデュラータス Mesodermochelys undulatus の化石は、旧穂別町のマーストリヒチアン前期の函淵層群で発見され、帝京科学技術大学の平山廉と穂別町立博物館の地徳力により1996年に新属として報告された。[3]平山は、そのほか洲本市[6]、旧塩江町[7]のマーストリヒチアン前期の和泉層群、中川町[8]のカンパニアン前期の蝦夷層群から発見された化石についても同種であると主張している。
日本以外から本属の化石が発見されていなかったことから、日本近海の固有種であったと考えられていた。しかし、2024年の研究においてチリから本属とみられる化石が記載され、本属が南半球まで分布を広げていた可能性が示された[9]。また、日本において同時代に他のウミガメ化石の発見が少ないことから、日本近海における優占種であったと考えられている[7]。
脚注・出典
[編集]- ^ 中山町郷土資料館だより No.9 Archived 2008年1月8日, at the Wayback Machine.
- ^ a b 『カメのきた道 : 甲羅に秘められた2億年の生命進化』 133頁
- ^ a b Hirayama R, Chitoku T. (1996). "Family Dermochelyidae (Superfamily Chelonioidea) from the Upper Cretaceous of North Japan". Transactions and proceedings of the Palaeontological Society of Japan. New series 184: 597-622.
- ^ 土屋健、小林快次、櫻井和彦、西村智弘『ザ・パーフェクト―日本初の恐竜全身骨格発掘記:ハドロサウルス発見から進化の謎まで』株式会社誠文堂新光社、2016年7月21日 。
- ^ 『カメのきた道 : 甲羅に秘められた2億年の生命進化』 131頁
- ^ 平山廉「 兵庫県淡路島の和泉層群より発見された原始的オサガメ科(ウミガメ上科;カメ目)」(1993 日本古生物学会1993年会・総会予稿集)
- ^ a b 平山廉、藤井明、高橋啓一「香川県高松市塩江町の上部白亜系和泉層群より産出したオサガメ科化石」(2006 化石 (80))
- ^ 平山廉、疋田吉識「Mesodermochelys (Testudines; Chelonioidea; Dermochelyidae) from the Late Cretaceous of Nakagawa-cho, Hokkaido, North Japan」(1998 中川町自然誌博物館研究紀要(1))
- ^ Otero, Rodrigo A. (2025-02-01). “Review of two marine vertebrate assemblages from the Arauco Basin (central Chile) reveals diversity changes throughout the Maastrichtian”. Cretaceous Research 166: 105996. doi:10.1016/j.cretres.2024.105996. ISSN 0195-6671 .
関連項目
[編集]- ウミガメ
- オサガメ - オサガメ科の唯一の現生種。
- エオスファルギス - 新生代始新世に生息したオサガメ科の属。甲羅の退縮が著しい。
- プロトステガ科 - 中生代に生息したウミガメの初期グループで、絶滅した分類群。アーケロンなどが同時代に生息。
参考文献
[編集]- 平山廉『カメのきた道 : 甲羅に秘められた2億年の生命進化』NHKブックス、2006年、130 - 134頁頁。ISBN 978-4-14-091095-5。