ムギツク
ムギツク | ||||||||||||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ムギツク Pungtungia herzi
なかがわ水遊園飼育展示個体 | ||||||||||||||||||||||||||||||
分類 | ||||||||||||||||||||||||||||||
| ||||||||||||||||||||||||||||||
学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Pungtungia herzi Herzenstein, 1892 | ||||||||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
ムギツク | ||||||||||||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
striped shiner |
ムギツク(麦突、Pungtungia herzi[1])は、コイ科ムギツク属に分類される淡水魚[2]。
分布
[編集]日本(福井県[1]、岐阜県[1]、三重県、淀川水系以西の本州[2]、四国〈香川県、徳島県〉[2]、九州北部[2][1])。ただし、琵琶湖内とその流入河川でもまれに見られる(天然分布)。鴨緑江以南の朝鮮半島のほぼ全域[2]。
形態
[編集]全長10-15 cm[1]。体色は背側は褐色で、腹側は白色。吻端から尾鰭の基底まで体軸に沿って1本の太い黒色の縦帯が入る[1]。この縦帯は、10 cm以上の成熟した個体になるに伴い消失する[1]。稚魚は各鰭が橙色に染まる。
吻端は細長く尖り、下顎に1対の髭がある。側線は完全。
生態
[編集]流れの緩やかな河川、用水路等に生息する[2]。数尾から十数尾からなる小規模な群れを形成し生活する。昼行性。性質は臆病で石の下や水草等の物陰に潜んでいることが多い。
食性は動物食傾向の強い雑食で[1]、水生昆虫や藻類などを石をつつきながら食べる[1]。
繁殖形態は卵生で、5-6月に石の下や水草などに卵を産みつける[1][2]。オヤニラミやコウライオヤニラミ、ドンコ、ギギ等の巣に托卵することもある[1][2][3][4]。その他ヌマチチブやヨシノボリ類、外来種のブルーギル、オオクチバス等にも托卵するとされるが、詳細は不明。受精卵は、水温22-25度で約4-5日で孵化する[2]。
人間との関係
[編集]開発による生息地の改変に伴い、本来の生息地では生息数の減少がみられるところが多い。一方で、人為的に、関東地方に移入されている[1][5][注釈 1]。
一般的ではないものの、食用とされることもある[2]。肉は淡白で[2]、塩焼き・唐揚げ・甘露煮などにできる。肉質は良い。ただし、内部寄生虫(肝吸虫等)を保持する可能性があり、生食は薦められないとされる。
採集方法としては網を使い水草を掬う他に、釣りで捕らえることもできる。
観賞魚として飼育されることもある。鮮やかな縦帯と橙色の鰭をもつので、日本国内に分布する淡水魚では人気が高く、飼育も容易とされている。本来の生息地ではない地域でも販売されている。加えて、本種を含めた国内移入種(コイ・アユ・オヤニラミ・ハス・カネヒラ・ドンコなど)による生態系の攪乱が懸念されている。大阪府レッドリスト2014では「絶滅危惧Ⅱ類」に分類されている[2]。
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ a b c d e f g h i j k l “ムギツク / 国立環境研究所 侵入生物DB”. www.nies.go.jp. 国立環境研究所. 2023年2月20日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l “ムギツク | 淡水魚図鑑(在来種)|図鑑”. www.knsk-osaka.jp. 大阪府立環境農林水産総合研究所. 2023年2月20日閲覧。
- ^ Baba, R. & Karino, K. (1998) Countertactics of the Japanese aucha perch Siniperca kawamebari against brood parasitism by the Japanese minnow Pungtungia herzi. Journal of Ethology Vol.16, No.2, pp.67-72.
- ^ Yun, Young-Eun; Yu, Jeong-Nam; Kim, Sang Ki; Hwang, Ui Wook; Kwak, Myounghai (2013-10). “Using Next-Generation Sequencing and Cross-Species Amplification in the Genus Pseudopungtungia” (英語). International Journal of Molecular Sciences 14 (10): 19923–19931. doi:10.3390/ijms141019923. ISSN 1422-0067. PMC 3821594. PMID 24084733 .
- ^ 田澤 加奈子,加藤 修一,金澤 道夫, 神流川頭首工ハーフコーン型魚道におけるモニタリング調査について 2012年11月13日閲覧。
参考文献
[編集]- 『原色ワイド図鑑5 魚・貝』、学習研究社、1984年、11頁。
- 『小学館の図鑑NEO 魚』、小学館、2003年、39頁。
- 川那部浩哉・水野信彦・細谷和海編『山渓カラー名鑑 改訂版 日本の淡水魚』、山と渓谷社、2001年、300-301頁。
- 向井貴彦・西田睦「日本産ドンコにおけるミトコンドリアDNAの系統と関東地方への人為移植の分子的証拠」、『魚類学雑誌』第50巻第1号、2003年、71-76頁。