ミリ波レーダー用特定小電力無線局
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ミリ波レーダー用特定小電力無線局(ミリはレーダーようとくていしょうでんりょくむせんきょく)は、特定小電力無線局の一種であるミリ波帯レーダーのことである。
定義
[編集]- ミリ波レーダー(ミリメートル波帯の周波数の電波を使用するレーダーであつて、無線標定業務を行うもの((12)に規定する移動体検知センサーを除く。)用で使用するものであつて、次に掲げる周波数の電波を使用するもの
- (一) 60GHzを超え61GHz以下の周波数
- (二) 76GHzを超え77GHz以下の周波数
- (三) 77GHzを超え81GHz以下の周波数
と定義している。
促音の表記は原文ママ
2020年(令和2年)1月30日[1]現在
総務省告示周波数割当計画では別表9-11に、60.5GHz、76.5GHz、79GHzと規定 [2] している。
概要
[編集]特定小電力無線局として共通の特徴は、特定小電力無線局#概要を参照。
電波産業会(略称ARIB)が、
- 無線設備規則第49条の14第13号及び関連告示の技術基準を含めて、標準規格「ARIB STD-T48 特定小電力無線局ミリ波レーダー用無線設備」[3]
- 第13号は上述の(一) 又は(二)
- 無線設備規則第49条の14第14号及び関連告示の技術基準を含めて、標準規格「ARIB STD-T111 79GHz帯高分解能レーダー」[4]
- 第14号は上述の(三)
を策定している。
車両衝突防止用として車間距離の計測に用いられる。
技術基準
[編集]周波数 | 空中線電力 | 空中線(アンテナ)の絶対利得 |
---|---|---|
60.5GHz | 0.01W以下 | 40dB以下 |
76.5GHz | ||
79GHz | 0.01W以下 但し占有周波数帯幅が2GHz以下の場合は1MHzの帯域幅における平均電力が5μW以下 |
35dB以下 |
- 混信防止機能
- 受信した電波の変調その他の特性を識別することにより、自局が発射した電波の反射波と他の無線局が発射した電波を判別できること
- 60.5GHzおよび76.5GHzは、計測時以外は電波の発射を停止する機能を搭載すること
旧技術基準による機器の使用期限
[編集]線設備規則のスプリアス発射等の強度の許容値に関する技術基準の改正[5]により、旧技術基準に基づき認証された適合表示無線設備に使用期限が設定[6] された。
対象となるのは、60.5GHzまたは76.5GHz(定義(一)または(二)のもの)で
である。
この期限は、後にコロナ禍により[9]「当分の間」延期 [10]された。
詳細は特定小電力無線局#旧技術基準による機器の使用期限を参照。
技適未取得機器を用いた実験等の特例
[編集]電波法施行規則第6条の2の4に規定する機器は、技術基準適合証明を取得していなくても届出から180日以内[11]は、実験等無線局として使用できる。 但し同一目的での期間延長はできない。
ミリ波レーダー用の対象は、定義にある三種類全てである。
沿革
[編集]1995年(平成7年)
- 特定小電力無線局の一種として制度化[12][13]
- 周波数は60.5GHzおよび76.5GHzの二種類
- 呼出名称記憶装置の搭載が義務付けられていたが、メーカー記号と製造番号を送信するもので具体的な使用者を特定できるものではなかった。
- ARIBが「 STD-T48」を制定[3]
1998年(平成10年)- 呼出名称記憶装置の搭載が廃止、混信防止機能の搭載が義務付け [14]
2003年(平成15年)- 電波の利用状況調査で、3.4GHz以上の免許不要局の出荷台数を公表[15]
- 以降、三年周期で公表
2012年(平成24年)
2021年(令和元年)- 技適未取得機器を用いた実験等の特例の対象に[19]
2022年(令和4年)- 電波の利用状況調査で、714MHz以上の免許不要局の出荷台数を公表
- 以降、二年周期で公表[20]
出荷台数
[編集]年度 | 出典 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
周波数 | 平成12年度 | 平成13年度 | 平成14年度 | 第2章 電波利用システムごとの調査結果(免許不要局)[21] | |||
60.6GHz | 17 | 11 | 1 | ||||
76.5GHz | 143 | 106 | 853 | ||||
周波数 | 平成15年度 | 平成16年度 | 平成17年度 | 第2章 電波利用システムごとの調査結果(免許不要局)[22] | |||
60.5GHz | 2 | 9 | 9 | ||||
76.5GHz | 2,641 | 4,332 | 4,789 | ||||
周波数 | 平成18年度 | 平成19年度 | 平成20年度 | 第2章 電波利用システムごとの調査結果(免許不要局)[23] | |||
60-61GHz | 7 | 15 | 26 | ||||
76-77GHz | 33,337 | 56,961 | 52,967 | ||||
周波数 | 平成21年度 | 平成22年度 | 平成23年度 | 第2章 電波利用システムごとの調査結果(免許不要局)[24] | |||
60.5GHz | 76,188 | 38,663 | 38,379 | ||||
76.5GHz | |||||||
周波数 | 平成24年度 | 平成25年度 | 平成26年度 | 第2章 電波利用システムごとの調査結果(免許不要局)[25] | |||
60-61GHz | 30 | 34 | 13 | ||||
76-81GHz | 85,713 | 117,381 | 310,193 | ||||
周波数 | 平成27年度 | 平成28年度 | 平成29年度 | 第2章 電波利用システムごとの調査結果(免許不要局)[26] | |||
60-61GHz | 142 | 0 | 0 | ||||
76-77GHz | 1,008,506 | 2,198,628 | 2,543,891 | ||||
77-81GHz | 59 | 121 | 99 | ||||
周波数 | 令和元年度 | 令和2年度 | 出典 | ||||
60-61GHz | 9 | 9 | 第2章 電波利用システムごとの調査結果(免許不要局)[27] | ||||
76-77GHz | 4,200,714 | 4,649,130 | |||||
77-81GHz | 631 | 1,598 | |||||
|
脚注
[編集]- ^ 令和2年総務省令第4号による電波法施行規則改正
- ^ 令和2年総務省告示第411号による周波数割当計画全部改正
- ^ a b 標準規格概要(STD-T48) ARIB - 標準規格等一覧
- ^ a b 標準規格概要(STD-T111) ARIB - 標準規格等一覧
- ^ 平成17年総務省令第119号による無線設備規則改正
- ^ 平成17年総務省令第119号による無線設備規則改正附則第3条第1項
- ^ 平成17年総務省令第119号による無線設備規則改正の施行日の前日
- ^ 平成17年総務省令第119号による無線設備規則改正附則第5条第4項
- ^ 無線設備規則の一部を改正する省令の一部改正等に係る意見募集 -新スプリアス規格への移行期限の延長-(総務省報道資料 令和3年3月26日)(2021年4月1日アーカイブ) - 国立国会図書館Web Archiving Project
- ^ 令和3年総務省令第75号による無線設備規則改正の令和3年8月3日施行
- ^ 電波法施行規則第6条の3第2項
- ^ 平成7年郵政省令第87号による電波法施行規則改正
- ^ 平成7年郵政省告示第539号による平成元年郵政省告示第42号改正
- ^ 平成10年郵政省令第86号による電波法施行規則改正
- ^ 平成15年度電波の利用状況調査の調査結果(暫定版)及び評価結果の概要(案)」の公表及び「平成15年度電波の利用状況調査の評価結果の概要(案)」に対する意見の募集(総務省 報道資料 平成15年12月26日)別添(2004年12月13日アーカイブ) - 国立国会図書館Web Archiving Project
- ^ 平成24年総務省告示第437号による周波数割当計画改正
- ^ 平成24年総務省令第99号による電波法施行規則改正
- ^ 平成24年総務省告示第421号による平成元年郵政省告示第42号改正
- ^ 令和元年総務省令第58号による電波法施行規則改正
- ^ 令和2年総務省令第36号による電波の利用状況の調査等に関する省令改正
- ^ 「平成15年度電波の利用状況調査の評価結果の概要」p.2 (「平成15年度電波の利用状況調査の調査結果(暫定版)及び評価結果の概要(案)」の公表及び「平成15年度電波の利用状況調査の評価結果の概要(案)」に対する意見の募集 別添(総務省 報道資料 平成15年12月26日))(2004年12月13日アーカイブ) - 国立国会図書館Web Archiving Project
- ^ 「平成18年度電波の利用状況調査の調査結果」p.953(「平成18年度電波の利用状況調査の調査結果の概要」の公表及び「平成18年度電波の利用状況調査の評価結果(案)」に対する意見の募集 別紙2(総務省 報道資料 平成19年1月31日))(2007年8月8日アーカイブ) - 国立国会図書館Web Archiving Project
- ^ 「平成21年度電波の利用状況調査の調査結果」p.708(「平成21年度電波の利用状況調査の調査結果」の公表及び「平成21年度電波の利用状況調査の評価結果(案)」に対する意見募集 別紙2(総務省 報道資料 平成22年5月28日))(2010年6月8日アーカイブ) - 国立国会図書館Web Archiving Project
- ^ 「平成24年度電波の利用状況調査の調査結果 3.4GHz以上の周波数帯 平成25年5月」p.681 (「平成24年度電波の利用状況調査の評価結果(案)」に対する意見募集 別紙2(総務省 報道資料 平成25年5月10日))(2013年6月4日アーカイブ) - 国立国会図書館Web Archiving Project
- ^ 「平成27年度電波の利用状況調査の調査結果(3.4GHz以上の周波数帯)平成28年4月」p.735(「平成27年度電波の利用状況調査の調査結果」の公表及び「平成27年度電波の利用状況調査の評価結果(案)」に対する意見募集 別紙2(総務省 報道資料 平成28年3月31日))(2016年4月1日アーカイブ) - 国立国会図書館Web Archiving Project
- ^ 「平成30年度電波の利用状況調査の調査結果 3.4GHz以上の周波数帯 令和元年5月」p.2-1(「平成30年度電波の利用状況調査の調査結果」の公表及び「平成30年度電波の利用状況調査の評価結果(案)」に対する意見募集 別紙2(総務省 報道資料 令和元年5月27日))(2019年6月1日アーカイブ) - 国立国会図書館Web Archiving Project
- ^ 「令和3年度電波の利用状況調査の調査結果 714MHz以上の周波数帯 令和4年5月」p.2-1(「令和3年度電波の利用状況調査の調査結果」の公表及び「令和3年度電波の利用状況調査の評価結果(案)」に対する意見募集 別紙2(総務省 報道資料 令和4年5月19日))(2022年6月2日アーカイブ) - 国立国会図書館Web Archiving Project