マンサク
マンサク | |||||||||||||||||||||||||||
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分類(APG III) | |||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||
Hamamelis japonica Siebold et Zucc. (1845)[1] | |||||||||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||||||||
マンサク(満作、万作) | |||||||||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||||||||
Japanese witch hazel | |||||||||||||||||||||||||||
変種・品種[1] | |||||||||||||||||||||||||||
マンサク(満作[10][11]・万作[11]、学名: Hamamelis japonica)は、マンサク科マンサク属の落葉小高木。
名称
[編集]和名マンサクの語源は明らかでないが、早春に他の木に先駆けて花が咲くことから「まず咲く」「真っ先」が転訛した説[12][10][13]、また黄金色の花が多数咲くと豊作になるといわれることから「万年豊作」に由来するなどの説[12][10][14][15]、あるいは花がたくさん咲くから「満咲き」からだとする説がある[13]。
葉の形が左右非対称で不整なことから、カタソゲ(片削げ)という俗名がある[16]。
分布・生育地
[編集]日本の北海道渡島半島[10]、本州の太平洋側から四国、九州に分布する[12]。
日本各地の山地に生える[10]。山林に多く、山里の雑木林や谷筋の林に自生する[17]。また花木として庭に植えられる[18]。
形態・生態
[編集]落葉広葉樹の小高木。多くは高さ3メートル (m) ほどの灌木で[16]、生長すると5 - 6 mになる[10]。樹皮は灰褐色で滑らか[11]。一年枝は淡褐色で毛がある[11]。葉は互生し、短い柄がついた長さ5 - 15センチメートル (cm) の菱形状の円形から広卵形で左右が歪み、葉身が厚く波状の鋸歯がある[12][10][16]。表は濃い緑色でツヤがあり、葉裏の葉脈上に淡褐色の毛が密生して目立つ[16][19]。秋は黄葉して黄色から橙色に色づき、落葉すると褐色に変わる[10][20]。日当たりがよいと、赤っぽく色づく個体もある[18]。
開花期は2 - 3月[12]。雌雄同株[21]。葉に先駆けて黄色の花が房状にたくさん咲いて目立ち[12][16]、ほのかに芳香がある[21]。花の直径は3 - 4 cm[16]、がく、花弁と雄蕊および仮雄蕊が4個ずつあり、雌蕊は2本の花柱を持つ。花弁は長さ10 - 15ミリメートル (mm) 、幅2 mmほどの細長いひも状でねじれる[12][10][16]。萼片は長さ約3 mmの暗赤褐色で、円形で反り返る[10]。
果期は9 - 10月[10]。果実は蒴果で、直径約10 mmの卵状球形で褐色の短毛が密生し[10]、黒色の大きな種子を2個含む[11]。果実はホウセンカのように、成熟後に乾燥することで先の皮が裂けて種子が飛び散る。
冬芽は互生し、短毛を密生し、2枚の芽鱗は落ちやすく裸芽になる[11]。頂芽は長楕円形で柄がある[11]。花芽は卵球状で、下を向いた柄の先に2 - 4個つく[11]。側芽は葉芽である[11]。葉痕は半円形や三角形で維管束痕が3個ある[11]。
利用
[編集]まだ晩冬の寒いうちから開花して、春の訪れを告げる木として印象が深いことから、庭木や公園樹として植えられる[10][20]。欧米でも人気があり植栽されている[20]。樹皮の繊維が強く、岐阜県白川郷の合掌造りに使われる[11]。黄色い花は切り花としても用いられ、花が赤い品種のアカバナマンサク(赤花満作)や、花弁の基部が紅色の品種ニシキマンサク(錦満作)もある[16]。
亜種・変種・品種
[編集]- オオバマンサク H. j. subsp. megalophylla
- 本州中部地方以北に分布する亜種。
- ウラジロマルバマンサク H. j. var. discolor
- 北陸地方に分布する変種。
- ウラジロマンサク H. j. var. glauca
- 近畿・中部地方に分布する変種。
- アテツマンサク H. j. var. bitchuensis
- 中国・四国地方(愛媛県)に分布する[22]変種。萼片が黄色(マンサクの萼片は暗紫色)[22]。葉の両面に星状毛がある[22][23]。環境省のレッドデータブックでは、準絶滅危惧(NT)[24]。「アテツ」は岡山県の旧阿哲郡から、変種名の bitchuensis は備中国から。青龍寺に原木がある。
- アカバナマンサク(赤花満作) H. j. f. incarnata
- 花弁の赤い品種[16]。
- ニシキマンサク(錦満作) H. j. var. discolor f. flavopurpurascens
- ウラジロマルバマンサクの花弁の基部が紅色をしている品種[16]。
- マルバマンサク(丸葉満作) H. j. var. discolor f. obtusata
- ウラジロマルバマンサクの品種とされ、北海道南部から本州の日本海側にかけて分布する。葉の上半分が半円形をしていることからその名がある[25][18]。
マンサク属
[編集]マンサク属(マンサクぞく、学名: Hamamelis)は、マンサク科の属の一つ。東アジアと北米に分布し、4種ほどに分けられている。
- マンサク Hamamelis japonica
- 日本固有種。
- シナマンサク Hamamelis mollis
- 中国原産。花の芳香が強く、冬の枯れ葉が春まで落ちずに残る特徴があり、日本でも庭などによく植栽される[20]。葉は枯れても春先まで枝に残る[20]。庭木にされ、紅葉は濃い黄色に色づく[18]。日本のマンサクとの雑種 H. x intermedia には多くの園芸品種が作出され、よく栽培されている。
- ハヤザキマンサク Hamamelis vernalis
- アメリカマンサク (ハマメリス)Hamamelis virginiana
- 北米原産。マンサクによく似るが、花は秋に咲く。葉・樹皮のエキスは収斂薬や化粧水として古くから使われている。
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H. x intermedia 'Diana'
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H. x intermedia 'Pallida'
脚注
[編集]- ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Hamamelis japonica Siebold et Zucc.”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2022年3月29日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Hamamelis japonica Siebold et Zucc. var. bitchuensis (Makino) Ohwi”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2022年3月29日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Hamamelis japonica Siebold et Zucc. var. discolor (Nakai) Sugim.”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2022年3月29日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Hamamelis japonica Siebold et Zucc. var. discolor (Nakai) Sugim. f. auriflora Satomi”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2022年3月29日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Hamamelis japonica Siebold et Zucc. var. discolor (Nakai) Sugim. f. flavopurpurascens (Makino) Rehder”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2022年3月29日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Hamamelis japonica Siebold et Zucc. var. discolor (Nakai) Sugim. f. obtusata (Makino) H.Ohba”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2022年3月29日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Hamamelis japonica Siebold et Zucc. var. glauca (Koidz.) Kitam.”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2022年3月29日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Hamamelis japonica Siebold et Zucc. var. megalophylla (Koidz.) Kitam.”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2022年3月29日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Hamamelis japonica Siebold et Zucc. f. pendula Okuyama”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2022年3月29日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l m 西田尚道監修 学習研究社編 2000, p. 50.
- ^ a b c d e f g h i j k 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文 2014, p. 220.
- ^ a b c d e f g 平野隆久監修 永岡書店編 1997, p. 25.
- ^ a b 辻井達一 2006, p. 67.
- ^ “マンサク”. みんなの趣味の園芸. NHK出版. 2021年1月3日閲覧。
- ^ 樹木シリーズ③ マルバマンサク - あきた森づくり活動サポートセンター
- ^ a b c d e f g h i j 辻井達一 2006, p. 68.
- ^ 長谷川哲雄 2014, pp. 10, 39.
- ^ a b c d 林将之 2008, p. 29.
- ^ 長谷川哲雄 2014, p. 39.
- ^ a b c d e 亀田龍吉 2014, p. 113.
- ^ a b 長谷川哲雄 2014, p. 10.
- ^ a b c 『樹に咲く花 離弁花2』、19頁。
- ^ 波田善夫. “アテツマンサク”. 植物雑学事典. 岡山理科大学. 2011年12月24日閲覧。
- ^ 環境省自然環境局生物多様性センター. “絶滅危惧種検索”. 生物多様性情報システム. 2011年12月24日閲覧。
- ^ 辻井達一 2006, p. 70.
参考文献
[編集]- 亀田龍吉『落ち葉の呼び名辞典』世界文化社、2014年10月5日、113頁。ISBN 978-4-418-14424-2。
- 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文『樹皮と冬芽:四季を通じて樹木を観察する 431種』誠文堂新光社〈ネイチャーウォチングガイドブック〉、2014年10月10日、220頁。ISBN 978-4-416-61438-9。
- 辻井達一『続・日本の樹木』中央公論新社〈中公新書〉、2006年2月25日、67 - 70頁。ISBN 4-12-101834-6。
- 西田尚道監修 学習研究社編『日本の樹木』学習研究社〈増補改訂ベストフィールド図鑑 5〉、2000年4月7日、50頁。ISBN 978-4-05-403844-8。
- 長谷川哲雄『森のさんぽ図鑑』築地書館、2014年3月10日、10頁。ISBN 978-4-8067-1473-6。
- 林将之『紅葉ハンドブック』文一総合出版、2008年9月27日。ISBN 978-4-8299-0187-8。
- 平野隆久監修 永岡書店編『樹木ガイドブック』永岡書店、1997年5月10日、25頁。ISBN 4-522-21557-6。
- 茂木透写真「マンサク属 Hamamelis」『樹に咲く花 離弁花2』高橋秀男・勝山輝男監修、山と溪谷社〈山溪ハンディ図鑑〉、2000年、16-20頁。ISBN 4-635-07004-2。
- 林将之『葉で見わける樹木 増補改訂版』小学館〈小学館のフィールド・ガイドシリーズ〉、2010年、33頁。ISBN 978-4-09-208023-2。
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- "Hamamelis japonica". National Center for Biotechnology Information(NCBI) (英語).
- "Hamamelis japonica" - Encyclopedia of Life
- 波田善夫. “マンサク”. 植物雑学事典. 岡山理科大学. 2011年12月24日閲覧。