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マルセル・ヒルシャー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
マルセル・ヒルシャー
名前
本名 Marcel Hirscher
愛称 Mas
基本情報
国籍 オーストリア
所属 Skiklub Annaberg
生年月日 (1989-03-02) 1989年3月2日(35歳)
生誕地  オーストリアザルツブルク州、アンベルク=ルンゲツ
身長 173cm
体重 73kg
ワールドカップ戦歴
デビュー年 2007年
総合優勝 8回 (2012年–2019年)
通算成績 通算67勝
(SL 32, GS 31, SG 1, CE 2, PGS 1)
表彰台回数138回
(SL 65, GS 59, SG 3, AC 6, CE 3, PGS 2)
種目別優勝12回
(SL:2013年–2015年, 2017年–2019年
GS:2012年, 2015年–2019年)
獲得メダル
男子アルペンスキー
 オーストリア代表
ワールドカップ 表彰台
大会 1 2 3
回転 32 24 9
大回転 31 18 10
スーパーG 1 0 2
複合 0 4 2
パラレル 3 1 1
オリンピック
2014 ソチ 回転
2018 平昌 複合
2018 平昌 大回転
アルペンスキー世界選手権
2013 シュラドミング 団体
2013 シュラドミング 回転
2013 シュラドミング 大回転
2015 ビーバークリーク 複合
2015 ビーバークリーク 団体
2015 ビーバークリーク 大回転
2017 サンモリッツ 大回転
2017 サンモリッツ 回転
2017 サンモリッツ 複合
2019 オーレ 回転
2019 オーレ 大回転

マルセル・ヒルシャーMarcel Hirscher, 1989年3月2日 - )は、オーストリアザルツブルク州アンベルク=ルンゲツ英語版出身のアルペンスキー選手。

来歴

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2007年3月、18歳でワールドカップにデビュー。

2010年バンクーバーオリンピックでは、回転で4位、大回転で5位に入賞。

2009年の世界選手権では、大回転で4位となるが、2011年の世界選手権の直前に足首を骨折し、そのまま2010/2011年シーズンを棒に振る[1]

怪我から復帰した2011/2012年シーズンは、彼にとって大きな飛躍のシーズンとなった。ワールドカップでは回転と大回転の技術系種目で合計9回優勝し、全てのレースで表彰台に上った。同シーズンの総合優勝も果たし、種目別では大回転で優勝、回転では3位に入った[2]

2012/2013年シーズンも6勝を挙げ、2年連続の総合優勝を果たす。同シーズンも技術系種目で19戦中18回表彰台に上り、回転では種目別優勝、大回転でも2位となった[3]

2014年ソチオリンピックでは、大回転で4位、回転で銀メダルに終わった。ワールドカップでは5勝を挙げて総合3連覇[4]、回転、大回転ともに種目別優勝を飾った。

2014/2015年シーズンも技術系種目の第一人者としてその強さを発揮し、男子では史上初の総合4連覇を達成[5]、回転、大回転ともに種目別優勝を果たすとともに、2015年アルペンスキー世界選手権ではアルペン複合と団体で金メダル、大回転で銀メダルを獲得した。

2015/2016年シーズンもワールドカップで8勝を挙げる活躍で総合5連覇を達成した。5度の総合優勝はマーク・ジラルデリに並ぶ史上最多タイ。

2016/2017年シーズンはアルペンスキー世界選手権ではアルペン複合で銀メダル、回転と大回転で金メダルを獲得した。3月4日のスロベニアクランスカ・ゴーラでの大回転第8戦で優勝した結果、総合6連覇が確定し、3年連続4度目の大回転種目別優勝も確定した[6]。続いて翌3月5日に同地で行われた回転第10戦では表彰台を逃す4位に終わったが、2年ぶり4度目の回転種目別優勝が確定した[7]

2017/2018年シーズンは、8月に練習中に左足首を骨折した[8]。10月末のワールドカップ開幕戦(大回転、ゼルデン)の欠場を余儀なくされたが、天候不良により大会は中止[9]。 実質開幕戦となった11月12日の回転第1戦(レヴィ)には間に合ったが、結果は奮わず17位に終わった[10]2018年平昌オリンピックでは複合で初めてオリンピックの金メダルを獲得し、次に出場した大回転でも金メダルを獲得した。3つ目の金メダルを狙った回転では1回目途中棄権に終わった。 3月3日のスロベニアクランスカ・ゴーラでの大回転第7戦で優勝した結果、4年連続5度目の大回転種目別優勝が確定した。続いて翌3月4日に同地で行われた回転第11戦でも優勝し、2年連続5度目の回転種目別優勝が確定した。3月15日のスウェーデン・オーレでのスーパー大回転第7戦に出場して10位に入ったが、この試合に総合第2位のクリストファーセンが出場せず、今季のワールドカップの個人戦残り2試合で逆転が不可能になったので総合7連覇が確定した。7度の総合優勝は男女通じて史上初。男女混合団体をはさんで3月17日に同地で行われた大回転第8戦で優勝した結果、今季の優勝回数は13となりステンマルクヘルマン・マイヤーの男子ワールドカップ年間最多優勝回数に並び、翌日の今季最終戦である回転第12戦での記録更新が期待されたが、強風のため同日開催予定だった女子大回転第9戦ともども試合前中止となった。

2018/2019年シーズンは、ワールドカップで総合8連覇を達成。シーズン9勝、種目別優勝は5年連続6度目の大回転と3年連続6度目の回転でそれぞれ達成。アルタ・バディアの大回転で2位に2秒53という大差で圧勝したレースもあった。2019年アルペンスキー世界選手権では大回転で銀メダル、回転で金メダルを獲得した。

2019年9月、現役引退を発表。ヒルシャーは「勝っている間に辞めたかった」「引退は2週間前に決めた。健康なままで現役を終えることができて幸せに思う」と記者会見で語っている[11]

2024年4月、FISはヒルシャーが6季ぶりに現役復帰すると発表した。母の出身国のオランダ代表として24~25年シーズンに臨む[12]

ワールドカップ 成績

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シーズンタイトル

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種目
2012 総合優勝
大回転
2013 総合優勝
回転
2014 総合優勝
回転
2015 総合優勝
大回転
回転
2016 総合優勝
大回転
2017 総合優勝
大回転
回転
2018 総合優勝
大回転
回転
2019 総合優勝
大回転
回転

シーズン成績

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年齢 総合 回転 大回転 スーパーG 滑降 複合
2007 17 153 47
2008 18 51 15 60
2009 19 14 9 14 52 10
2010 20 6 8 6 34 12
2011 21 15 5 10
2012 22 1 3 1 27
2013 23 1 1 2
2014 24 1 1 2 31 8
2015 25 1 1 1 24 6
2016 26 1 2 1 6
2017 27 1 1 1 25 5
2018 28 1 1 1 33
2019 29 1 1 1 5
2025 35 44 23 N/A

ワールドカップ優勝

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合計 回転 大回転 スーパーG 複合 パラレル
優勝 67 32 31 1 0 3
表彰台 138 65 59 3 6 5
日付 場所 種目
2010 2009年12月13日 フランスの旗 ヴァル=ディゼール 大回転
2010年1月30日 スロベニアの旗 クランスカ・ゴーラ 大回転
2011 2010年12月12日 フランスの旗 ヴァル=ディゼール 回転
2012 2011年12月4日 アメリカ合衆国の旗 ビーバークリーク 大回転
2011年12月19日 イタリアの旗 アルタ・バディア 回転
2012年1月5日 クロアチアの旗 ザグレブ 回転
2012年1月7日 スイスの旗 アーデルボーデン 大回転
2012年1月8日 回転
2012年1月24日 オーストリアの旗 シュラドミング 回転
2012年2月18日 ブルガリアの旗 バンスコ 大回転
2012年2月19日 回転
2012年3月17日 オーストリアの旗 シュラドミング 大回転
2013 2012年12月9日 フランスの旗 ヴァル=ディゼール 大回転
2012年12月18日 イタリアの旗 マドンナ・ディ・カンピーリオ 回転
2013年1月6日 クロアチアの旗 ザグレブ 回転
2013年1月13日 スイスの旗 アーデルボーデン 回転
2013年1月27日 オーストリアの旗 キッツビュール 回転
2013年1月29日 ロシアの旗 モスクワ シティイベント
2014 2013年11月17日 フィンランドの旗 レヴィ 回転
2013年12月14日 フランスの旗 ヴァル=ディゼール 大回転
2013年12月22日 イタリアの旗 アルタ・バディア 大回転
2014年1月12日 スイスの旗 アーデルボーデン 回転
2014年3月16日 スイスの旗 レンツァーハイデ 回転
2015 2014年10月26日 オーストリアの旗 ゼルデン 大回転
2014年12月12日 スウェーデンの旗 オーレ 大回転
2014年12月14日 回転
2014年12月21日 イタリアの旗 アルタ・バディア 大回転
2015年1月6日 クロアチアの旗 ザグレブ 回転
2015年1月10日 スイスの旗 アーデルボーデン 大回転
2015年3月1日 ドイツの旗 ガルミッシュ=パルテンキルヒェン 大回転
2015年3月22日 フランスの旗 メリベル 回転
2016 2015年12月5日 アメリカ合衆国の旗 ビーバークリーク スーパーG
2015年12月6日 大回転
2015年12月12日 フランスの旗 ヴァル=ディゼール 大回転
2015年12月20日 イタリアの旗 アルタ・バディア 大回転
2016年1月6日 イタリアの旗 サンタ・カテリーナ 回転
2016年2月23日 スウェーデンの旗 ストックホルム シティイベント
2016年3月5日 スロベニアの旗 クランスカ・ゴーラ 大回転
2016年3月6日 回転
2017 2016年11月13日 フィンランドの旗 レヴィ 回転
2016年12月18日 イタリアの旗 アルタ・バディア 大回転
2017年1月22日 オーストリアの旗 キッツビュール 回転
2017年1月29日 ドイツの旗 ガルミッシュ=パルテンキルヒェン 大回転
2017年3月4日 スロベニアの旗 クランスカ・ゴーラ 大回転
2017年3月18日 アメリカ合衆国の旗 アスペン 大回転
2018 2017年12月3日 アメリカ合衆国の旗 ビーバークリーク 大回転
2017年12月10日 フランスの旗 ヴァル=ディゼール 回転
2017年12月17日 イタリアの旗 アルタ・バディア 大回転
2017年12月22日 イタリアの旗 マドンナ・ディ・カンピーリオ 回転
2018年1月4日 クロアチアの旗 ザグレブ 回転
2018年1月6日 スイスの旗 アーデルボーデン 大回転
2018年1月7日 回転
2018年1月14日 スイスの旗 ヴェンゲン 回転
2018年1月23日 オーストリアの旗 シュラドミング 回転
2018年1月28日 ドイツの旗 ガルミッシュ=パルテンキルヒェン 大回転
2018年3月3日 スロベニアの旗 クランスカ・ゴーラ 大回転
2018年3月4日 回転
2018年3月17日 スウェーデンの旗 オーレ 大回転
2019 2018年11月18日 フィンランドの旗 レヴィ 回転
2018年12月8日 フランスの旗 ヴァル=ディゼール 大回転
2018年12月16日 イタリアの旗 アルタ・バディア 大回転
2018年12月17日 パラレル大回転
2018年12月20日 オーストリアの旗 ザールバッハ 回転
2019年1月6日 クロアチアの旗 ザグレブ 回転
2019年1月12日 スイスの旗 アーデルボーデン 大回転
2019年1月13日 回転
2019年1月29日 オーストリアの旗 シュラドミング 回転

オリンピック 成績

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年齢 回転 大回転 スーパーG 滑降 複合
2010 20 5 4
2014 24 2 4
2018 28 DNF1 1 1

世界選手権 成績

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年齢 回転 大回転 スーパーG 滑降 複合 団体
2009 19 DSQ1 4 DNF2 中止
2011 21 怪我のため欠場
2013 23 1 2 1
2015 25 DNF2 2 1 1
2017 27 1 1 21 2 5
2019 29 1 2

脚注

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  1. ^ uk.eurosport.yahoo.com – Hirscher wins Beaver Creek giant slalom – 2011-12-04
  2. ^ Marcel Hirscher wins overall title”. ESPN. Associated Press (March 17, 2012). August 21, 2012閲覧。
  3. ^ http://www.reuters.com/article/2013/03/14/us-alpine-skiing-finals-idUSBRE92C0S520130314
  4. ^ 3連覇はグスタヴォ・トエニインゲマル・ステンマルクフィリップ・メーアに次いで史上4人目
  5. ^ 女子では1971-1974年までアンネマリー・プレルが4連覇を達成
  6. ^ Marcel Hirscher holt sechsten Gesamtweltcup-Sieg und Riesentorlauf-Kugel
  7. ^ Marcel Hirscher holt in Kransjka Gora auch Slalom-Weltcup
  8. ^ “W杯スキー6連覇のヒルシャー左足首骨折 手術せず”. 日刊スポーツ. (2017年8月18日). https://www.nikkansports.com/sports/news/1873724.html 2017年11月14日閲覧。 
  9. ^ 男子はレヴィのスラロームが今季の開幕戦 怪我で出遅れたマルセル・ヒルシャーが強行出場の可能性も”. J sports (2017年11月9日). 2017年11月14日閲覧。
  10. ^ “湯浅ら2回目に進めず クリストフェシェンが通算13度目のV/アルペン”. サンスポ. (2017年11月12日). http://www.sanspo.com/sports/news/20171112/ski17111222400003-n1.html 2017年11月14日閲覧。 
  11. ^ “アルペンスキー界の英雄、マルセル・ヒルシャーの引退発表”. アゴラ. (2019年9月16日). https://agora-web.jp/archives/2041349.html 2019年11月17日閲覧。 
  12. ^ 運動部, 時事通信 (2024年4月24日). “ヒルシャー、6季ぶり現役復帰へ オランダ代表に変更―アルペンスキー:時事ドットコム”. 時事ドットコム. 2024年10月27日閲覧。

外部リンク

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