ホラント級駆逐艦
ホラント級駆逐艦 | |
---|---|
| |
基本情報 | |
艦種 | 駆逐艦 |
命名基準 | オランダの州 |
就役期間 | 1954年 - 1979年 |
前級 | チェリク・ヒッデス級駆逐艦 |
次級 | フリースラント級駆逐艦 |
要目 | |
基準排水量 | 2,215トン |
満載排水量 | 2,765トン |
全長 | 111.3メートル (365 ft) |
最大幅 | 11.32メートル (37.1 ft) |
吃水 | 3.88メートル (12.7 ft) |
ボイラー | B&W水管ボイラー×4缶 |
主機 |
ヴェルクスプール-パーソンズ 蒸気タービン×2基 |
推進器 | スクリュープロペラ×2軸 |
出力 | 45,000 hp (34 MW) |
速力 | 32ノット |
航続距離 | 4,000浬 (18ノット巡航時) |
乗員 | 247人 |
兵装 |
|
レーダー |
|
ソナー |
|
ホラント級駆逐艦 (オランダ語: Holland klasse Onderzeebootjager) は、オランダ海軍の駆逐艦の艦級[1][2]。計画名は47A型[3]。
設計
[編集]本級は、オランダ海軍の戦後第1世代の国産戦闘艦として開発された。船型は長船首楼型とされており、船体形状は同世代のイギリス駆逐艦に範をとったものとなった。上甲板および舷側には装甲が施されているが、これはこの大きさの艦としては異例な措置であった。この他にも、水密区画の設計に意が払われているほか、船質にはA52調質高張力鋼が採用されるなど、抗堪性に配慮した設計がなされている。これによる重量増を補い、復原性を改善するため、上部構造物などには可能な限りアルミニウム合金が採用された。また建造にあたっては、全体に電気溶接が導入されている[2]。
前檣は4脚のラティスマストであるが、前部煙突との位置関係を含めて風洞実験が繰り返されており、その成果は空母「カレル・ドールマン」やトロンプ級軽巡洋艦、デ・ロイテル級巡洋艦の艤装に反映された。ただし当初はポールマストを設置して竣工し、1955年にラティスマストに改装した[2]。
主機関は、元々はチェリク・ヒッデス級用として取得されたものであり、1940年5月に一度はナチス・ドイツに接収されたが、1945年に奪還していた[3]。これらの機関が本来据え付けられるはずだったチェリク・ヒッデス級の船体よりも本級の船体のほうが大きく、主機の出力には余裕が乏しかったが、それでも海上公試では、ほとんどの装備を搭載した状態だったにもかかわらず40.3ノットの速力を記録している[2]。
装備
[編集]本級に求められた任務は下記の通りであった[2]。
- 任務部隊・輸送船団の対潜防護
- 対潜掃討群あるいは単艦での攻勢的対潜戦
- 任務部隊・輸送船団の防空の補完
- 輸送船団での対水上防護
このように、一義的には外洋での対潜艦として要望されたことから、ヨーロッパで初めて、大口径の対水上戦用魚雷をもたない駆逐艦となった。砲熕兵器は、チェリク・ヒッデス級と同様にスウェーデンのボフォース社によって供給されており、対空・対水上火力としては、レーダー射撃可能な46口径120mm連装砲を艦首尾に1基ずつ装備した。一方、復原性確保のため対空機銃は削減され、当初は57mm単装砲7門が搭載される予定だったが、結局はボフォース 70口径40mm機銃1門が2番煙突前方に搭載されたのみとなった。なお1950年代後半には、120mm連装砲をミサイル発射機に換装する計画もあったが、これは実現しなかった[2]。
レーダーは国産化が図られており、前檣上に目標捕捉用のDA-01、後檣上に早期警戒用のLW-02を搭載した。ただし開発が竣工に間に合わず、1957年から1958年にかけて後日装備された[2]。
同型艦
[編集]一覧表
[編集]# | 艦名 | 造船所 | 起工 | 就役 | 退役 |
---|---|---|---|---|---|
D808 | ホラント HNLMS Holland |
ロッテルダム | 1950年4月 | 1954年12月 | 1978年 |
D809 | ゼーラント HNLMS Zeeland |
ロイヤル・ スヘルデ |
1951年1月 | 1955年3月 | 1979年 |
D810 | ノールトブラバント HNLMS Noord Brabant |
1951年3月 | 1955年6月 | 1974年 | |
D811 | ヘルダーラント HNLMS Gelderland |
ウィルトン・ フェイエノールト |
1955年9月 | 1973年 |
運用史
[編集]1948年に対潜駆逐艦として12隻の建造が計画されたが、本級は4隻が起工されたのみにとどまり、残り8隻は改良・発展型のフリースラント級として建造されることとなった。建造された4隻は1951年から1953年にかけて順次に就役した。
これらは戦時急造艦として配備されていたS級駆逐艦及びN級駆逐艦を代替して、フリースラント級とともに、冷戦期初期において艦隊の主力を担った。しかし戦後第1世代の駆逐艦であることから船体の老朽化・装備の陳腐化が進み、1970年代に入って、フリースラント級とともに一括してコルテノール級フリゲートによって更新され、1979年までに順次に退役して運用を終了した。ネームシップである「ホラント」は、退役後の1982年、ペルー海軍へ売却され、「ガルシア・イ・ガルシア」(García y García, DD75)として再就役し、1986年まで運用された。「ノールトブラバント」は1974年1月9日の事故で大破(乗員2名が死亡)して退役、「ヘルダーラント」は実習艦に転用するためもっとも早期に退役し、アムステルダムに係留された。
参考文献
[編集]- ^ John E. Moore, ed (1975). Jane's Fighting Ships 1974-1975. Watts. p. 236. ASIN B000NHY68W
- ^ a b c d e f g Robert Gardiner, ed (1996). Conway's All the World's Fighting Ships 1947-1995. Naval Institute Press. p. 274. ISBN 978-1557501325
- ^ a b Raymond V. B. Blackman, ed (1954). Jane's Fighting Ships 1953-54. Watts. p. 260. ASIN B000R5B066
- seaforces.org. “Holland class destroyer DD - Royal Netherlands Navy - Koninklijke Marine” (英語). 2013年2月22日閲覧。
関連項目
[編集]- ウィキメディア・コモンズには、ホラント級駆逐艦に関するカテゴリがあります。