コンテンツにスキップ

ベイヤー・ピーコック

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
東武鉄道B1形5号機の製造銘板。機関車のデザインと一体化した優美なものである。

ベイヤー・ピーコック(Beyer, Peacock & Co. Ltd.,)は、イギリスマンチェスターに存在した鉄道車両メーカー。チャールズ・ベイヤーとリチャード・ピーコックの2人によって創業、1854年から1966年の間に8000両余りの蒸気機関車スチームトラムディーゼル機関車などを生産した。

また、ウィリアム・ガーラット技師の考案した関節式蒸気機関車(ガーラット式蒸気機関車)のライセンスホルダーとして知られ、1909年にタスマニア向けに出荷された第1号機(軸配置B+B、製番5292)から1958年出荷のナミビア向け最終機(軸配置1C1+1C1、製番7868)まで、1,000両以上を北米大陸を除く世界各国に輸出した。

このメーカーで製造されたテンダー機関車は、日本では「ピーテン」(ピーコック社製のテンダー機の略)と呼ばれている。

1949年にメトロポリタン・ヴィッカース社との合弁会社を設立し、イギリス国鉄向けに82形電気機関車の製造を行った。 ディーゼル機関車としては、液体式の35形ディーゼル機関車、電気式の25形ディーゼル機関車、他社製造の下請であるものの17形ディーゼル機関車を製造した。最終的に1966年に廃業した。

日本に輸入されたベイヤー・ピーコックの蒸気機関車

[編集]
東武鉄道5号機関車

国鉄(当時の鉄道省)、私鉄を問わず輸入され、日本の鉄道の黎明期を支えた。
太字の車両名は「ピーテン」と呼ばれているテンダー機関車。カッコ内に発注した会社と形式を示す。ただし、斜体字の車両名は準同形機である。

  • 鉄道院3200形(日本鉄道P3/5形)
    製造初年:1904年軸配置:2-6-2(1C1)。日本鉄道が導入した、勾配線用重タンク機。
  • 鉄道院3920形(鉄道作業局C2形)
    製造初年:1892年、軸配置:2-6-0(1C)。官設鉄道信越線横川軽井沢間(碓氷峠)で使用されたアプト式機関車。
  • 鉄道院3950形(鉄道作業局C3形)
    製造初年:1895年、軸配置:2-6-2(1C1)。官設鉄道が導入した3920形の改良形。
  • 鉄道院5300形(鉄道作業局D5形、山陽鉄道3形)
    製造初年:1882年、軸配置:4-4-0(2B)。官設鉄道、山陽鉄道が導入した旅客用テンダー機。
  • 鉄道院5490形(鉄道作業局D3形)
    製造初年:1882年、軸配置:4-4-0(2B)。官設鉄道が導入した旅客用機関車。輸入当初はタンク機であったが、後にテンダー式に改造された。総数2両。
  • 鉄道院5500形(鉄道作業局D6形、日本鉄道Pbt2/4形、東武鉄道B1形)
    製造初年:1883年、軸配置:4-4-0(2B)。官設鉄道、日本鉄道、東武鉄道が導入した旅客用テンダー機。総数82両を数える「ピーテン」の代表格。
  • 鉄道院5600形(日本鉄道Pbt2/4形、東武鉄道B3形
    製造初年:1889年、軸配置:4-4-0(2B)。日本鉄道が導入した5500形の改良形。ベルペア火室が特徴。日本鉄道では18両が使用されたが、1915年に東武鉄道が準同形機6両を導入し、日本におけるベイヤー・ピーコック製のみならず、イギリス製蒸機の最終形式となった。
  • 鉄道院7700形(鉄道作業局E4形、北海道鉄道C1形)
    製造初年:1894年、軸配置:2-6-0(1C)。官設鉄道、北海道鉄道が導入した勾配線用テンダー機。ベルペア火室とテンダー機でありながらサイドタンクを装備するのが特徴(官設鉄道の車両のみ)。

以下に掲げるのは、他社製品と同仕様で製造されたもの。

その他ベイヤー・ピーコック製の機関車

[編集]

外部リンク

[編集]