フェッチロボティクス
市場情報 | 非上場 |
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本社所在地 |
アメリカ合衆国 95131 1961 Concourse Drive San Jose, CA |
設立 | 2014年8月 |
事業内容 | 物流・倉庫業向けの運搬ロボットの研究開発 |
代表者 |
Melonee Wise(CEO) Peggy Fong(COO) |
主要株主 |
Shasta Ventures ソフトバンクグループ Oreilly AlphaTech Ventures |
外部リンク | https://fetchrobotics.com/ |
フェッチロボティクス(英: Fetch Robotics, Inc. )は、アメリカ合衆国カリフォルニア州サンノゼに拠点を置く自律移動ロボットAMR(Autonomous Mobile Robots)のメーカー。
メロニー・ワイズCEOは「Fetchは実際にはソフトウェア企業であり、それがたまたまロボットを作っているにすぎない」とコメントをしている[1]。
概要
[編集]Robot Operating System (ROS) の開発で知られるウィローガレージが2013年2月に閉鎖された際、技術者たちは8つのスピンオフを作り独立していった[2]。開発マネージャーであったMelonee Wiseが立ち上げたアンバウンデッド・ロボティクス社もスピンオフの1つであり、モバイルマニピュレータUBR-1(ユーバー・ワン)を発表するなど結果を出していたがスピンオフ契約により投資資金を調達できないためこれを解散[3]。メンバー4人Melonee Wise、Michael Ferguson、Derek King、Eric Diehrたちはロボティクス技術者を募集していたSteve HoganのFYSシステムズ社に合流しFetch Roboticsへ改名した[4][5]。
製品は「Freight(フレイト)」と呼ばれるAMRをプラットフォームの中心にしている。「Freight」には人間に併走する「Follow Pick(フォローピック)」機能と「Fetch(フェッチ)」と呼ばれるAMRと連携させピックアップされた商品を搬送する機能がある[6]。
Freight
[編集]モバイル・ベース用AMR。指定場所へ自律移動または作業員の足やFetchを検知し毎秒2メートルで併走する。利用するには一度手動操作してレーザーセンサーを用いて倉庫の2次元と3次元のデジタル地図を作り、地図のどの棚にどの商品が配置されるかアノテーションを付与する必要がある。デジタル地図を読み込ませ、充電ステーションの位置や進入禁止エリアや危険な階段位置といったアノテーションを付与して利用する。従来の無人搬送車AGV(Automated Guided Vehicle)は事前にマーカー設置を必要としたが、AMRを利用すると設備コストを抑えられ、倉庫レイアウト変更時もデジタル地図を更新するだけで済むといったメリットがある。Freightの操作は後述のHMIShelfやタブレットやスマートフォンで行い「後を追う」「充電ステーションに行く」「止まる」といった操作や商品がすべて入ったら設定した目的地へ向かうといった自律的動作も設定できる[7]。これらFreightの機能とSAP社の倉庫管理システムを組み合わせて「Virtual Conveyor」という自動倉庫ソリューションを提供している。
オプションとしてロボットのハードウェア管理ソフトウェア「Fetchcore(フェッチコア)」、Freightの上に棚を搭載する「HMIShelf(HMIシェルフ)」、カートを搭載する「cartdock(カートドック)」、センサーを取り付ける「data survey(データサーベイ)」が用意されている[8]。「data survey」はサードパーティのハードウェアとソフトウェアの組み合わせることが可能で、例えばTrax社の画像認識ソリューションを利用すれば自動的に棚・商品・価格設定・プロモーションなどの情報を収集しデータ分析に活用でき、Surgere社のROBi(Robotically Optimized and Balanced Inventory)を利用すれば自動的に棚の商品のRFIDタグの情報を収集し在庫追跡や在庫検索が可能となる。
2018年5月Virtual Conveyorの新しいプラグインモジュール「RollerTop」と「CartConnect」が発表された。RollerTopはFreightの上部につけるローラーでベルトコンベヤーから荷物を受け取り別のコンベアーに荷物の受け渡しをする。CartConnectもFreightの上部に取り付けるがこちらはFetchCartsと呼ばれる専用カートを浮き上がらせてカートごと持ち運ぶために用いる。
2017年3月に新型Freightが発表された。初代Freightのペイロードは100kgだったのに対してFreight500は500kg、Freight1500は1500kgまで強化されている。Freight1500は従来の併走方式ではなく、パレットに載って入庫している貨物を運べる設計と紹介されている[9]。
Fetch
[編集]モバイル・マニピュレーター用AMR。「Fetch」はロボットアームを備え商品をピックアップする機能を有している。従来のロボットアーム搭載ロボットは据え置き型が多かったが、Fetchは障害物などを避けながら自律的に移動できる特徴がある。デザイナーはWillow Garage出身のDavid Dymesich[10]。Fetchのロボットアームは長さが約60cm、7自由度を持ち、6kgまでの商品をピックアップ可能。ただしFetch自体は棚に置かれた商品が何であるか識別することはできず、棚の情報と場所を元に商品を識別している[11]。
沿革
[編集]- 2013年
- 2014年
- 2015年
- 2016年5月10日 - 倉庫管理システムのSAP EWMと提携しVirtual Conveyor提供開始[20]。
- 2017年
- 2018年
- 4月5日 - VirtualConveyor向けプラグインモジュールRollerTopとCartConnectを発表[26]。
- 2019年
- 7月23日 - シリーズCラウンドでFort Ross Ventures、EAS Investments、Redwood Technologies、TransLink Capital、Zebra Venturesおよび既存株主より4600万ドル調達[27]。
出典
[編集]- ^ “アイデアを研究所から現実世界へ--ロボットベンチャーFetch Roboticsに聞く”. Cnet JAPAN (2017年4月3日). 2018年2月22日閲覧。
- ^ “ロボットの“PARC”「Willow Garage」が撒いた種”. MONOist (2016年7月21日). 2018年2月23日閲覧。
- ^ “Unbounded Robotics to Shut Down Due to Issues With Willow Garage Spin-Off Agreement”. IEEE Spectrum (2014年8月25日). 2018年2月23日閲覧。
- ^ “フェッチ・ロボティクス社誕生。元アンバウンデッド・ロボティクス社のメンバーがコアに。”. robonews.net (2015年2月9日). 2018年2月23日閲覧。
- ^ “Fetch Robotics: Unbounded Core Team Developing New Robots for Logistics”. IEEE Spectrum (2015年2月9日). 2018年2月23日閲覧。
- ^ “フェッチ・ロボティクス、倉庫管理ロボットの開発を進める”. ROBOTEER (2015年11月3日). 2018年2月23日閲覧。
- ^ “【インタビュー】フェッチ・ロボティクスCEOメロニー・ワイズ氏”. robonews.net (2015年7月25日). 2018年2月22日閲覧。
- ^ “Willow Garage出身デザイナーに学ぶ、サービスロボットのインタラクションデザイン(後編)”. MONOist (2016年8月22日). 2018年2月23日閲覧。
- ^ “ロボット導入でフォークリフト運転手の職がなくなる”. ASCII (2017年4月4日). 2018年2月22日閲覧。
- ^ “R2-D2 or C-3PO? Robotics designers weigh in on which approach makes the most sense”. ZDnet (2015年12月19日). 2018年2月22日閲覧。
- ^ “ソフトバンクも出資する倉庫用ロボットメーカーの米Fetch Robotics、9月から日本で販売開始”. 日経ビジネス (2015年8月19日). 2018年2月23日閲覧。
- ^ “Unbounded Robotics introduces UBR-1, a one-armed semi-autonomous robot for $35K”. engadget (2013年10月21日). 2018年2月23日閲覧。
- ^ “「UBR-1のプラットフォームは、何10億ドルもの規模になるビジネスの一部なんです」 アンバウンデッド・ロボティクスCEOメロニー・ワイズ インタビュー”. Robonews.net (2013年12月17日). 2018年2月23日閲覧。
- ^ “従来の10分の1の価格を実現したパーソナルロボット「UBR-1」の予約受付がスタート”. Gigazine (2014年4月18日). 2018年2月23日閲覧。
- ^ “Unbounded Robotics to Shut Down Due to Issues With Willow Garage Spin-Off Agreement”. IEEE Spectrum (2014年8月25日). 2018年2月23日閲覧。
- ^ “Willow Garage vets score $3M for new industrial robotics venture, Fetch Robotics”. VentureBeat (2015年2月9日). 2018年2月23日閲覧。
- ^ “Fetch Unveils Robot Duo to Adapt Warehouses for Quick-Delivery Era”. Xconomy (2015年4月29日). 2018年2月23日閲覧。
- ^ “ソフトバンク、ロボット新興企業Fetch Roboticsの資金調達ラウンドを主導”. CNET Japan (2015年6月18日). 2018年2月23日閲覧。
- ^ “Innovation Matrix、ロボットメーカー Fetch Robotics とパートナーシップ提携!~人間とロボットの共生・共存を目指す~”. Innovation Matrix (2015年7月22日). 2018年2月23日閲覧。
- ^ “Fetch Robotics Partners with SAP to Deliver Virtual Conveyor Solution for Warehouse and Logistics Industries”. Fetch Robotics (2016年5月10日). 2018年2月22日閲覧。
- ^ “Trax and Fetch Robotics Unite for Better Retail Insights”. TRAX IMAGE RECOGNITION (2017年1月12日). 2018年2月24日閲覧。
- ^ “Freight500 and Freight1500 have arrived!”. Fetch Robotics (2017年3月30日). 2018年2月23日閲覧。
- ^ “バルチラ社とDHL、倉庫業務の合理化に向け、フェッチ・ロボティクス社の最先端移動ロボットを導入”. DHL (2017年8月15日). 2018年2月23日閲覧。
- ^ “Surgere Partners With Fetch Robotics To Unveil Cycle-Counting Robot To Eliminate Inventory Tracking Failures”. Business Insider (2017年8月21日). 2018年2月24日閲覧。
- ^ “ソフトバンクも出資、倉庫内ロボット「Fetch Robotics」が28億円調達”. ForbesJapan (2017年12月8日). 2018年2月23日閲覧。
- ^ “Fetch、倉庫オートメーション向けロボットの新種を投入”. techcrunch (2018年4月5日). 2018年11月25日閲覧。
- ^ “産業ロボット開発のFetch Robotics、約50億円を追加調達”. cnet (2019年7月24日). 2019年7月30日閲覧。