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ファイズ・サラージ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ファイズ・サラージ
فايز السراج
リビアの旗 リビア大統領評議会議長
任期
2016年3月30日 – 2021年3月10日
副大統領アハマド・マイティーク英語版
前任者アグイラ・サーレハ・イッサ英語版(国民代議院議長)
ヌーリー・サハマイン英語版(国民議会議長)
後任者ムハンマド・アル=メンフィ
リビアの旗 リビア首相
任期
2016年4月1日[1] – 2021年3月15日
代理官アハマド・マイティーク英語版
前任者アブドゥッラー・アッ=スィニー英語版
ハリーファ・アル=グワイル英語版
後任者アブドゥルハミード・ドベイバ英語版
個人情報
生誕1960年(63 - 64歳)
リビア王国の旗 リビア王国トリポリ
政党無所属

ファイズ・ムスタファ・サラージアラビア語: فائز السراج or فايز السراج‎、Fayez Mustafa al-Sarraj1960年 - )は、リビア政治家。2016年から2021年まで元首格にあたるリビア大統領評議会議長2015年12月17日の政治合意によって国民合意政府英語版(GNA、Government of National Accord)が成立すると、その首相に就任した[2]トリポリの国会議員でもある[3]

来歴

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トリポリの名家の出身[4]。父はリビア王国で大臣を務めた、近代リビアの創業者のひとりである[5]。技術者としての訓練を受け、カダフィ政権下では住宅省に勤めた[4]2014年、国民議会のアハマド・マイティーク英語版内閣のもとで住宅・公共事業相を務めたが[6]、同年の総選挙後、リビア政府はイスラーム勢力が支配的なトリポリの新国民議会(new GNC)と、国際的に承認されたトブルクの国民代議院(HoR)に分裂した[3]

2015年10月はじめ、国際連合のリビア特使であったベルナルディーノ・レオンは、首相(サラージ)と国土の東部、西部、南部の3名の代表者、それに大統領評議会を首相とともに構成する2名の大臣によって指導される国民統一政府を提案した[7]。しかし、この提案はトブルク政府とトリポリ政府の双方にしりぞけられた[8]

サラージほか6名の大統領評議会委員と、提案された内閣の閣僚らは、2016年3月30日にトリポリに到着した[9]。その翌日には国民合意政府が首相府を支配下におさめ、国民議会がミスラタに避難していたハリーファ・アル=グワイル英語版を首相に指名したことが報じられた[10]。しかし、まもなく4月5日にはサラージが首相を兼任した。

2016年8月には国民代議院が国民合意政府側の内閣を否決し、以降の再組閣も行われず、法的な正当性を持たない状態に陥った[11]

2020年9月16日、10月末までに大統領評議会議長を退く意向を表明[12]。しかし国家最高評議会は10月29日、サラージに後任の議長が決定するまでその職にとどまるよう要請したため[13]、翌30日に辞意を撤回した[14]。2021年2月にスイスジュネーヴにて会合が開かれた国連主導のリビア政治対話フォーラム英語版において、12月の選挙まで暫定的に大統領評議会議長をムハンマド・アル=メンフィ、首相をアブドゥルハミード・ドベイバ英語版とすることで合意し[15]、サラージの大統領評議会も代議院側も新政権への権限移譲に同意。3月の統一政権発足に伴いサラージは評議会議長、首相の両方を退任した[16]

脚注

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  1. ^ Countries L”. 11 June 2016閲覧。
  2. ^ Stephen, Chris (31 March 2016). “Chief of Libya's new UN-backed government arrives in Tripoli”. 11 June 2016閲覧。
  3. ^ a b Libya national unity government announced by UN after months of talks”. The Guardian (Oct 8, 2015). 2016年9月25日閲覧。
  4. ^ a b Mezran, Karim (9 October 2015). “The Libyan Agreement: The First Step in a Long Journey”. Atlantic Council. 4 April 2016時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年9月25日閲覧。
  5. ^ “Italy ponders military intervention in Libya”. The Economist. (May 5, 2016). http://www.economist.com/news/europe/21698322-carabinieri-may-not-be-marching-tripoli-just-yet-italy-ponders-military-intervention August 2, 2016閲覧。 
  6. ^ “GNC-approved Maetig cabinet revealed”. Libya Herald. (29 March 2014). オリジナルの30 March 2014時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20140530081757/http://www.libyaherald.com/2014/05/29/gnc-approved-maetig-cabinet-revealed/ 
  7. ^ UN proposes unity government to end Libya conflict”. 11 June 2016閲覧。
  8. ^ Benghazi, Associated Press in. “Libyan officials reject UN-proposed unity deal with rival government”. The Guardian. 2015年11月19日閲覧。
  9. ^ Support grows for Libya's new unity government”. 11 June 2016閲覧。
  10. ^ https://www.libyaherald.com/2016/03/31/rebel-tripoli-administration-vanishes-ghwell-flees-to-misrata/
  11. ^ 中東かわら版 - リビア:トリポリでグワイル首相ら国民議会派がクーデタ”. 公益財団法人中東調査会. 2017年3月7日閲覧。
  12. ^ “リビア暫定首相が辞意表明 政権内不一致か”. 日本経済新聞. (2020年9月17日). https://www.nikkei.com/article/DGXMZO63991620X10C20A9EAF000/ 2020年9月18日閲覧。 
  13. ^ “Libya's state council urges al-Sarraj to remain”. アナドル通信社. (2020年10月29日). https://www.aa.com.tr/en/middle-east/libyas-state-council-urges-al-sarraj-to-remain-/2023821 2020年10月30日閲覧。 
  14. ^ “Fayez Al-Sarraj announces hs retreat from the presidency of the Libyan...”. Al Khaleej. (2020年10月31日). https://alkhaleejtoday.co/international/5239066/Fayez-Al-Sarraj-announces-his-retreat-from-the-presidency-of-the-Libyan.html 2020年10月31日閲覧。 
  15. ^ “UN-led Libya forum selects new interim government”. Al Jazeera English. アルジャジーラ. (2021年2月5日). https://www.aljazeera.com/news/2021/2/5/libyas-factions-head-into-runoff-on-interim-government 2021年3月16日閲覧。 
  16. ^ “‘One and united’: Libya interim government sworn in”. Al Jazeera English. アルジャジーラ. (2021年3月15日). https://www.aljazeera.com/news/2021/3/15/libya-interim-government-sworn-in-replacing-rival-administration 2021年3月16日閲覧。 

外部リンク

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公職
先代
アグイラ・サーレハ・イッサ英語版
リビアの国民代議院議長として
リビアの旗 リビア大統領評議会議長
2016年 - 2021年
次代
ムハンマド・アル=メンフィ
先代
アブドゥッラー・アッ=スィニー英語版
リビアの旗 リビア首相
2016年 - 2021年
次代
アブドゥルハミード・ドベイバ英語版