バモス (鉄道車両)
バモス(Vamos)は、ドイツの鉄道車両メーカーであるハイターブリックが展開する路面電車(ライトレール)向け電車ブランドである[1]。
バモス・ビーレフェルト
[編集]moBiel GTZ8-B形電車 バモス・ビーレフェルト Vamos Bielefeld | |
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5002編成 | |
基本情報 | |
運用者 | moBiel |
製造所 | ハイターブリック、キーペ(電気機器) |
製造年 | 2011年 - 2012年、2020年 - |
製造数 | 16編成(5001 - 5016)(2019年現在) |
運用開始 | 2011年12月19日 |
投入先 | ビーレフェルト・シュタットバーン |
主要諸元 | |
編成 | 3車体連接車 |
軸配置 | Bo′+Bo′Bo′+Bo′ |
軌間 | 1,000 mm |
電気方式 |
直流750 V (架空電車線方式) |
最高速度 | 80 km/h |
編成定員 | 230人(着席52人)[注釈 1] |
車両重量 | 55.0 t |
編成長 | 34,200 mm |
全幅 | 2,650 mm |
全高 | 3,620 mm |
床面高さ | 920 mm |
車輪径 | 681 mm |
主電動機 | 三相誘導電動機 |
主電動機出力 | 80 kW |
編成出力 | 640 kW |
制御装置 | Kiepe DPU 102 |
制動装置 | 回生ブレーキ |
備考 | 主要数値は[2][3][4][5]に基づく。 |
2009年、ビーレフェルトで路面電車(シュタットバーン)を運営するmoBielは、旧型車両置き換えのためハイターブリックやキーペとの間で電車製造に関する契約を交わした。これが"バモス"ブランド初の受注案件となった[2][3]。
車体幅2,300 mmの車両に適した車両限界上で定員数を増加させるために車体下部を狭くしたデザイン(裾絞り式)を採用し、着席定員数が従来の車両に比べ50%増加している。乗降扉は両側面に5箇所づつ設置され、両端の2箇所を除き併用軌道上の低床式停留所に対応した折り畳み式のステップが搭載されている。車内にはベビーカーや車椅子、自転車が設置可能なフリースペースが4箇所存在する。台車はキーペ製の電動機を備えた全軸駆動方式で、車輪の粘着力が向上している他、メンテナンス費用を抑えた設計となっている。また消費電力を節約するため、制動装置に回生ブレーキを採用している[2][3][4][6]。
2011年12月19日にビートフェルト市長を招いた記念式典が行われた後、翌12月20日から営業運転を開始した。以降2012年までに導入された16編成には「シュタット・ビートフェルト(Stadt Bielefeld)(5001編成)」を始めとするビーレフェルトの地名にちなんだ愛称が付けられている[7]。さらに2017年には旧型車両の置き換えおよび乗客増加への対応のためさらに24編成の発注が実施され、2020年以降導入が始まる予定となっている[8]。また、設計が高く評価された事からバモス・ビーレフェルトは2012年のiFデザイン賞を受賞している[6]。
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車内
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乗降扉
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運転台に設置されているタッチパネル
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5002編成
塗装は車体の前後で異なる -
連結運転も可能である
バモスHF
[編集]バモスHF Vamos HF | |
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バモスHF(ドルトムント・シュタットバーン)(2024年撮影) | |
基本情報 | |
運用者 | DSW21(予定) |
製造所 | ハイターブリック、フォスロ・キーペ(電気機器) |
製造年 | 2022年 - 2028年(予定) |
製造数 | 34編成(2車体連接車)(予定) |
運用開始 | 2024年 |
投入先 | ドルトムント・シュタットバーン(2車体連接車) |
主要諸元 | |
編成 | 2車体・3車体連接車 |
軸配置 |
2車体 B′(2)′B′ 3車体 B′(2)′(2)′B′ |
軌間 | 1,435 mm |
電気方式 |
直流750 V (架空電車線方式) |
最高速度 | 80 km/h |
編成定員 | 2車体 262人(着席80人)+折り畳み座席10人[注釈 1] |
編成長 |
2車体 28,000 mm 3車体 38,000 mm |
全幅 | 2,650 mm |
全高 | 3,650 mm |
床面高さ | 1,000 mm |
車輪径 | 740 mm |
主電動機出力 | 235 kW |
編成出力 | 470 kW |
制御方式 | チョッパ制御 |
制御装置 | フォスロ・キーペ製 |
備考 | 主要数値は[9][10][11]に基づく。 |
高床式プラットホームを有するシュタットバーン向けの電車。2車体・3車体から選択可能な両運転台式の連接式車両である。ドイツの地方自治体が運営する鉄道路線で初めて車体の床面高さを変更する機能を有し、油圧式ニーリング機能によって停車時に床面高さを3cm低下させる事が出来る。また乗降扉付近にはLED照明が装備され、扉の開閉時に乗客へ注意を促す。台車の枕ばねはニーリング機能に対応した空気ばねが用いられている他、制御装置は従来の車両との共用を考慮しチョッパ制御方式が用いられる[11][12]。
最初の納入先であるドルトムント都市事業(DSW21)が運営するシュタットバーン(ドルトムント・シュタットバーン)向けの車両は2018年に2車体連接車24編成が発注され、後にオプション分を用い2編成が、2024年2月にも新たに8編成の追加発注が実施された。最初の車両は2022年に納入され[注釈 2]、試運転を経て2024年4月23日から営業運転を開始している。DSW21では、このバモスHFに「B80D」という形式名を与えている[注釈 3][11][13][14][15][16]。
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地下区間を走行するバモスHF(B80D)(2024年撮影)
バモス70
[編集]バモス70 Vamos 70 | |
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基本情報 | |
製造所 | ハイターブリック |
製造年 | 未定 |
製造数 | 未定 |
主要諸元 | |
編成 | 3車体連接車 |
軸配置 | Bo′+2′2′+Bo′ |
軌間 | 1,000 mm - 1,435 mm |
電気方式 |
直流600 V、直流750 V、直流1,500 V (架空電車線方式) |
最高速度 | 70 km/h |
編成定員 | 150 - 220人(着席50 - 80人)[注釈 1] |
編成長 | 28,000 - 32,000 mm |
全幅 | 2,300 - 2,650 mm |
全高 | 3,600 mm |
床面高さ |
380 mm(低床部分) 640 mm(高床部分) |
車輪径 | 550 - 600 mm |
主電動機出力 | 125 kW |
駆動方式 | 中空軸平行カルダン駆動方式 |
編成出力 | 500 kW |
備考 | 主要数値は[17][18]に基づく。 |
低床式停留所を有する路面電車路線向けの3車体連接車。車軸付きの動力台車が備わる編成の両端を除いた車内の70%が低床構造となっている。片運転台・両運転台双方に対応可能した設計となっており、片運転台式は片側5箇所、両運転台式は両側4箇所づつ乗降扉が設置可能である[17][18]。
バモス95
[編集]バモス95 Vamos 95 | |
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基本情報 | |
製造所 | ハイターブリック |
製造年 | 未定 |
製造数 | 未定 |
主要諸元 | |
編成 | 3車体連接車 |
軸配置 | 2′+Bo′Bo′+2′ |
軌間 | 1,000 mm - 1,435 mm |
電気方式 |
直流600 V、直流750 V、直流1,500 V (架空電車線方式) |
最高速度 | 70 km/h |
編成定員 | 150 - 210人(着席50 - 80人)[注釈 1] |
編成長 | 28,000 - 32,000 mm |
全幅 | 2,300 - 2,650 mm |
全高 | 3,600 mm |
床面高さ | 380 mm |
車輪径 | 550 - 600 mm |
主電動機出力 | 125 kW |
駆動方式 | 中空軸平行カルダン駆動方式 |
編成出力 | 500 kW |
備考 | 主要数値は[19][20]に基づく。 |
低床式停留所を有する路面電車路線向けの3車体連接車。車内の95%が超低床構造になっており、車椅子でも車内の移動が容易な構造となっている。またバモス70と異なり前後の車両に扉が2箇所設置されている事から乗客の流動性が向上し、停車時間の短縮化が可能である。低床構造に対応した電動機付きの台車が備わる中間車体にはフリースペースが設置されている。駆動方式は中空軸平行カルダン駆動方式を用いる[19][20]。
関連項目
[編集]- ハイターブリック製の路面電車(ライトレール)用車両
-
レオライナー(ライプツィヒ向け)
-
TW3000
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ “Fahrzeuge”. HeiterBlick GmbH. 2019年9月6日閲覧。
- ^ a b c “Vamos Bielefeld”. HeiterBlick GmbH. 2019年9月6日閲覧。
- ^ a b c “Produktblatt Vamos Bielefeld”. HeiterBlick GmbH. 2019年9月6日閲覧。
- ^ a b “Hochflur-Stadtbahnwagen für Bielefeld”. Kiepe Electric. 2019年9月6日閲覧。
- ^ “Unser Fuhrpark”. moBiel. 2019年9月6日閲覧。
- ^ a b “Vamos HF / High-floor LRV”. iF WORLD DESIGN GUIDE. 2019年9月6日閲覧。
- ^ Der Vamos kommt ins Rollen - ウェイバックマシン(2012年9月20日アーカイブ分)
- ^ “24 neue Stadtbahnen bestellt”. Westfalen-Blatt (2018年1月6日). 2019年9月6日閲覧。
- ^ “Vamos HF”. HeiterBlick GmbH. 2019年9月6日閲覧。
- ^ “B-Wagen neu”. HeiterBlick GmbH. 2019年9月6日閲覧。
- ^ a b c “Stadtbahnwagen Vamos HF (B-Wagen)”. infoportal.mobil.nrw (2019年4月12日). 2019年9月6日閲覧。
- ^ “Dortmund orders new LRVs from Heiterblick”. Railcolor News (2018年5月5日). 2019年9月6日閲覧。
- ^ “Kiepe Electric: DSW21 bestellt zusätzliche acht Stadtbahnen von HeiterBlick”. LOK Report (2024年2月14日). 2024年6月27日閲覧。
- ^ “Die erste neue Stadtbahn ist eingetroffen!”. DSW21 (2022年12月15日). 2024年6月27日閲覧。
- ^ “Bahnsinn! Dortmund hat Deutschlands modernste Stadtbahn”. Stadt Dortmund (2024年4月23日). 2024年6月27日閲覧。
- ^ “Dortmunder Stadtwerke: Erste neue Stadtbahnen im Linieneinsatz”. Eurailpress (2024年4月24日). 2024年6月27日閲覧。
- ^ a b “Vamos 70”. HeiterBlick GmbH. 2019年9月6日閲覧。
- ^ a b “Produktblatt Vamos 70”. HeiterBlick GmbH. 2019年9月6日閲覧。
- ^ a b “Vamos 95”. HeiterBlick GmbH. 2019年9月6日閲覧。
- ^ a b “Produktblatt Vamos 95”. HeiterBlick GmbH. 2019年9月6日閲覧。
- ^ “LeoLiner”. HeiterBlick GmbH. 2019年9月6日閲覧。
- ^ “TW 3000”. HeiterBlick GmbH. 2019年9月6日閲覧。
外部リンク
[編集]- ハイターブリックの公式ページ”. 2019年9月6日閲覧。 “