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ハネナガチョウトンボ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ハネナガチョウトンボ
分類
: 動物界 Animalia
: 節足動物門 Arthropoda
: 昆虫綱 Insecta
: トンボ目 Odonata
: トンボ科 Libellulidae
亜科 : チョウトンボ亜科 Rhyotheminae
: チョウトンボ属 Rhyothemis
: ハネナガチョウトンボ R. severini
学名
Rhyothemis severini
Ris, 1913
和名
ハネナガチョウトンボ
英名
bluetip flutterer

ハネナガチョウトンボは、トンボ目トンボ科チョウトンボ属に分類されるトンボの1種。身体は黒っぽく、翅は透明で、後翅の基部(付け根)側4分の1ほどが藍色、また4枚の翅の先端と結節点、前翅の付け根も藍色の斑紋がある[1]

本種は、1913年にRisによりインドシナから新種記載され、その後まもなく台湾でも発見されてハネナガチョウトンボとの和名がつけられた[2]。1993年には奄美大島でも発見され、当時は台湾からの飛来と思われていた[3]。しかしその後は、オキナワチョウトンボなどのように他の島々に分布が広がることもなく、分布は現在も奄美大島に限られている。その様子から、もともと島の在来種であり発見が遅れただけなのではないかとの見解も出ている[4][5]。 1-2m程度の高さの抽水植物の繁った池で繁殖し、羽化は5月半ばから始まる。成熟したオスは池でナワバリを張り、メスを待つ。メスは交尾後、単独で打水産卵する[3]。池での繁殖行動は6月半ばから9月上旬まで観察され、年1化と思われる[1]

環境省レッドリストで絶滅危惧IB類に選定されており、2019年に国内希少野生動植物種に指定されている。現在の生息地では行政や有志による保全活動が続けられている[5]。 最初の発見地であるベトナムでの現状は不明、台湾からの生息情報は比較的あるが、IUCNによるレッドリストの評価はなされていない[5]

脚注

[編集]
  1. ^ a b 尾園 暁・川島逸郎・二橋 亮 2022 ネイチャーガイド 日本のトンボ 改訂版(改訂第2版)532pp. 文一総合出版
  2. ^ Oguma, K. 1922 The Japanese Dragonfly-Fauna of the Family Libellulidae. Deutsche entomologische Zeitschrift 1922: 96-112.
  3. ^ a b 笹原節男 1993 奄美大島で日本初のハネナガチョウトンボの生息を確認 鹿児島県立博物館研究報告(13): 11-14.
  4. ^ 鷲谷いづみ監修 2017 ネイチャーガイド - 奄美大島のトンボ 改訂版 http://kenmun.dias.nii.ac.jpPDF
  5. ^ a b c 苅部治紀 2020 絶滅危惧種のトンボの保全 ハネナガチョウトンボの現状と保全.昆虫と自然 55 (13):18-21