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ノート:巨石記念物

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改名提案

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本ページ名の「monument」の訳語として「記念物」を当てるのは誤訳だと思います(メガリスが何かを「記念」しているわけではない)。この場合は研究社新英和中辞典なら2番目の訳語である「遺跡」が適当かと。 180.58.107.254 2015年7月31日 (金) 04:13 (UTC)[返信]

反対 国立国会図書館の普通件名[1]巨石記念物の語が収録されており[2]巨石遺跡の語が同義語等にも収録されていないことから、誤訳として改名する主張は妥当とは言い難いと思われます。巨石記念物の語は「日本の巨石文化」(駒井和愛、1973年、学生社)をもとに1980年に収録されたもので、メンヒルドルメン、Megalithic monumentsが同義語とされています。--Benpedia会話2015年7月31日 (金) 07:20 (UTC)[返信]
返信 (Benpediaさん宛) 提案者です。Benpediaさんからよい指摘があったので、詳細な提案理由を申し上げます(長文御免)。
Benpediaさんが主張する「国立国会図書館の普通件名」なのはまぎれもない事実ですが、この語句が使われていないのでは、ほとんど意味がありません。そこで、「巨石記念物」と「巨石遺跡」の利用状況を検証してみましょう。
公正を期すため、「普通件名」の決定者である国立国会図書館の「国立国会図書館サーチ」[3]で「巨石記念物」と「巨石遺跡」を検索してみます。
  • 巨石記念物…本 (31件)、記事・論文 (5件)、レファレンス情報 (22件)、デジタル資料 (50件)
  • 巨石遺跡……本 (34件)、記事・論文 (7件)、レファレンス情報 (1件)、デジタル資料 (22件)、その他 (1件)
「レファレンス情報」において「巨石記念物」が多いのは、サーチ用のキーとして利用されているので当然の結果であり、語句としての利用状況とは無縁ですから、ここでは考慮の外に置いた方がいいでしょう。「デジタル資料」でも「巨石記念物」が優勢ですが、これはデジタル百科事典での採録例が多いためです。しかし百科事典の記述には問題があるので後段で説明します。そこで、ここでは「記事・論文」と「本」で比較してみましょう。
「記事・論文」と「本」では「巨石記念物」と「巨石遺跡」はおおむね同じぐらいの数になります。しかし、内容を精査してみると必ずしも同数とはいえないのです。
記事・論文でいうと、「巨石遺跡」が年代的にも利用者についても分散しているため広く利用されている事実が明らかです。一方「巨石記念物」は駒井和愛氏の論文に偏っており、 しかも最新にして駒井氏以外の唯一の利用例が1965年刊行の木村重信氏の著作です。
ちなみにBenpediaさんが指摘した『日本の巨石文化』(駒井和愛、1973年)は駒井氏の死後、生前に発表した論文を集めたもので、「巨石記念物」に関する論文の発表年代は1950年から1958年にかけてのものです。つまり「巨石記念物」が1980年に普通件名になったといっても、それは1950年代の論文が元となっています(なぜ国会図書館が20年以上前の論文から普通件名を採録したのかは不明)。
本でいうと、「巨石遺跡」は戦前の書籍から2011年刊行の分冊百科まで使われており、今でも現役で利用されていることがわかります。一方「巨石記念物」は1982年刊行の『月刊考古学ジャーナル』を最後に利用されていません。30年以上、出版物に使われていないというわけです。
これだけではデータとしての偏りがあるかもしれませんから、新聞の記事での利用例も検証してみましょう。使ったのは「聞蔵II ビジュアル」。朝日新聞(地方版も含む)のデータベースです。利用した端末の不具合で縮刷版記事の検索が不可能だったので、1980年代中盤以降つまりここ30年分が対象ということになります。
  • 巨石記念物…6件(うち1件は「巨石遺跡」と重複。別の1件は『Megalithic remains in South-Sumatra』(Van Der Hoop、1935)のタイトルの記事著者による試訳である『南スマトラの巨石記念物』)。掲載時期は2012年、2008年、1998年、1997年(2件)、1990年。
  • 巨石遺跡……15件(うち1件は「巨石記念物」と重複。掲載時期は2010年、2009年(2件)、2008年(2件)、2000年(3件)、1998年、1997年、1994年、1993年、1986年、1985年、1984年。
以上、国会図書館サーチによる「記事・論文」と「本」および朝日新聞記事を対象に「巨石記念物」と「巨石遺跡」の利用状況を確認したわけですが、今現在どちらが利用されているかは一目瞭然、「巨石遺跡」の優勢は明らかです。
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さて、ここで視点を変えてみます。
まず最初に「記念」の定義を明確にしておきます。
  • (1)思い出となるように残しておくこと。また、そのもの。(2)過去の出来事・人物などを思い起こし、心を新たにすること(『デジタル大辞泉』)
  • (1)あとの思い出として残しておくこと。また,その物。(2)過去の出来事への思いを新たにし,何かをすること。(『大辞林 第三版』)
どちらの定義でも、特定の事象・事物といった対象が必要となります。では、巨石記念物は何を「記念」しているのでしょうか。
デジタル百科事典に掲載された「巨石記念物」の解説をみておきましょう。
  • 「巨大な切り石ないし石塊を使って造られた古代の遺構」(『ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典』)
  • 「巨石を用いてつくられた古代の遺構の総称」(『デジタル大辞泉』)
  • 「巨石で築かれた祭場,あるいは墳墓などの遺構」(『百科事典マイペディア』)
  • 「自然石または一部加工しただけの石で築いた建造物」(『世界大百科事典 第2版』)
  • 「ドルメンやストーン-サークルなど,大きな石を使った遺構」(『大辞林 第三版』)
  • 「面取りや化粧仕上げなどの加工が比較的少ない大きな石を用いてつくられた建造物…」(『日本大百科全書 ニッポニカ)』
お気づきでしょうか。記念物としておきながら、すべての媒体で「何を記念したものなのか」に関する記述が欠如しています。つまり、いずれの百科事典も「記念物」は項目名のみで、肝心な記念の対象物が書かれていないのです。これは日本語として不自然です。
さらに、日本語の文献だけになりますが、当方が目を通すことができた文献では、何かを記念した「巨石記念物」の存在は確認できませんでした。
国立国会図書館の普通件名に収録される元になった駒井和愛氏の『日本の巨石文化』でも「何かの記念物たらしめたもの」(89ページ)として、具体例があって「記念物」という用語を用いたわけではないようです。
このように「記念物」としての実態を伴わないため、一般書籍はもちろんのこと、論文ですら「巨石記念物」をテクニカルタームとして利用しなくなったものと推測されます。
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以上で論点が整理されたと思うので選択肢をまとめておきましょう。
  • 現時点での利用例が少なく、実態と合わない用語だが、国立機関が決めた用語かつ百科事典での採録が多いので「巨石記念物」を採用(現在のまま)
  • 現時点での利用例が多く、実態に合った「巨石遺跡」を採用
(百科事典の解説を元に「巨石遺構」や「巨石建造物」とする案も検討したのですが、利用例が少ないのでやめました)
さて、この文章をお読みの皆さんはどちらを選択されるでしょうか?
(先の提案理由で「巨石記念物」を「誤訳」と決めつけたのは少々行き過ぎであったことは反省しています)--114.165.166.100 2015年8月7日 (金) 14:18 (UTC)[返信]
返信 (Benpediaさん宛)
改名提案者です。先ほど完全読破したので、駒井和愛氏の論文に関する追加情報を記しておきます。
Benpediaさんが挙げられた駒井和愛氏の『日本の巨石記念物』に収録された巨石関係の記事・論文は全部で11本ありますが、タイトルを除けば、論文中で「巨石記念物」という用語を用いたのは6箇所に過ぎません。個別の遺跡の記述については、その形状による分類から環状列石/ストーン・サークル、立石/(メンヒル)、積石/ケールン、支石墓/ドルメン等々を用いて、正確性に欠ける表現である「記念物」は用いていません。また、巨石建造物一般を指すときには、(巨石なしの)「遺跡」や「遺構」を用いる例が目につきます。ちなみに氏は、北海道のストーン・サークルは(記念物ではなく)墳墓であるとする説を提唱していました。ご参考まで。--114.165.166.100 2015年8月8日 (土) 01:08 (UTC)[返信]
返信 改名提案の提案者であるIP利用者の180.58.107.254さん、114.165.166.100さん、丁寧な説明をいただきありがとうございます。ご主張については了解しました。
語句がつかわれていないのでは意味がないという指摘について
巨石記念物の語が30年以上(新聞や百科事典を除いて)出版物に使われていないというご主張は誤りであろうかと思います。
インドネシアと台湾の巨石文化 --34年後の『えとのす』論争--」(坂井隆、2012年12月、『上智アジア学』30、pp.157-187)、「新しい社会科学研究を求めて(2) --人間主義経済史観の探究--」(北政巳、2004年3月、創価経済論集 33(3/4), pp.21-35)[4]、2003年3月にACCU文化遺産保護協力事務所が奈良市で開催した「巨石文化国際会議」の基調講演2本に関連する「ACCUニュース」(2003年9月、340号、(http://www.accu.or.jp/archives/jp/profile/accunews/news340/340interview.doc)word文書注意)でのジャン=ポール・ドゥムール氏へのインタビュー記事および「東アジア巨石文化の広がり甲元眞之、2008年12月、青驪、Vol.9、p.1-11、国立民族学博物館研究報告別冊(1990年3月、11号、「比較文化論:大項目別報告:宗教 4200」寺田勇文 [5])など、複数の研究者による出版物で使用されています。
巨石記念物が古い語であるといった印象を与えるご指摘は受け入れることはできませんでした。
一方、巨石遺跡の語もご指摘の通り研究者を含め多くの場で使われていることは確認しております。
記念の定義と百科事典の収録状況の指摘について
複数の百科事典における「巨石記念物」の解説を読んだ上で不自然との指摘でありますが、「「記念物」としての実態を伴わない」、「「巨石記念物」をテクニカルタームとして利用しなくなったものと推測」といった指摘はIP利用者さんの独自研究であります。巨石記念物をテクニカルタームとして利用しなくなったという推測は、推測の内容の是非以前に現在も使用されている語でありますから前提が誤っています。
「記念物としておきながら、すべての媒体で「何を記念したものなのか」に関する記述が欠如」という指摘は、例えば「天然記念物はなにを記念したものなにか」に考えを巡らせていただきたいと思います。「阿寒湖のまりも」は特別天然記念物でありますが、何かを記念して存在しているわけではなく、まりもそのものが記念物なのです。
--Benpedia会話2015年8月10日 (月) 05:36 (UTC)[返信]