ノート:インダクトラック
ロケット発射台
[編集]- NASAの考えではインダクトラックに搭載したロケットを磁気浮上とリニアモータで、約1kmのガイド上で、マッハ0.8程度(約950km/h)まで加速した後、ロケットに点火して打ち上げることで、打ち上げに必要な燃料の30%から40%削減可能と推測している。
の部分ですが、本当にNASAはこのような発表をしたのでしょうか?
手元の宇宙開発に関する書籍には、次のような記述があります。
- 時速500kmは秒速に換算すると139m/s,10km/sに対して1.4%でしかない.エネルギーで考えれば5000分の1程度だ.このように考えると,カタパルトをつくるならば,今のリニアモーターカーどころではない速度まで加速しなければ意味はないことがわかる.
- (松浦晋也、『われらの有人宇宙船-日本独自の宇宙輸送システム「ふじ」-』、裳華房、2003年、101頁。「コラム:リニアモーターを使ったカタパルト」より抜粋)
その他にも、専門家のblog(コメント欄)に、同じような話題がありました。確かに[1]など、それらしいソースは見つかりますが、正直かなり疑わしい話に思えるのですが・・・。(もちろん、月面などで使うための研究!ということであれば、話は別ですが。)--Honeplus 2006年12月18日 (月) 15:12 (UTC)
えー、どうも。文が長くなるので、インデントはつけません。ご了承ください。
出典は参考文献に挙げている『日経エレクトロニクス』- 2000年4月号です。Web上の要約でも確認できると思います。
またローレンスリバモア研究所のサイトにも記載がありますが、ママ引用しますと
NASA is interested in maglev technology to help launch rockets at sharply reduced costs. As conceived, a track would use a reusable launcher to propel a rocket up a ramp to almost Mach 1 speeds before the rocket's main engines fire. According to Smith, the technology should be able to save about 30% of the weight of the launch vehicle. "Rocket engines are not fuel-efficient at low speed," he points out.
で、マッハ1まで加速できれば30%程度の質量削減が見込めるとのことです。上記雑誌の記述よりは抑えた表現になっています。直接、NASAが言及しているわけではないので、記事上での表現は変えました。
また、Honeplus さんの挙げられた計算ですが・・・
- 地球自転速度が加わっていない(緯度にもよるが約0.5km/s程度は見込める。10km/sの約5%程度)
- カタパルトの加速分のエネルギはロケットの外に出せる(カタパルト加速分相当の燃料を削減できるため、この余分重量分をさらに加速させるための燃料も削減できる)
- リニアを使用するのが、空気抵抗の大きい部分での加速である(2.5km/s分は空気抵抗のため減耗するとのこと)
ぱっと読んでも、この3つの項目が考慮されていません。30~40%の削減が研究予算を獲得するための楽観的すぎる数値としても、500km/hで1%強というのも悲観的すぎる数値というように思えます。また著者の松浦晋也氏も元々雑誌記者出身(日経BP)です。どちらかというと宇宙技術専門というよりかは、宇宙産業政策や経営視点で掛かれたものが多く、科学的・技術的にどこまで深く考察しているかは疑問があります。安易にこの記述を引用することも注意が必要だと思いますがどうでしょうか。
少なくとも、インダクトラック研究についてNASAから予算を得ているというのは、事実のようです。
以上、私見も含まれますが、いかがでしょうか?--Yosemite 2006年12月23日 (土) 12:58 (UTC)
- 資料の提示ありがとうございます。以下返信です。
- >地球自転速度
- これはインダクトラックに限らない話ではないのでしょうか? 現在のロケットは既に地球の自転速度を利用しており、そのためほとんどが東向きに打ち上げられている、と認識しています[2]。
- >カタパルトの加速分のエネルギ
- これはその通りですが、資料の中でも当然考慮されています。上で引用した文は、でも2%未満じゃカタパルトを使っても割に合わない、という話ですので・・・。実際に数十%が達成できるのなら、話は変わるとは思います。
- >リニアを使用するのが、空気抵抗の大きい部分での加速
- 実は、上の引用の次の行で、まさにそれ自体が問題点として指摘されています。以下、再度引用します。
- そんなに加速すると,今度は空気抵抗が問題になってくる.カタパルトをチューブにして中を真空にするにしても,チューブから出るところで空気の壁にぶつかる形になり,衝撃波が発生したり,大きな振動が打ち出したロケットにかかったりして,どうもうまくないことが起きそうである.
- (補足、現在のロケットは、打ち上げ直後は低速で、高度の高い空気の薄い領域に到達してから、一気に加速するようです。)
- この後の段落で、唯一可能性があるとしたら、高さ数十kmの塔型、できれば高さ数十kmの塔の上に水平なカタパルトを(そして現在の科学力では建設は不可能だが)、というようなまとめとなっています。
- もちろん、仰られるとおり松浦氏の見解が正しいとは限りませんが、現在挙がっている根拠がほぼ文献中で否定されているものなので、やはり?という気持ちがいなめません。NASAは「それを打開する何か」を開発するということかもしれませんが・・・。とりあえず、ローレンスリバモア研究所という大きなソースがご提示いただけたので、この記事の記述自体は問題ないと思います。--Honeplus 2006年12月23日 (土) 14:41 (UTC)