ナチス・ドイツの国旗
用途及び属性 | ?? |
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縦横比 | 3:5 |
制定日 | 1935年9月15日 |
使用色 |
ナチス・ドイツの国旗は、1935年から1945年までは、赤地に白い円を描き、その中にハーケンクロイツを描いたものである。白い円はアーリア人を表し、その中のハーケンクロイツ(スワスチカ)は、幸運の印であるとしている。ナチスの党旗とデザインや配色は同じであるが、たなびいた時の見え方に配慮してハーケンクロイツがやや旗竿側に寄っている。また旗の裏側では、旗竿側にハーケンクロイツが来るように表側とは左右が反対になっているが、両方ともハーケンクロイツは右回転になるよう、表と裏ではデザインが異なっている[1]。
沿革
[編集]1920年、アドルフ・ヒトラーは国家社会主義ドイツ労働者党(ナチス)のシンボルを党員に公募し、最終的にハーケンクロイツを採用して党旗や党章に取り入れた。党旗のデザインにあたって無数の案を却下したヒトラーは、『我が闘争』(1925年)で最終的なデザインの決定を次のように述べている。
一方で私自身は、無数の失敗の後、最終的な案を「赤い背景に白い円、その中心に黒のハーケンクロイツ」へと定めた。また旗のサイズと白い円の比率、スワスティカの形と太さについても、長時間の試行錯誤の結果、決定的な比率を発見した。
赤・白・黒は帝政期のドイツ国旗の色でもあるが、ヒトラーは『我が闘争』の中で、「私は常に古い国旗の色を残すことに賛成だった」、なぜなら一兵士としてこの国旗の色を「最も神聖な財産」として見ていたからであり、個人的にも趣味に合ったからだ、と述べている[2]。ヒトラーはこの三色に、「赤は党の運動の基調にある社会的な理念を、白は民族の理念を」、黒いスワスティカは「アーリア人種」と、「本来的に、そしてこれからも常に反ユダヤ的である、創作作品の理想」の象徴だという新しい定義付けを行っている[2]。
1933年にナチスが政権を握ると、大統領布告で正式な国旗を制定するまでの暫定的な措置として、ドイツ帝国時代と同じ配色の三色旗(黒白赤(シュヴァルツ=ヴァイス=ロート))を国旗とし、ナチ党旗であるハーケンクロイツ旗と共に掲揚することを義務づけられた[3][4]。同時に、ヴァイマル共和政時代の黒赤金の三色旗は廃止された。
1935年7月26日にアメリカ合衆国のニューヨーク港に寄港していたドイツ客船「ブレーメン」に掲げられていたハーケンクロイツ旗が、船に乗り込んできた反ファシズム活動家により引きずり下ろされ、ハドソン川に捨てられる事件が起きるなど、同旗のみを狙って棄損する抗議活動が頻発した。ブレーメン号の事件に対してドイツ大使が抗議しても「(三色旗と違って)ハーケンクロイツ旗は正式なドイツ国旗ではないので、国旗の名誉が汚されたとはいえない」とアメリカ合衆国政府にあしらわれたため[5]、同年9月15日に、ニュルンベルク党大会で新たな「国旗法」の制定が発表され、ハーケンクロイツ旗のみを国旗とし、三色旗は「反動的」として掲揚が禁じられた。ヘルマン・ゲーリングはこの大会で、古い三色旗は名誉あるものだが、過ぎ去った時代の象徴であり、「反動主義者」により悪用される脅威に晒されていると述べている。ただし、「黒白赤」の配色は「国家色」として、国防軍のヘルメット用デカールなどとして、第二次世界大戦中も使われ続けた。
ハーケンクロイツ旗はナチズムやファシズムの象徴と見なされたため、大戦後のドイツおよびヨーロッパの多くの国では、公共の場における掲揚は法律で禁じられている(三色旗は禁止されていない[注 1])。
脚注
[編集]出典
[編集]- ^ “Centred vs. Offset Disc and Swastika 1933-1945 (Germany)”. 2021年11月14日閲覧。
- ^ a b Mein Kampf at Project Gutenberg
- ^ von Hindenburg, Paul (12 March 1933). “Erlaß des Reichspräsidenten über die vorläufige Regelung der Flaggenhissung” [Decree of the President for the provisional regulation of raising flags] (ドイツ語). documentArchiv.de. 17 July 2010閲覧。
- ^ Fornax. “The German Swastika Flag 1933–1945”. Historical flags of our ancestors. 17 July 2010閲覧。
- ^ Brian Leigh Davis: Flags & standards of the Third Reich, Macdonald & Jane's, London 1975, ISBN 0-356-04879-9
- ^ "Zeigen von Reichskriegsfahnen und Reichsfahnen wird verboten" (Press release) (ドイツ語). ブレーメン州政府. 18 September 2020. 2021年9月5日閲覧。