コンテンツにスキップ

ドン・ニックス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ドン・ニックス
ドン・ニックス (2013年)
基本情報
原語名 Don Nix
出生名 William Donald Nix[1]
生誕 (1941-09-27) 1941年9月27日
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 テネシー州メンフィス
死没 (2024-12-31) 2024年12月31日(83歳没)
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 テネシー州ジャーマンタウン
ジャンル
職業
  • ミュージシャン
  • ソングライター
  • プロデューサー
担当楽器
活動期間 1958年 – 2013年
レーベル
共同作業者 マーキーズ

ドン・ニックス (: William Donald Nix1941年9月27日 - 2024年12月31日)は、アメリカ合衆国ミュージシャンソングライター音楽プロデューサーである[2]。ニックスは「Going Down」のソングライターとして最も知られており、オールミュージックは彼のことを「サザン・ソウルおよびロック界において、知る人ぞ知る存在のひとり」としている[3]

ソロ・アーティストとしてニックスは1971年と2008年の間に9枚のアルバムをリリースし、3冊の本を出版している。

来歴

[編集]

キャリア初期

[編集]

ドン・ニックスは1941年9月27日、テネシー州メンフィスの音楽一家に生まれた。彼の弟のラリーはメンフィスのスタックス・レコードおよびアーデント・スタジオのマスタリング担当の技術者となった[4]。ニックスのキャリアは、スティーヴ・クロッパードナルド・ダック・ダンらとともにメンフィスを拠点としたグループ、マーキーズに参加し、サクソフォーンを担当したところから始まった。彼らは1961年に「Last Night」がシングル・ヒットとなっている[3]。マーキーズ脱退後、ニックスはスタックスのセッション・ミュージシャンとして活動した[3]

1960年代半ばにはロサンゼルスに拠点を移し、レオン・ラッセルゲイリー・ルイス&ザ・プレイボーイズジョン・メイオールズ・ブルースブレイカーズフレディ・キングなどのプロデューサーおよびソングライターを務めた[2][3]。ニックスの最も知られた楽曲「Going Down」は1969年にリリースされたモロックというバンドのアルバム『Moloch』に収録され、ジェフ・ベック・グループザ・フーらにカバーされるなどし、ブルースロックのスタンダードとなった[5]。1971年にニックスはジョージ・ハリソンと知り合い、その縁で彼がバングラデシュ・コンサートのバック・ヴォーカリストを手配することにつながった[6]

ソロ・デビュー

[編集]

1971年、以前より交流のあったレオン・ラッセルのレーベル、シェルター・レコードより初のソロ作『In God We Trust』をリリース。同年には、セカンド作『Living by the Days』をエレクトラ・レコードからリリースしている。

更に同年、ジーニー・グリーン、ファーリー・ルイスらとアラバマ・ステート・トルーパーズを結成し、全米ツアーを行なった[7]。当初このツアーは『Living by the Days』のプロモーションを念頭に組まれたものの、ベテラン・ブルース・アーティストのルイスがオープニングを務めるなど、独自色を示すこととなった。翌1972年、エレクトラはこのツアーのライヴ盤『Alabama State Troupers Road Show』をリリースしている。しかしながら、このグループを長くは続かず、一度限りのツアーで終焉を迎えた[7]

ソロ・アーティストとして活発な動きを見せたニックスだったが、作品の売れ行きは芳しくなく、やがて彼は他のアーティストのレコーディングに軸足を移していった[3]

1980年代には自身の作品は出していないが、ナッシュヴィルに居を移し、再びソングライティングと他のアーティストのプロデュースをするようになった[3]

後年の作品と来日公演

[編集]

2002年には10年近い空白期を経てアルバム『Goin' Down: The Songs of Don Nix』をリリース。これは、ブライアン・メイトニー・ジョー・ホワイトボビー・ブラムレットなど豪華ゲストを迎え、新曲を含め自身の書いた楽曲を歌う作品となっている[8]

その後2006年、2008年とソロ作を発表した[3]

2013年にはロニー・ナイトとともに来日公演を行なった[9]。万全の環境とは言えない中、日本人プレイヤーも入れたバンドのサポートを得て往年のレパートリーを中心に披露した[10]

死去

[編集]

ニックスは2024年12月31日、テネシー州ジャーマンタウンの自宅にて死去した。83歳だった。死因は明らかにされていないものの、黄斑変性症を患っており、視力を失っていたと伝えられている[11]

ディスコグラフィー

[編集]

ソロ

[編集]
  • 1971年 『In God We Trust』 (Shelter)
  • 1971年 『Living by the Days』 (Elektra)
  • 1973年 『Hobos, Heroes and Street Corner Clowns』 (Enterprise)
  • 1976年 『Gone Too Long』 (Cream)
  • 1979年 『Skyrider』 (Cream)
  • 1993年 『Back to the Well』 (Appaloosa)
  • 2002年 『Goin' Down: The Songs of Don Nix』 (Evidence Music)
  • 2006年 『I Don't Want No Trouble!』 (Section Eight)
  • 2008年 『Passing Through』 (Section Eight)

アラバマ・ステート・トルーパーズ

[編集]
  • 1971年 『Alabama State Troupers Road Show』 (Elektra)[7]
  • 2005年 『Live for a Moment』 (AIM)[7]

著書

[編集]
  • 1997年 『Road Stories and Recipes』 (Schirmer Books/Simon & Schuster, New York) ISBN 0-02-864621-5
  • Who's That with Don Nix?』 – ドン・ニックスの個人的な経験を記したフォトジャーナル
  • 1997年, 2015年 『Memphis Man: Living High, Laying Low』 (Sartoris Literary Group, Jackson, Mississippi) ISBN 978-1-941644-39-3

出典

[編集]
  1. ^ Catalog of Copyright Entries: Third series. Library of Congress Copyright Office. (1971). pp. 2011. https://www.google.co.uk/books/edition/Catalog_of_Copyright_Entries/dzohAQAAIAAJ?hl=en&gbpv=1&dq=%22william+donald+nix%22&pg=PA2011&printsec=frontcover 2025年1月6日閲覧。 
  2. ^ a b Colin Larkin, ed (1995). The Guinness Who's Who of Blues (Second ed.). Guinness Publishing. p. 282. ISBN 0-85112-673-1 
  3. ^ a b c d e f g Don Nix | Biography & History”. AllMusic. 2021年3月9日閲覧。
  4. ^ "Memphis Man" Living High, Laying Low (1997, 2015) Sartoris Literary Group, Jackson, Mississippi. ISBN 978-1-941644-39-3 p. 100
  5. ^ Newark 15th December, Prudential Center”. Rollingstones.com. 2014年7月17日閲覧。
  6. ^ O'Dell, Chris; Ketcham, Katherine (2009). Miss O'Dell: My Hard Days and Long Nights with The Beatles, The Stones, Bob Dylan, Eric Clapton, and the Women They Loved. New York: Touchstone. p. 197. ISBN 978-1-4165-9093-4 
  7. ^ a b c d Bruce Eder. “Alabama State Troupers Biography”. Allmusic. 2025年2月14日閲覧。
  8. ^ Hal Horowitz. “Going Down: The Songs of Don Nix”. Allmusic. 2025年2月14日閲覧。
  9. ^ ドン・ニックス&ロニー・ナイト 奇跡の来日公演が来年3月に決定!” (2012年11月16日). 2025年1月6日閲覧。
  10. ^ Don Nix & Lonnie Knight遂に実現した来日公演”. Blues Ginza Blog (2013年3月20日). 2025年2月14日閲覧。
  11. ^ Mehr, Bob (2025年1月1日). “Don Nix, Stax artist, producer and 'Going Down' songwriter, has died at 83”. The Commercial Appeal. https://eu.commercialappeal.com/story/entertainment/music/2025/01/01/don-nix-obituary-stax-artist-songwriter-producer/77388086007/ 2025年1月6日閲覧。 

外部リンク

[編集]