トーマス・エルロイ・オーバーハイム
トーマス・エルロイ・オーバーハイム(Thomas Elroy Oberheim )は一般にトム・オーバーハイム(Tom Oberheim )として知られるアメリカ合衆国のエンジニア、発明家である。
カンザス州マンハッタンにて生まれた。1954年秋にカンザス州立大学電子工学部に入学し音楽や物理を学んだ。卒業後はコンピューターエンジニアとして働きながら音楽家である友人ドン・エリスの依頼でアンプを製作、さらに製作したリング・モジュレーターが評判を呼び、Maestroというブランドで製品化された。特にヒットしたのはフェイズ・シフターであり、3万台生産された[1]。
1971年アープのディーラーとしてシンセサイザー販売を短期間経験した後、その経験、知識とMaestroエフェクターの収益で1973年にオーバーハイム・エレクトロニクスを設立した。1974年 E-mu Systemsからポリフォニック技術のライセンスを受け[2]、1975年に初期の一体型ポリフォニックシンセサイザーの一つを開発し [3]、MIDI規格の策定にも参画するなどした実績から「シンセサイザーの生みの親」と呼ばれるようになった[要出典]が、オーバーハイム・エレクトロニクスは顧問弁護士に乗っ取られ、追い出される形で退社した。[4]
1987年Marion Systems [5]を設立、AKAI professionalの12bitサンプラーS900を16bitにアップグレードするキットやMPCシリーズのSCSIボードなどを製作した後、アナログ8ボイスシンセモジュールMSR-2を製作している。※MSR-2開発をもちかけたのは当時のカメオインタラクティブ(日本企業)である[4]。
1999年Seasoundを設立している。
脚注
[編集]- ^ 正規輸入代理店エムアイセブンジャパン公式ホームページ本人インタビューより
- ^ “The History Of Emu Systems”. MITメディアラボ. 2009年11月8日閲覧。
- ^ 1937年に最初期のポリフォニックシンセサイザー(全鍵盤発音方式およびキーアサイン方式)が相次いで開発された。1971年頃LSI技術によるディジタル楽器を製品化したロックウェル/アーレン・オルガンは、ディジタル楽器全般の基本技術独占を狙って、キーボードのディジタル・スキャン回路を含む包括的な独占特許を出願した(1970年代後半に一部無効判定済み)。一方 E-mu Systemsは、1974年独自にキーボード・スキャン回路を開発し、モジュラー形式のポリフォニック・シンセサイザーを発売した。
“E-MU Systems - Vintage X Pro Vol.2. synthesizers - Instrument Descriptions”. E-mu Systems. 2009年11月8日閲覧。
1975年のOberheim 4-voice/2-voiceのキーアサイン技術は、この先行するE-mu Systemsからの技術ライセンスで実現された。なお同年にはヤマハも独自技術でポリフォニックシンセサイザーを実用化し、「エレクトーン GX-1」として発売した。 - ^ a b リットーミュージック出版「VINTAGE SYNTHSIZERS」より
- ^ マリオンは娘の名前に由来する。