トリス(トリメチルシリル)ホスフィン
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トリス(トリメチルシリル)ホスフィン | |
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トリス(トリメチルシリル)ホスフィン | |
別称 トリス(トリメチルシリル)ホスファン | |
識別情報 | |
CAS登録番号 | 15573-38-3 |
特性 | |
化学式 | C9H27PSi3 |
モル質量 | 250.54 g mol−1 |
外観 | 無色液体 |
密度 | 0.863 g/cm3 |
融点 |
24 °C, 297 K, 75 °F |
沸点 |
243-244 °C, 272 K, -164 °F |
危険性 | |
主な危険性 | poison, inflammable |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
トリス(トリメチルシリル)ホスフィンは、分子式P(Si(CH3)3)3で表される有機リン化合物である。[1]空気中で容易に加水分解され自然発火する、無色の液体である。
合成
[編集]トリス(トリメチルシリル)ホスフィンは、白リンをナトリウム-カリウム合金とクロロトリメチルシランで処理することにより得られる。 [2]
- 1/4 P4 + 3 Me3SiCl + 3 K → P(SiMe3)3 + 3 KCl
その他いくつかの調製法が知られている。 [1]
反応
[編集]トリス(トリメチルシリル)ホスフィンは加水分解を受けて、猛毒のホスフィンを生成する。
対応する塩化アシルとの反応により、tert-ブチルホスファアセチレン(英語版)などのホスファアルキンが得られる。 [4]
カリウム tert-ブトキシドとの反応により、P-Si結合が1本切断され、ビス(トリメチルシリル)ホスフィドが生成する。 [5]
- P(SiMe3)3 + KOtBu → KP(SiMe3)2 + Me3SiOtBu
金属ホスフィドクラスターの調製にも用いられる試薬である。金属のハロゲン化物やカルボン酸塩をトリス(トリメチルシリル)シランで処理することにより調製できる。
安全性
[編集]トリス(トリメチルシリル)ホスフィンは空気中で自然発火するため、不活性気体下で使用する必要がある。
参考文献
[編集]- ^ a b Kosarev, Sergey A.; Collier, Steven J. (2011). tris(trimethylsilyl)phosphin. 422–427. doi:10.1002/047084289X.rn01332. ISBN 978-0471936237
- ^ Becker, Gerd; Schmidt, Helmut; Uhl, Gudrun; Uhl, Werner (1990). Tris(trimethylsilyl)phosphine and lithium bis(trimethylsilyl)phosphide·bis(tetrahydrofuran). 27. 243–9. doi:10.1002/9780470132586.ch48. ISBN 9780470132586
- ^ Fenske, D.; Holstein, W. (1994). “[Cu96P30{P(SiMe3)2}6(PEt3)18], a New Phosphorus-Bridged Copper Cluster”. Angew. Chem. Int Ed. Engl. 33 (12): 1290–1292. doi:10.1002/anie.199412901.
- ^ M. Regitz (1990). “Phosphaalkynes: new building blocks in synthetic chemistry”. Chem. Rev. 90: 191–213. doi:10.1021/cr00099a007.
- ^ Russell, Christopher A.; Townsend, Nell S. (2012). “Phosphaalkynes”. In Kamer, Paul C. J.. Phosphorus(III) Ligands in Homogeneous Catalysis. Wiley-VCH. pp. 343–354. doi:10.1002/9781118299715.ch11. ISBN 9781118299715