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トラファルガー・タヴァーン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
トラファルガー・タヴァーン

トラファルガー・タヴァーン (英語: Trafalgar Tavern) はロンドングリニッジ、パーク・ロウにある第二級指定建造物の建物に入っているパブである[1]テムズ川の南岸、旧王立海軍大学英語版の東側にある。ヴィクトリア朝時代に建てられて人気を博したパブであり、チャールズ・ディケンズの小説にも登場する。一時期船員のための施設として使用された後、再度パブとして開店し、グリニッジの観光名所のひとつとなっている。

来歴

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床から天井まである大きな窓

ヴィクトリア朝

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もともとジョージ・タヴァーンが建っていた場所に、建築家のジョゼフ・ケイにより1837年に建てられた[2]。4階建てで、バルコニーがついた建物であった[3]。ケイはグリニッジ病院のための仕事を請け負っていた[3]。パブの新しい名称は1805年のトラファルガーの海戦に拠るものである[3]

当時はテムズ川でたくさんとれたシラスなどを用いた料理が売りで、大きな人気を博した[2][3]ウェストミンスターから川船でテムズ川を下ってアクセスできることもあり、19世紀にはウィリアム・グラッドストンなどの著名な政治家や、ウィリアム・メイクピース・サッカレーウィルキー・コリンズトーマス・マコーリージョージ・クルックシャンクフレデリック・マリアットなど多数の文人がこの店を訪問したという[2][3][4]チャールズ・ディケンズの『我らが共通の友英語版』には結婚式の祝宴の場面でこの店が登場する[2]

第一次世界大戦

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パブの名前のもととなったトラファルガー海戦にちなむネルソンの像

第一次世界大戦が始まった1914年には、この店には既に往事の勢いはなくなっており、商船隊の宿泊所などとして用いられていた[5]。トラファルガー・タヴァーンは40名ほどの船員が宿泊できると考えられており、スペースの不足に悩んでいた海軍はグリニッジの海軍施設のすぐそばにあるトラファルガー・タヴァーンを王立婦人海軍のメンバーなどの住居として使えるか検討したが、王立婦人海軍が使用することにはならなかった[5]。結局1915年にはパブが閉まり、引退した船員のための施設や労働者クラブとして使用されるようになった[2]。1919年時点では、排水などの居住状況はあまり良くなかったという[5]

パブとしての再オープン

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1965年に改修され、再度パブとしてオープンした[2]。1973年には建物が第二級指定建造物に登録された[1]。床から天井まである窓と伝統的なパブ料理が売り物である[6]。パブの外には名前の由来となったトラファルガーの海戦で勝利したホレーショ・ネルソンの像がある[7]。テムズ川を見下ろす壮麗な外観のため、ディケンズの小説に出てきたのと同様、結婚式場として人気がある[8]

脚注

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  1. ^ a b Historic England. "Trafalgar Tavern public house (1078950)". National Heritage List for England (英語). 2014年5月11日閲覧
  2. ^ a b c d e f The London encyclopaedia. Christopher Hibbert, Ben Weinreb (Third edition ed.). London: Pan Macmillan. (2010). p. 936. ISBN 978-0-230-73878-2. OCLC 1004509294. https://www.worldcat.org/oclc/1004509294 
  3. ^ a b c d e Ramzan, David (2018). Greenwich in 50 buildings. Stroud. ISBN 978-1-4456-8090-3. OCLC 1063666716. https://www.worldcat.org/oclc/1063666716 
  4. ^ Attwooll, Jolyon (2018年1月25日). “24 of London's most incredible historic pubs” (英語). The Telegraph. ISSN 0307-1235. https://www.telegraph.co.uk/travel/destinations/europe/united-kingdom/england/london/articles/london-best-historic-pubs-the-ultimate-tour/ 2021年7月28日閲覧。 
  5. ^ a b c Dickinson, Harry (2016). Wisdom and War : the Royal Naval College Greenwich 1873-1998.. London: Taylor and Francis. p. 131. ISBN 978-1-134-76897-4. OCLC 1018166553. https://www.worldcat.org/oclc/1018166553 
  6. ^ Lianne Kolirin (2019年6月17日). “A guide to local favorites in Greenwich” (英語). Washington Post. 2021年7月28日閲覧。
  7. ^ “Original Observer photography” (英語). The Guardian. (2020年5月2日). ISSN 0261-3077. https://www.theguardian.com/artanddesign/gallery/2020/may/02/original-observer-photography 2021年7月28日閲覧。 
  8. ^ Fletcher, David Ellis, Harry (2020年2月21日). “The 50 best pubs in London” (英語). www.standard.co.uk. 2021年7月28日閲覧。

座標: 北緯51度29分04秒 西経0度00分15秒 / 北緯51.4845度 西経0.0043度 / 51.4845; -0.0043