コンテンツにスキップ

アイシン精機

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
トヨタベッドから転送)
トヨタ自動車 > トヨタグループ > アイシン > (旧)アイシン精機
(統合前)アイシン精機株式会社
AISIN SEIKI Co., Ltd.
AISIN SEIKI logo
本社地区
種類 株式会社
市場情報
本社所在地 日本の旗 日本
448-8650
愛知県刈谷市朝日町2丁目1番地
設立 1949年6月1日
業種 輸送用機器
事業内容 自動車用部品の製造
代表者 伊勢清貴代表取締役社長兼社長執行役員
三矢誠(代表取締役兼副社長執行役員)
水島寿之(代表取締役兼副社長執行役員)
資本金 450億49百万円
(2018年3月31日時点)[1]
発行済株式総数 2億9467万4634株
(2018年3月31日時点)[2]
売上高 連結:3兆9089億37百万円
(2018年3月期)[3]
営業利益 連結:2538億8百万円
(2018年3月期)[4]
純利益 連結:1345億51百万円
(2018年3月期)[5]
純資産 連結:1兆8031億29百万円
(2018年3月末時点)[6]
総資産 連結:3兆5279億10百万円
(2018年3月末時点)[7]
従業員数 連結:11万4478人
(2018年3月末時点)[8]
決算期 3月末日
主要株主 トヨタ自動車 6686万株 22.69%
主要子会社 関連会社参照
関係する人物 豊田幹司郎(元代表取締役社長・会長、現取締役会長)
藤森文雄(副会長)
和田明広(元会長)
山内康仁(元社長)
伊原保守(相談役)
外部リンク https://www.aisin.co.jp/
テンプレートを表示

アイシン精機株式会社(アイシンせいき、: AISIN SEIKI Co.,Ltd.、中:爱信精机株式会社)は、かつて存在したトヨタグループの大手自動車部品メーカー。日本の他メーカーや、フランスプジョー等の海外メーカーにも部品を供給している。CIは「Geared up for the future」。現在のアイシンの前身となる企業であり、2021年4月にアイシン・エィ・ダブリュを吸収合併し社名を変更している。

概要

[編集]

主な事業は自動車部品の開発と生産。ブレーキシステムや、大容量トランスミッションエンジン関連、ドア周り部品、GPSカーナビゲーションなどを手がけている。音声案内を行うボイスカーナビゲーションを世界で初めて世に送り出した。オートマチックトランスミッション(自動変速機)においては世界トップレベルとも言われる。近年はトヨタグループの製品(自動車や自動織機の技術など)を応用した商品が開発され、系列としてはベンチャー的である。

他にもベッドミシンなど住生活関連製品、ガスヒートポンプなどのエネルギー関連製品、さらには電動車いすなど福祉用品も扱っている。1980年代前半までは、シャープ製のカラーテレビ、冷蔵庫、洗濯機、電子レンジなどを「TOYOTA」マークをつけて「トヨタ家庭用機器」として販売していた。また、1976年に伊奈製陶(現LIXIL)と共同開発した「シャワートイレ」はその後の主力製品となった。

2009年6月から藤森文雄が社長に就任。豊田幹司郎以来となる二人目の生え抜き社長である。

一つの事業が大きくなった場合は分社化するという特徴があり、グループ会社は全世界で180社以上存在した。特に元子会社であるアイシン・エィ・ダブリュは、成長が著しく、親会社であるアイシン精機と比較しても売上高・社員数共にほぼ変わらないという規模まで成長していた。

B.LEAGUEに所属しているシーホース三河は、アイシン精機男子バスケットボール部が前身であり、運営会社のシーホース三河株式会社の親会社でもあった。アイシン精機男子バスケ部時代、2000年頃までは成績低迷に喘いでいたが、他チームを解雇されたりチームの廃部で居場所を失ったりした選手を多数受け入れて、2002年にはオールジャパン優勝を果たした。この苦労話が「ファイブ」としてノンフィクション小説となった。これが劇画化されビッグコミックで連載され、また2008年1月にはNHKテレビドラマ化もされた。

また、相撲部は実業団横綱を複数人輩出しているほどの強豪であり、2020年には同部初の女性部員として今日和が入部した[9]

同社は日本取引所グループ日本経済新聞が「財務や経営が優秀な上場企業の上位400社」として選定しインデックス化するJPX日経インデックス400の構成銘柄に採用されている。

2018年、自動車の手動変速機を生産してきた中国河北省の工場を再編し、2019年より前輪駆動車のATを生産することが決定(同時期に中国国内でアイシン・エィ・ダブリュによるAT生産体制強化も発表されている)[10]

沿革

[編集]
JR北海道厚別駅札幌市厚別区)西口近くの木造小屋に残存している「トヨタ洗濯機」のホーロー看板(写真左上。2016年7月撮影)
  • 1943年2月18日 - 陸軍航空本部の命により、航空用発動機量産のため、トヨタ自動車工業と川崎航空機工業の共同出資によって「東海航空工業株式会社」として設立[11]
  • 同年3月29日 - 既存企業との社名の重複が発覚、「東海飛行機株式会社」に改称(トヨタ自動車75年史には、登記が3月19日、社名変更が4月8日とある。)[12]
  • 1945年 - 東新航空機を設立。東海航空工業、愛知工業に社名変更。東新航空機、新川産業に社名変更。
  • 1949年6月 - 東海飛行機が愛知工業株式会社と社名を変更して航空機部品生産からミシン、自動車部品生産へと転換。
  • 1953年 - 新川産業、新川工業に社名変更。
  • 1961年10月 - 愛知工業が名古屋証券取引所1部に上場。
  • 1965年8月 - 新川工業株式会社と合併してアイシン精機株式会社に社名を変更・設立。社名のアイシンは、旧法人である「愛知工業」のと「新川工業」のを組み合わせたものである。
  • 1970年5月 - 東京証券取引所大阪証券取引所各1部に上場。藤岡試験場を竣工。ロサンゼルスに海外初の現地法人を設立。
  • 1972年 - デミング賞の受賞。
  • 1977年 - アイシン高等学園を設立。
  • 1982年 - TQC部門・TPM部門で日本初の四冠達成。
  • 2001年11月 - 創立35周年を記念として本社敷地内に展示施設のアイシンコムセンターを建設。
  • 2009年12月 - 大阪証券取引所上場廃止。
  • 2021年4月 - アイシン・エィ・ダブリュと経営統合。経営統合後の社名は株式会社アイシン

製品

[編集]
アイシン精機が開発したデマンド型交通サービス「チョイソコ」
  • 自動車部品
  • 住生活関連製品
  • ガスヒートポンプ - 初期型は室外機は自社製で室内機は三菱重工業からのOEMであったが[13]、2015年現在はダイキン工業との協業事業として、室内機はダイキンからのOEM調達となっており[14]、逆にアイシンはダイキンに室外機をOEM供給する分業体制。
  • 福祉用品
  • デマンド型交通サービス「チョイソコ」 - アイシン精機が開発。自治体の乗合サービス運用の負担を軽減する仕組みを構築し、「チョイソコ」の名称で全国展開を進めている。車両は主にトヨタ・ハイエースを使用。豊明市で2018年7月から無償で試験運行を開始し、2019年4月からは有償で実施された。2021年1月時点で全国13地区で利用されている[15][16]

施設

[編集]
本社(事務本館)

関連会社

[編集]
2015年から使用されている創立50周年アイシングループロゴ

グループ主要会社

[編集]

連結子会社

[編集]
  • アイシン東北
  • アイシン九州
  • アイシン九州キャスティング
  • アイシン北海道
  • ASブレーキシステムズ
  • 埼玉工業
  • 寿技研工業
  • 愛知技研
  • アイシン・メタルテック
  • シンコー精機
  • アイシン・エンジニアリング
  • アイシン・ソフトウェア
  • アイシン・インフォテックス
  • イムラ材料開発研究所
  • アイシン・コスモス研究所
  • テクノバ
  • エフティテクノ
  • アイシン・コラボ
  • 新三商事
  • 光南工業
  • 碧南運送
  • サンエツ運輸
  • 富士興産
  • アイシン新和
  • コザカイ工業
  • エイティーメンテナンス
  • エイティーマテリアル
  • イナテツ技研
  • 福田工業
  • エイ・ティー南陽
  • エイティーテクノス
  • エイティーアグリー
  • 高丘工業
  • 新和工業
  • エイ・シー工業
  • エィ・ダブリュ・サービス
  • エクォス・リサーチ
  • エィ・ダブリュ・エンジニアリング
  • エィ・ダブリュ・メンテナンス
  • シーヴイテック
  • オーキス・ジャパン
  • エィ・ダブリュ・アイ・エス
  • テクノメタル
  • となみの工業
  • エイディーノウビ
  • エイディーサンユートピア
  • エイディーグリーン
  • エイ・ケイ・ケイ・エム
  • エーアイ・マシンテック
  • 辰栄メンテナンス
  • トーホー化工

持分法適用会社

[編集]

脚注

[編集]
  1. ^ アイシン精機>株主・投資家情報 >IR資料>有価証券報告書>平成30年(2018年)3月期>提出会社の経営指標等>資本金
  2. ^ アイシン精機>株主・投資家情報 >IR資料>有価証券報告書>平成30年(2018年)3月期>提出会社の経営指標等>発行済株式総数
  3. ^ アイシン精機>株主・投資家情報 >IR資料>有価証券報告書>平成30年(2018年)3月期>連結経営指標等>売上高
  4. ^ アイシン精機>株主・投資家情報 >IR資料>有価証券報告書>平成30年(2018年)3月期>連結損益計算書>営業利益
  5. ^ アイシン精機>株主・投資家情報 >IR資料>有価証券報告書>平成30年(2018年)3月期>連結経営指標等>当期純利益
  6. ^ アイシン精機>株主・投資家情報 >IR資料>有価証券報告書>平成30年(2018年)3月期>連結経営指標等>純資産額
  7. ^ アイシン精機>株主・投資家情報 >IR資料>有価証券報告書>平成30年(2018年)3月期>連結経営指標等>総資産額
  8. ^ アイシン精機>株主・投資家情報 >IR資料>有価証券報告書>平成30年(2018年)3月期>連結経営指標等>従業員数
  9. ^ 女子相撲の22歳 夢は「世界一」 五輪競技化へ海外普及も”. 産経新聞 (2020年7月10日). 2020年12月17日閲覧。
  10. ^ EVで不要なのに、なぜアイシンはATに900億円も投資するの?”. 日刊工業新聞 (2018年4月27日). 2019年1月4日閲覧。
  11. ^ アイシン精機40年のあゆみ - ( / 20151023)
  12. ^ 第5節 戦時下の研究と生産 第9項 航空機の開発と製作 - トヨタ自動車75年史(2012年版 / 2015年10月23日閲覧)
  13. ^ 現在は室外機のみ供給している。
  14. ^ 室外機の種類によってはパナソニック産機システムからOEM供給されている場合もある。ダイキンがアイシン向けに供給する製品は型番の頭に「AISIN」の「A」がつく(例:リモコン「ABRC1E3」はダイキンの「BRC1E3」と同じ)。部品によってはダイキンそのものを流用している。過去にはハウスメーカー向けに手掛けたハウジングエアコンもダイキンからのOEMである。
  15. ^ 元田光一 (2021年3月1日). “第17回 デマンド型交通サービス「チョイソコ」、全国13地区に拡大した理由”. 日経BP. https://project.nikkeibp.co.jp/atclppp/PPP/052500076/021800026/ 2021年6月7日閲覧。 
  16. ^ チョイソコのある街”. チョイソコ. 2021年6月7日閲覧。

関連項目

[編集]

外部リンク

[編集]