ディオル
ディオル・エルヒール(Dior Eluchíl、太陽の時代470年 - 505年)は、J・R・R・トールキンの中つ国を舞台とした小説、『シルマリルの物語』の登場人物。エル・シンゴル(エルウェ)の後を継ぎドリアスの王となった。ルーシエンの死後、宝玉シルマリルを受け継ぐが、フェアノールの息子たちとの戦いで命を落とした。
「エルヒール」とは、シンダール語で「エルウェの世継」を意味する。
父はベレン。母はルーシエン、妻はケレボルンの姪ニムロス、息子にエルレードとエルリーン、娘にエルウィング。
エルウェの末裔
[編集]ディオルは、ベレンとルーシエンの息子としてオッシリアンドで生まれた。かれは人間とエルダールとの間に生まれた最初の存在であり、また母を通じてマイアの血も受け継いでいた。ノグロドのドワーフによって祖父であるドリアスの王シンゴル(エルウェ)が殺害されると、かれは父ベレンとともに緑のエルフを従えて出陣し、ドワーフたちを打ち倒した。シンゴル王とドワーフの争いの元となった宝玉シルマリルは、かれの母ルーシエンのものとなった。ディオルはシンゴルの世継として、妻のニムロス、息子のエルレードとエルリーン、娘のエルウィングとともにメネグロスに移り住んだ。
ドリアスの滅亡
[編集]ルーシエンがこの世を去ると、ディオルがシルマリルを受け継いだ。フェアノールの息子たちはこれを引き渡すよう要求したが、ディオルは返答しなかった。するとケレゴルムは兄弟たちを煽りたて、フェアノールの誓言にしたがってドリアスを襲い、これを滅ぼした。ディオルはフェアノールの息子たちのうち、ケレゴルム、カランシア、クルフィンを倒したが、ディオルもまた討ち死にし、妻のニムロスも殺された。エルレードとエルリーンはケレゴルムの配下だったものにさらわれて、森に置き去りにされ行方不明となった。しかしエルウィングは生存者らとシリオンの河口に落ち延び、シルマリルはかの女とともにあった。
参考文献
[編集]- J.R.R.トールキン 著、田中明子 訳『シルマリルの物語』(新版)評論社、2003年。ISBN 4-566-02377-X。
関連項目
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