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テイラーマイクロスケール

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

テイラーマイクロスケール (日本語: 微分特性長(びぶんとくせいちょう)、英語: Taylor length, Taylor microscale)は、乱流速度場から定義される縦速度相関関数の原点における振る舞いから決まる長さであり、G・I・テイラーにちなんで名づけられた。テイラーマイクロスケールは、コルモゴロフスケールと積分スケールの中間的な値となることが知られている。

定義

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テイラーマイクロスケールは、以下のように定義される。

ここでは以下の導出に示す縦速度相関関数であり、方向における速度である。また、は空間微分を表す。

導出

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縦速度相関関数を以下のように定義し、相対距離が小さいところでの挙動を考え、速度場をテイラー展開する。

ここで、流れ場の一様性

を用いると、

と変形することができる。ここで現れるがテイラーマイクロスケールである[2]

テイラーレイノルズ数

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テイラーマイクロスケールは、乱流の実測値から算定するのが容易であり、普遍的であると考えられている乱流の小規模運動の性質によって定まる。これを長さの尺度として用いて、テイラーレイノルズ数を定義することで異なる乱流の統計的性質を比較する指標として用いられる[2]。テイラーレイノルズ数は、

と表され、は動粘性係数である。テイラーレイノルズ数と乱流レイノルズ数の間には以下の比例関係が成り立つ。

乱流レイノルズ数は、エネルギー保有領域の代表的長さ、代表的な速度変動の大きさを用いて

と表される。

参考文献

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  • Tennekes, H.; Lumley, J.L. (1972), A First Course in Turbulence, ISBN 978-0-262-20019-6 
  • 木田重雄、柳瀬眞一郎 『乱流力学』朝倉書店、1999年。ISBN 9784254200959