ツマンスキー M-88
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ツマンスキー M-88(ロシア語:Туманский М-88、ラテン文字表記の例:Tumansky M-88 )は、第二次世界大戦直前の1930年代にソビエト連邦のツマンスキー設計局で開発された航空機用の空冷星型14気筒レシプロエンジンである。
概要
[編集]M-88 は、信頼性に問題を抱えていた M-87 エンジンを改良したものである。変更点はクランクケース、クランクシャフト、コンロッド、二速式スーパーチャージャーなど多岐に渡った。排気量は M-87 と変わらなかったが、出力は 1000 - 1150 hp まで向上した。1937年に設計作業が始まり、1939年には試作機がポリカルポフ I-180 戦闘機に搭載されてテストを受けた。初期の M-88 は械的信頼性に難があったが、生産開始後も改良が続けられ、次第に信頼性の高いエンジンとなった。
M-88シリーズの総生産数は1万6087基に及んだ。様々なサブタイプが設計されたが、その中で最も多く生産されたのがM-88Bと呼ばれる型式で、1万585基がザポロジエとオムスクで製造された。この型式ではクランクシャフト内にオイル噴射装置を追加し、冷却系や駆動コンポーネントを改良した結果、M-87や初期のM-88が抱えていた欠陥を改善することに成功した。
諸元
[編集]M-88B
[編集]- タイプ:空冷星型複列14気筒
- ボア×ストローク:φ146mm × 165mm
- 排気量:38.72 L
- 乾燥重量:684 kg
- 圧縮比:6.1
- 過給機:機械式遠心過給機1段2速
- 出力:1100 hp
- 比出力:28.4 hp/L
- 出力重量比:1.61 hp/kg
搭載機
[編集]関連項目
[編集]- シュベツォフ ASh-82 - 国内の競合エンジン
参考文献
[編集]- Kotelnikov, Vladimir (2005). Russian Piston Aero Engines. Crowood Press Ltd.. pp. p.153-155