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ツブカラカサタケ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ツブカラカサタケ
傘が最も大きい子実体がツブカラカサタケの成菌。その傘の下に生える2つの子実体は幼菌。
分類
: 菌界 Fungi
: 担子菌門 Basidiomycota
亜門 : 菌蕈亜門 Hymenomycotina
: 真正担子菌綱 Agaricomycetes
: ハラタケ目 Agaricales
: ハラタケ科 Agaricaceae
: シロカラカサタケ属 Leucoagaricus
: ツブカラカサタケ L.americanus
学名
Leucoagaricus americanus(Peck) Vellinga (2000)
和名
ツブカラカサタケ(粒唐傘茸)

ツブカラカサタケ(粒唐傘茸、学名: L.americanus)は、ハラタケ科シロカラカサタケ属の肥沃なものから発生する白いキノコで、食べると消化器系の中毒を起こす。

分布

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日本ヨーロッパ北アメリカの、肥沃なものから発生する[1]

形態

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未成熟なツブカラカサタケ

径は5 - 15センチメートル (cm) [1]。最初卵形で、中高扁平型に開く[2]。幼菌は饅頭型[3]、やがて丸山形、さらにいびつな半球形になる[4]

傘の表側は白色地に褐色の鱗片を放射状につけ、傘の盛り上がった中央部は暗褐色[2][1][4]。中央部は密生するが、周辺はまばらになる[3]。周辺部には不明慮な溝線がある[3][1]

傘の裏側のひだは、白色ののち淡クリーム色で密生する[3][2]。隔生[2]胞子は広卵形で9 - 10.5 × 6.5 - 7.5マイクロメートル (μm) [1]

は長さ13 cm前後[4]。柄は下方が太く、中空。上部に脱落しやすい[2]。厚い膜質のつばがあり[1]、つばより上は粉状だが、つばより下は[3]、傘同様の粒状の鱗片におおわれる[1]が脱落しやすい[2]

は白色で無味無臭[2]。肉質は海綿状[4]。触れたり傷ついたりすると表皮や肉に赤変性があり、乾燥すると全体が帯紫褐色化する[2][2]

生態

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夏から秋にかけて、切り株上、もみ殻、温室の中[1]おがくず[1][3]、堆肥[1][2]腐葉土、積みわら[3]、肥沃な地面[2]、木材チップを敷き詰め発酵し暖かくなっているような場所[1]などのような肥沃な所から群生や束生する[4]社寺庭園などの落ち葉の集積場では、しばしば大量の発生がみられ、時には3か月にもわたり続き、高く積み上げられた落ち葉の山が目に見えて低くなる[3]

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図鑑によっては食用となっていたり、毒があると紹介されていたりする[4]。食用するときは、下処理して汁物などにすると紹介されている[4]消化器系中毒を起こすとされるが[2]、毒成分は不明[3]

脚注

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  1. ^ a b c d e f g h i j k 今関六也・大谷吉雄・本郷次雄、山渓カラー名鑑『増補改訂新版 日本のきのこ』、山と渓谷社、2011年、184~185頁
  2. ^ a b c d e f g h i j k l 柳沢まきよし、ポケット図鑑『新版 日本のキノコ275』、文一総合出版、2022年、123頁
  3. ^ a b c d e f g h i 長沢栄史、増補改訂フィールドベスト図鑑13『日本の毒きのこ』、学研、2009年、119頁
  4. ^ a b c d e f g 瀬畑雄三 監修、家の光協会 編『名人が教える きのこの採り方・食べ方』家の光協会、2006年9月1日、89頁。ISBN 4-259-56162-6