チーム友達
「チーム友達」 | |
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ジャケット | |
千葉雄喜 の シングル | |
リリース | |
録音 | 日本 |
ジャンル | ヒップホップ |
レーベル | YC Sounds |
作詞 | 千葉雄喜 |
作曲 | Koshy、Young Coco |
プロデュース | Koshy |
チーム友達(チームともだち)は、千葉雄喜(KOHH)のシングルである。2024年2月13日に YC Sounds よりリリースされた。プロデューサーはKoshy。2021年以来、音楽活動を引退していた千葉の、復帰後はじめての音源である[1]。
リリースまでの経緯
[編集]KOHHの引退と千葉雄喜としての復帰
[編集]KOHHこと千葉雄喜は2008年に音楽活動をはじめ、2012年に処女作となるミックステープ『YELLOW T△PE』を[2]、2014年にアルバム『Monochrome』をリリースした[3]。日本語ラップに早い段階からトラップ的な音楽性を持ち込んだことで知られ[2][3]、言葉数をつめこまず、平易な語彙でストレートなメッセージを伝えるそのスタイルは、巧みな比喩や堅い韻を重視していた従来のシーンを変革させる、強い影響を与えた[4]。また、2016年にフランク・オーシャン「Nikes」、宇多田ヒカル「忘却」[3][5]、2018年にはマライア・キャリー「Runway」に客演した[2][6]。しかし、KOHHとクリエイティブディレクターの318(高橋良)は、当初よりキャリアが絶頂となった時点で音楽活動を引退することを約束しており[7]。2020年1月16日に引退を発表し[8]、2021年12月28日のザ・クロマニヨンズとのツーマンライブをもって音楽活動を終了した[9][10]。
その後は本名である千葉雄喜名義で活動し、2023年12月より『文學界』において「千葉雄喜の雑談」と題したエッセイ連載を開始したほか[11]、2024年1月12日にリリースされたYan Seku『NATURAL PUNKS』の総合プロデュースをおこなっていた[12]。
リリース
[編集]映像外部リンク | |
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千葉雄喜 - チーム友達 (Official Music Video) |
「チーム友達」は元来 Jin Dogg ら「DIRTY KANSAI」のラッパーが自らの周囲を指して用いていた言葉で[13][14]、彼らのレーベルであるHIBRID ENTERTAINMENTは2018年のインタビューで、その由来について「今共に音楽をやってるFresh Dude Crew やBK、Young Cocoなどは最近ではなく、昔からの友達で、その友達で集まって音楽をやってるから」と答えている[15]。また、同レーベルに所属するプロデューサーの Lil YamaGucci は、2020年のインタビューでこの言葉の意味するところについて「HIBRID < Team Tomodachi < DIRTY KANSAI!」と答えている[16]。
Jin Doggと面識のあった千葉はこの言葉を非常に気に入っていた[14]。Koshy、Young Coco、Jin Doggらとともに食事をしたのを契機に2023年の11月後半ごろに「チーム友達」を作成した。ビートはYoung CocoとKoshyがつくり、完成した楽曲は市内で開かれていたイベントにその場で持ち込まれた[14][17]。
俺って大阪に友達いねーなーってそん時思ってたんすよ。そうしたら携帯鳴って。ジンドッグからだったんすよ。「何してる? 今スタジオおって、ヤンココが曲作ってるけど」って。それで俺も「今行く」ってなりました。俺が向かってる時にジンドッグが一回家帰って子供たち連れて来て、そのままみんなで鶴橋にお好み焼き食いに行って……ジンドッグは「またあとで行くわ~」って帰って、俺とヤンココとコッシーの3人でスタジオ行ってビート作り出して──。 チーム友達ってジンドッグのワードなのわかります? めっちゃ言うんすよ。それを俺が拝借しました。その後、ジンドッグとマダムウー合流して出来たばっかの「チーム友達」流して、盛り上がったっすね。—千葉雄喜、「千葉雄喜の雑談」連載第4回、『文學界』2024年4月号、454頁。
千葉は近しいDJらに音源を配っており、正式なリリース前から同曲はクラブで流されていた[13]。千葉のクリエイティブディレクターである高橋は、同曲のリリースを持ちかけ、この際にミュージックビデオが撮影された[14]。千葉はMV撮影のための人員を電話で募ったところ、彼いわく100人以上が集まったという[17]。
リミックス
[編集]『チーム友達 (The Remixes)』 | |
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千葉雄喜 の コンピレーション・アルバム | |
リリース | |
ジャンル | ヒップホップ |
3月12日に、Young Coco・Jin Doggを客演に迎えた「チーム友達 (Dirty Kansai Remix)」がリリースされた[18]。また、4月10日にはSOCKS・¥ellow Bucks・MaRI・DJ RYOWを客演に迎えた「チーム友達 (東海 Remix)」がリリースされた[19]。5月2日には、これまでに発表された3曲を含む全13曲からなる、コンピレーションアルバムの『チーム友達 The Remixes』がリリースされた[20]。収録曲は以下の通りである[21]。また、ZORNによるバージョンもリリースパーティーで公開されている[22]。
- チーム友達 (青森 Remix)
- チーム友達 (eyden Remix)
- チーム友達 (キングギドラ Remix)
- チーム友達 (九州 Remix)
- チーム友達 (SKY-HI Remix)
- チーム友達 (Dirty Kansai Remix)
- チーム友達
- チーム友達 (Duke Deuce Remix)
- チーム友達 (東海 Remix)
- チーム友達 (BUN B IITIGHT Remix)
- チーム友達 (BUN B IITIGHT Screwed & Chopped Remix【Screwed by Screw Tight Clicc】)
- チーム友達 (Loota Remix)
- チーム友達 (Watson Remix)
反響
[編集]「チーム友達」は、MV公開後、大きな反響を呼んだ。2024年2月28日付のSpotify「Daily Viral Songs(Japan)」で1位となったほか[23]、3月6日付のBillboard JAPANチャート「Heatseekers Songs」で4位となった[24]。リミックス(後述)を含めたTiktokでの音源総再生数は、2024年5月2日時点で2億5000万回を超えた[25]。また、Chris Brown、Bun B、Duke Deuce、NLE Choppa、Megan Thee StallionなどがSNSで同曲に反応した[26]。
同曲は、メンフィスのテイストを取り入れた[27]、Real Sound の伊藤亜希いわく「洋楽然としていて洗練されていながら、低音を効かせた」トラップである[23]。伊藤は「ドープな低音のリズムがループ」するミニマルなビートに、シンプルな歌詞が乗せられる構成、「友人の大集団」が自由に楽曲を楽しむ様子が撮影されたMVなどがいずれも「チーム友達」というシチュエーションを強調する役割を担い、同曲が「大集団で自由に曲を楽しむ」というTiktokのあらたな潮流に乗ったことがバイラルヒットの原因であると論じた[23]。また、服部昇大は「チーム友達」の歌詞が驚くほど安直であることに触れ、「KOHHほどシンプルっていうか本質的っていうか適当っていうか、ラップの存在感自体でインパクトを残すラッパーもいない」と評価している[28]。田辺ユウキは、「コロナ後」の日本において「仲間とワイワイと騒ぎながらなにかを楽しむことの大事さ」があらためて認識されるようになったことが、同曲のヒットの理由ではないかと述べている[29]。
出典
[編集]- ^ “KOHH引退後の千葉雄喜、初の音源“チーム友達”配信 & MV公開 - Spincoaster (スピンコースター)” (2024年2月12日). 2024年5月4日閲覧。
- ^ a b c “KOHHとBAD HOP、国内ヒップホップシーンを広げた功績 トレンドにも適応して独自の存在へ”. Real Sound|リアルサウンド (2024年2月19日). 2024年5月4日閲覧。
- ^ a b c “KOHHが、日本ラップシーンで異例の活躍を続けられる背景に迫る | CINRA”. www.cinra.net (2018年4月16日). 2024年5月4日閲覧。
- ^ “リズムから考えるJ-POP史 第7回:KOHHが雛形を生み出した、“トラップ以降”の譜割り”. Real Sound|リアルサウンド (2019年7月7日). 2024年5月4日閲覧。
- ^ “千葉雄喜「チーム友達」をYoung Coco&Jin DoggがRemix ミーム化するヒップホップの輪”. KAI-YOU.net | POP is Here . (2024年3月12日). 2024年5月4日閲覧。
- ^ “KOHHのラップはなぜ海外アーティストからも求められる? マライア・キャリー楽曲参加を機に考察”. Real Sound|リアルサウンド (2018年12月4日). 2024年5月4日閲覧。
- ^ “すべては「KOHHとの約束だった」音楽業界引退の真相について、プロデューサー高橋良が語る”. KAI-YOU Premium. 2024年5月4日閲覧。
- ^ “KOHH、今年で引退することを宣言”. 音楽ナタリー. 2024年5月4日閲覧。
- ^ “【ライブレポート】KOHHがクロマニヨンズとバイブスぶつけ合った引退前ラストライブ、ステージにマイク置き仲間の元へ(写真69枚)”. 音楽ナタリー. 2024年5月4日閲覧。
- ^ “KOHHを引退した千葉雄喜、新曲「チーム友達」配信開始&MV公開(動画あり)”. 音楽ナタリー. 2024年5月4日閲覧。
- ^ ““元KOHH”こと千葉雄喜、文芸誌『文學界』でエッセイ連載開始”. KAI-YOU.net | POP is Here . (2023年12月6日). 2024年5月4日閲覧。
- ^ “Young Sex改めYan Seku、元KOHH・千葉雄喜がプロデュースした初ソロアルバム『NATURAL PUNKS』配信開始|THE MAGAZINE”. THE MAGAZINE. 2024年5月4日閲覧。
- ^ a b “千葉雄喜と Jin Dogg が語る“チーム友達”とは?”. Hypebeast.JP (2024年4月26日). 2024年5月4日閲覧。
- ^ a b c d Hypebeast Japan(日本語)『千葉雄喜とJin Doggが語る“チーム友達”とは?』2024年4月26日 。2024年5月4日閲覧。
- ^ “加熱する関西TRAP MOVEMENT ~DIRTY KANSAI~【Hibrid Entertainment編】”. Qetic (2018年8月28日). 2024年5月4日閲覧。
- ^ “混沌から生まれたハイな雑種――Jin Dogg擁するレーベルが提唱! ハイブリッドな“DIRTY KANSAI””. 日刊サイゾー (2020年6月7日). 2024年5月4日閲覧。
- ^ a b 千葉雄喜「連載第4回 千葉雄喜の雑談」『文學界』2024年4月、454-457頁。
- ^ “千葉雄喜、大阪の盟友・Young Coco & Jin Dogg迎えた“チーム友達”リミックス配信” (2024年3月11日). 2024年5月4日閲覧。
- ^ “千葉雄喜、“チーム友達”東海リミックス発表 名古屋の盟友・SOCKS、¥ellow Bucksら参加” (2024年4月9日). 2024年5月4日閲覧。
- ^ “千葉雄喜がデューク・デュースやバン・B 含む国内外のアーティストとともに手掛けたアルバム『チーム友達 The Remixes』を公開”. Hypebeast.JP (2024年5月2日). 2024年5月4日閲覧。
- ^ “「チーム友達」にキングギドラ、SKY-HI、Watson、デューク・デュース、バン・Bら参加”. 音楽ナタリー. 2024年5月4日閲覧。
- ^ “ZORNが「チーム友達」で韻踏みまくる「後輩の叔母さんにいる後藤真希」「刑務所の中のキー君も同じ」”. 音楽ナタリー (株式会社ナターシャ). (2024年3月20日) 2024年7月4日閲覧。
- ^ a b c “千葉雄喜「チーム友達」バイラル首位 自由に楽しむダンス動画、シンプルだからこそ際立つ個性”. Real Sound|リアルサウンド (2024年3月5日). 2024年5月4日閲覧。
- ^ “千葉雄喜「チーム友達」(TEAM TOMODACHI)が4位に初登場 Billboard JAPANチャート「Heatseekers Songs」(2024/03/06)#チー友|THE MAGAZINE”. THE MAGAZINE. 2024年5月4日閲覧。
- ^ “千葉雄喜がデューク・デュースやバン・B 含む国内外のアーティストとともに手掛けたアルバム『チーム友達 The Remixes』を公開”. Hypebeast.JP (2024年5月2日). 2024年5月4日閲覧。
- ^ “千葉雄喜、大阪の盟友・Young Coco & Jin Dogg迎えた“チーム友達”リミックス配信” (2024年3月11日). 2024年5月4日閲覧。
- ^ “世界に広がる千葉雄喜「チーム友達」の輪、ついにメンフィスのデューク・デュースが参加”. 音楽ナタリー. 2024年5月4日閲覧。
- ^ kotosara (2024年3月2日). “第53回 千葉雄喜 「チーム友達」”. ことさら出版. 2024年5月4日閲覧。
- ^ “千葉雄喜「チーム友達」大流行の背景、現代の人間関係や『ラヴィット!』など“友達コンテンツ”との関連性(田辺ユウキ) - エキスパート”. Yahoo!ニュース. 2024年5月4日閲覧。