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チタン酸鉛(II)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
チタン酸鉛から転送)
チタン酸鉛(II)
特性
化学式 PbTiO3
モル質量 303.09 g/mol
外観 黄色粉末
密度 7.52 g/cm3
への溶解度 不溶
危険性
主な危険性 有毒 (T)
環境への危険性 (N)
生殖能力や胎児に影響がある恐れ
NFPA 704
0
2
0
Rフレーズ R20/22 R33 R50/53 R61 R62[1]
Sフレーズ S45 S53 S60 S61[2]
半数致死量 LD50 12000 mg/kg(ラット)
関連する物質
その他の陰イオン 酸化鉛(II)
酢酸鉛(II)
その他の陽イオン チタン酸セシウム
チタン酸鉄(II)
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

チタン酸鉛(II)(チタンさんなまり に、: lead(II) titanate)は、化学式が PbTiO3 と表されるチタン酸塩である。三酸化チタン(IV)鉛(II)とも表記され、略称は PT。天然には産出しない。

物性、構造

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室温ではペロブスカイト構造であり、格子長は a = 3.904 Å、c = 4.150 Åと6 %もの大きな異方性がある。この歪みが原因となって大きな自発分極が生じており、その値は0.057 Cm2以上である。このため圧電定数も高いが、分極条件がネックとなってバルク圧電体としての利用が難しいとされる。温度上昇に伴い495 °Cで相転移し、立方晶系常誘電体となる。立方晶での格子長は3.96 Å。

ジルコン酸鉛で一部を置換したチタン酸ジルコン酸鉛(II) (Pb(Zr,Ti)O3) は圧電素子の材料として広く利用されている。

合成方法

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一酸化鉛二酸化チタンを混合し、焼結することで得られる。

応用例

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添加する他の化合物の割合により融点を280-340 °C程度とする事が出来、電子部品や半導体の封止ガラスとして利用される[3]

脚注

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  1. ^ Alfa Aesar アーカイブされたコピー”. 2011年7月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年9月12日閲覧。
  2. ^ Alfa Aesar アーカイブされたコピー”. 2011年7月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年9月12日閲覧。
  3. ^ 電子デバイス用ガラス 日本電気硝子

参考文献

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  • 電気化学会・編『電気化学便覧 第5版』 丸善、2000年