ダイアグノデント
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ダイアグノデント(DIAGNOdent)は、カボ社(KaVo(ドイツ語: KaVo Dental) 本社:ドイツ)が開発したレーザーを用いた虫歯診断装置。齲蝕の進行状況を数値表示する。2010年、コードレスタイプの「ダイアグノデントペン」が発売された[1]。
仕組み
[編集]レーザーから発せられた655nm[2][3]のパルス光が、歯質に作用。う触歯質からは700~800nmの蛍光反射光が生じるが、この波長は健全な歯質からは認められない[4]。この光はハンドピースを通ってシグナルに伝わり、ダイアグノデントのユニット内の電子システムによって波長を読みとる。
プローブの形態
[編集]ハンドピースに装着するプローブの形態は、裂溝や歯間部の検査にもちいる円錐型のプローブと、頬側・舌側部の検査に用いる幅広型のプローブの2種類がある
利点
[編集]- レントゲン、肉眼で発見できない初期のう蝕を発見できる
- 探針などのハンドインスツルメントを用いた場合に起こるCOう蝕を破壊、悪化させる事がない[3]
- 探針などのハンドインスツルメントでは発見できないしずく形状の裂溝の底のう蝕も発見できる
- う蝕の経過を数値的に追えるため、経過観察中のう蝕の進行度合いが把握でき、ミニマルインターベンション (MI) に役立つ。
その他
[編集]歯内治療学の分野において、根管内の細菌の発する蛍光を観察することで洗浄の評価とすることが考えられており、Sainsburyら[5]はダイアグノデントを用いた評価を試みた[6]。
また、歯根破折の診断に対してダイアグノデントを用いた研究なども行われている[2]。
脚注
[編集]- ^ 株式会社モリタ - ダイアグノデントペン
- ^ a b 木村裕一、田辺理彦、山崎信夫、天野義和、木下潤一朗、山田嘉重、増田宜子、松本光吉「DIAGNOdent®による歯根破折の診断に関する基礎的研究」『日本歯科保存学雑誌』第52巻第1号、日本歯科保存学会、2009年2月28日、12-20頁、ISSN 0387-2343、NAID 110007228049。
- ^ a b 後藤田宏也、田口千恵子、内山敏一、有川量崇、山内里央、小林清吾、佐久間汐子、上江洲香實「歯科用探針を代用するDIAGNOdent®の有用性について」『口腔衛生学会雑誌』第55巻第3号、日本口腔衛生学会、2005年7月30日、159-164頁、ISSN 0023-2831、NAID 10016668209。
- ^ 高森一乗「小児歯科臨床における各種レーザーの使い方 診断領域のレーザー DIAGNOdent®を中心として」『小児歯科臨床』第9巻第5号、東京臨床出版/全国小児歯科開業医会、東京都豊島区、2004年5月、27-32頁、ISSN 1341-1748、NAID 50000463916。
- ^ Andrew L. Sainsbury, Philip S. Bird, Laurence J. Walsh (2009-10). “DIAGNOdent Laser Fluorescence Assessment of Endodontic Infection”. Journal of Endodontics (USA: American Association of Endodontists/Elsevier) 35 (10): 1404-1407. doi:10.1016/j.joen.2009.07.006. ISSN 0099-2399. PMID 19801240.
- ^ 小林千尋「IV 洗浄効果の客観的評価法」『根管洗浄 よりよい治癒を目指して』(第1版第1刷)医歯薬出版、東京都文京区、2012年11月10日、23-26頁。ISBN 9784263443767。