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ターパン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ターパン、タルパン
1884年に発行された既知の唯一の生きたターパンの写真とされるが、家畜とのハイブリッドの可能性も指摘されている
保全状況評価
EXTINCT
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
: 奇蹄目 Perissodactyla
亜目 : ウマ形亜目 Hippomorpha
上科 : ウマ上科 Equoidea
: ウマ科 Equidae Gray1821
: ウマ属 Equus
: ノウマ E. ferus
亜種 : ターパン E. f. ferus
学名
Equus ferus ferus Boddaert, 1785
シノニム

Equus equiferus Pallas, 1811
Equus gmelini Antonius, 1912
Equus sylvestris Brincken, 1826
Equus silvaticus Vetulani, 1928.
Equus tarpan Pidoplichko, 1951

ターパンTarpan, 学名Equus ferus ferus)は既に絶滅した野生のノウマの亜種である[1]ロシアで捕らわれていた最後の1頭は1909年に死亡した。

1930年代初頭、品種改良によってターパンを復活させようという試みが何度か行われた。その結果、ヘックホース英語版ヘガルト等の品種が作出された。どれも元のターパンと似ており、特にグルロ色の毛色は似ていた。

語源

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ターパンという名前は、「野生の馬」を意味するテュルク諸語キルギス語カザフ語)に由来する[2][3]タタールコサックは野生の馬を区別し、TakjaMuzinと呼ぶ[4][5]

分類

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1883年のスケッチ

ターパンは1774年にヨハン・フリードリヒ・グメリンによって初めて記述された。彼は1769年にヴォロネジ近郊のボブロフスクでターパンを見ていた。1784年、ピーター・ボダートは、グメリンの記述を元にこの種をEquus ferusと命名した。オットー・アントニウスはボダートの命名に気づかず、やはりグメリンの記述を元に1912年にEquus gmeliniという学名を発表した。アントニウスによる命名はボダートのものと同じ記述を参照しているため、これは新参客観異名となっている。現在では、1758年にカール・フォン・リンネEquus caballusという学名を付けた家畜のウマはターパンの子孫であると考えられているが、多くの分類学者はこれらを同じ種と見なしている。国際動物命名規約の規則を厳密に適用すると、ターパンはE. caballusとするか、または亜種とみなすとE. caballus ferusとするべきである。しかし、生物学者は家畜のウマとの混同を避けるために一般的にこの規則を無視して、ターパンに対しては E. ferusという学名を用いていた。

2003年、動物命名法国際審議会は、家畜より以前に、または同じ時期に遡る野生種に基づく17の名前を保存すると発表し、ターパンに対するE. ferusという学名が裏付けられることとなった。家畜のウマをターパンの亜種だと考える分類学者はEquus ferus caballusという学名を用いている。Equus caballusという学名は家畜のウマを別種だとみなす名前として残された[6]

歴史

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ラスコー洞窟に描かれた薄墨毛のウマ

ターパンは有史以前よりフランススペインの南部からロシアの東部、中央部にかけて分布している。ラスコーアルタミラ壁画に描かれた動物はターパンだと考えられており、またロシア南部では紀元前3000年頃のスキタイ遊牧民がターパンを家畜化していた痕跡が残っている[7]

野生のターパンは1875年から1890年の間に絶滅したと考えられている。最後の1頭のオスは、捕獲の最中の事故で死亡した。飼育下の最後のターパンは1909年にロシアの動物園で死亡した[8]ポーランド政府によって、ビャウォビエジャの森林地帯のターパンの子孫を保護する努力がなされたが、これらの子孫はコニックまたはPolish primitive horseとして今日でも知られている[7]

復活の試み

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ドイツのヘックホース(2004)

ターパンを復活させるために、これまでに3度の試みが行われた。1930年代前半にはベルリン動物園ルッツ・ヘックミュンヘン動物園ハインツ・ヘックが試みを開始し、1960年代になってヘックホースを作り上げた。1936年、ポーランドの大学教授のタデウシュ・ベトゥラニはコニックを使った試みを開始し、1960年代中盤にはアメリカでハリー・ヘガードが野生のムスタングと地元の牧場で労働に使われていた馬を使って試みを始め、ヘガルトを作り出した。完全に成功した試みはなかったが、3度ともターパンと類似点の多い馬を作ることができた[9]

出典

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  1. ^ Grubb, P. [in 英語] (2005). "Order Perissodactyla". In Wilson, D.E.; Reeder, D.M (eds.). Mammal Species of the World: A Taxonomic and Geographic Reference (3rd ed.). Johns Hopkins University Press. p. 630-631. ISBN 978-0-8018-8221-0. OCLC 62265494
  2. ^ Merriam-Webster Unabridged - Tarpan
  3. ^ Vasmer's Etymological Dictionary - Tarpan
  4. ^ Boyd, Lee; Houpt, Katherine A. (1994). Przewalski's Horse: The History and Biology of an Endangered Species. SUNY Series in Endangered Species. Albany State University of New York Press. ISBN 0-7914-1890-1 
  5. ^ Smith, Charles Hamilton (1841/1866). The Natural History of Horses, with Memoir of Gesner. https://books.google.co.jp/books?id=xykBAAAAQAAJ&redir_esc=y&hl=ja 
  6. ^ International Commission on Zoological Nomenclature (2003). Opinion 2027 (Case 3010). "Usage of 17 specific names based on wild species which are pre-dated by or contemporary with those based on domestic animals (Lepidoptera, Osteichthyes, Mammalia): conserved." Bulletin of Zoologic Nomenclature, 60:81-84.
  7. ^ a b Tarpan”. Breeds of Livestock. Oklahoma State University. 2008年10月7日閲覧。
  8. ^ Dohner, Janet Vorwald (2001). "Equines: Natural History". In Dohner, Janet Vorwald (ed.). Historic and Endangered Livestock and Poultry Breeds. Topeka, KS: Yale University Press. p. 300. ISBN 978-0300088809
  9. ^ The Extinction Website. “Equus ferus ferus”. Recently Extinct Animals. The Extinction Website. 2009年1月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年7月9日閲覧。

外部リンク

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