コンテンツにスキップ

スージー・サマーオール・ワイルズ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』
スージー・サマーオール・ワイルズ
Susie Wiles
2020年のスージー・サマーオール・ワイルズ
生年月日 (1957-05-14) 1957年5月14日（67歳）
出生地 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
ニュージャージー州の旗 ニュージャージー州
出身校 メリーランド大学カレッジパーク校 (BA)
所属政党 共和党
配偶者 ラニー・ワイルズ（1985 - 2017）
子女 2人
在任期間 2025年1月20日 - 現職
大統領 ドナルド・トランプ
テンプレートを表示

スージー・サマーオール・ワイルズ（英語: Susan Summerall Wiles, 1957年5月14日 - ）は、アメリカ合衆国の選挙コンサルタント。現在、第2次トランプ政権における大統領首席補佐官（第32代）。ドナルド・トランプの2024年大統領選挙運動では共同議長を務めた。同職に女性が起用されるのはこれが初となる。

来歴

[編集]

スーザン・サマーオールは1957年5月14日、父パット・サマーオール（英語版）と母キャシー・サマーオールの3人の子供の一人としてニュージャージー州にて生まれた[1]。パットはアメリカンフットボールの選手であり、ナショナル・フットボール・リーグ(NFL)でプレースキッカーとしてプレーした後にスポーツ解説者となり、スーパーボウルの中継を16回担当しているが、これは最高記録である[2][3]。

ワイルズはホーリー・エンジェルズ・アカデミー（英語版）を1975年に卒業。また、メリーランド大学カレッジパーク校を卒業し、英語学の学士号を取得した[4]。

政治との関わり

[編集]

1979年、ワイルズはジャック・ケンプ下院議員のアシスタントとして働き始める。1980年には同年の大統領選挙におけるロナルド・レーガン陣営の選挙運動にスケジューラーとして関わった[2]。

1990年代には、当時ジャクソンビル市長を務めていたジョン・ディレイニー（英語版）のチーフスタッフを務めほか、ティリー・ファウラー（英語版）下院議員の元でも働いた[3]。

2004年から2009年まで、ジャクソンビル市長ジョン・ペイトン（英語版）の顧問を務めた。2010年のフロリダ州知事選挙では、ワイルズが実業家リック・スコット（英語版）の当選に貢献したと評価された。スコットは当時、それまでフロリダ共和党（英語版）とのつながりがほとんどなく、部外者と見做されていた[5]。

2011年1月、ワイルズはジョン・ハンツマン・ジュニア前ユタ州知事の大統領選挙活動のマネージャーに起用された。ハンツマン陣営では、NFLチームのジャクソンビル・ジャガーズに所属していたトニー・ボセリ（英語版）とともにポンテベドラ・ビーチ（英語版）を拠点とするコンサルティング会社を立ち上げた。ワイルズは2011年7月にハンツマン陣営の選挙活動から抜けている[6]。

ワイルズはまた、フロリダ州タラハシーを拠点とするロビイング会社バラード・パートナーズを10年近く経営していたが[7]、2019年9月に『しつこい健康問題』を理由に退社した[8]。

ドナルド・トランプに仕える

[編集]

2016年大統領選挙では、ワイルズはフロリダ州でトランプ陣営の作戦を指揮していた[9]。2018年のフロリダ州知事選挙では、トランプより自分の代理として共和党のロン・デサンティス候補の知事選挙を助けるよう任命されたと伝えられている[10]。デサンティスは知事選挙に当選し、勝利演説ではワイルズを業界最高と評している[11]。ワイルズはトランプの再選がかかった2020年大統領選挙を手伝うことになっていたが、ポリティコの報道によれば、ワイルズとトランプの関係はデサンティスの強い要請により断ち切られたという。党内に自分の同盟者を確保したいデサンティスの目論見であったが、このことで激戦州におけるトランプの選挙活動は後退したと見做されている[12]。ワイルズは後に、デサンティスの元で働いたことを自身のキャリア全体の中でも最大の過ちだったと述べている[13]。同選挙でトランプは落選した。

2021年3月、ワイルズはトランプ陣営の政治活動委員会(PAC)『セーブ・アメリカ（英語版）』のCEOに選ばれた。2021年4月、ポリティコはワイルズをトランプワールドの新しいトップと評し、彼女が2020年大統領選挙のマネージャーであったビル・ステピアン（英語版）や主要補佐官であるジャスティン・R・クラーク（英語版）に対して権限を行使することになると指摘した[14]。彼女のリーダーシップの下、セーブ・アメリカPACはトランプに対する法的手続きに関連しているトランプ陣営の複数の現職・元職員の弁護士費用を負担した[15]。

2022年8月には、ワイルズは2022年の中間選挙や2024年の大統領選挙におけるトランプ陣営の事実上の参謀役である評された[10]。ワイルズは実業家ピーター・ティールらと共に、2022年のアリゾナ州上院選挙にてブレイク・マスターズ（英語版）を支持するようトランプに働きかけたが、彼は落選した[16]。

2024年大統領選挙運動の最後の数カ月、トランプは顧問のコリー・ルワンドウスキー（英語版）との口論の後、ワイルズとクリス・ラシヴィタ（英語版）が選挙活動を仕切っていると改めて表明した。2024年、ポリティコと英紙ガーディアンは、ワイルズが自らを穏健派の共和党員だと述べていると報じている[17][18]。

2024年大統領選挙でドナルド・トランプは返り咲き当選を果たし、その2日後にワイルズは次期トランプ政権における大統領首席補佐官に指名されたことが発表された[19]。

人物

[編集]

ワイルズは共和党のコンサルタントであるラニー・ワイルズと結婚し、1985年にフロリダ州ジャクソンビル郊外のポンテベドラ・ビーチ（英語版）に移り住んだ[3][17]。夫婦は2017年に離婚している[2]。2人の娘がおり、米国聖公会に属している[5][6][17][20][21]。

出典

[編集]
  1. ^ “"First-Ever in US History": Trump Picks a Woman White House Chief of Staff”. 2024年11月10日閲覧。
  2. ^ a b c Orr, Gabby; Contorno, Steve (2022年8月8日). “She helped Trump win Florida twice. Now she could lead his expected 2024 campaign”. https://edition.cnn.com/2022/08/08/politics/susie-wiles-donald-trump-2024-campaign/index.html 2024年11月10日閲覧。 
  3. ^ a b c Smith, Adam C. (2016年10月23日). “Florida campaign manager Susie Wiles says the Donald Trump she knows is not the one critics rip” (英語). タンパベイ・タイムズ. 2024年11月10日閲覧。
  4. ^ Wiles, Susie (2023年3月3日). “Susie Wiles” (英語). LegiStorm.com. 2024年11月10日閲覧。
  5. ^ a b Larrabee, Brandon (2010年11月6日). “Susie Wiles: 'The insider' who backed 'the outsider' Rick Scott” (英語). The Florida Times-Union. 2024年11月10日閲覧。
  6. ^ a b Dixon, Matt (2011年7月22日). “Jacksonville's Susie Wiles resigns as campaign manager for GOP presidential candidate” (英語). The Florida Times-Union. 2024年11月10日閲覧。
  7. ^ Filkins, Dexter (2022年6月27日). “Can Ron DeSantis Displace Donald Trump as the G.O.P.'s Combatant-in-Chief?”. ザ・ニューヨーカー. https://www.newyorker.com/magazine/2022/06/27/can-ron-desantis-displace-donald-trump-as-the-gops-combatant-in-chief 2024年11月10日閲覧。 
  8. ^ Schorch, Peter (2019年9月17日). “Citing health issue, Susie Wiles leaves Ballard Partners”. Florida Politics. 2024年11月10日閲覧。
  9. ^ “Daughter of political consultant Susie Wiles resigns from White House post”. The Florida Times-Union. (2017年2月16日). https://www.jacksonville.com/story/news/2017/02/16/daughter-political-consultant-susie-wiles-resigns-white-house-post/15742956007/ 2024年11月10日閲覧。 
  10. ^ a b Adams, Myra (2022年8月11日). “Opinion: The most powerful Republican you don't know” (英語). ザ・ヒル. 2024年11月10日閲覧。
  11. ^ “DeSantis Tried to Bury Her. Now She's Helping Trump Try to Bury Him.” (2023年4月18日). 2024年11月10日閲覧。
  12. ^ Isenstadt, Alex; Dixon, Matt (2019年9月17日). “Trump campaign cuts ties with top adviser in Florida”. ポリティコ. https://www.politico.com/states/florida/story/2019/09/17/trump-campaign-cuts-ties-with-top-adviser-in-florida-1189767 2024年11月10日閲覧。 
  13. ^ Alberta, Tim (2024年7月10日). “Trump Is Planning for a Landslide Win” (英語). The Atlantic. 2024年11月10日閲覧。
  14. ^ “Politico Playbook: There's a new honcho atop Trumpworld” (英語). Politico (2021年4月1日). 2024年11月10日閲覧。
  15. ^ “Trump's super PAC has helped foot his legal bills. That might end soon.”. ポリティコ (2024年4月20日). 2024年11月10日閲覧。
  16. ^ Palmeri, Tara (2022年1月21日). “POLITICO Playbook: Suspicious Trump weighs dual endorsements” (英語). ポリティコ. 2024年11月10日閲覧。
  17. ^ a b c Kruse, Michael (2024年4月26日). “The Most Feared and Least Known Political Operative in America”. Politico. 2024年11月10日閲覧。
  18. ^ Singh, Maanvi (2024年11月8日). “Susie Wiles: 'tough, smart' operator who led Trump back to the White House” (英語). The Guardian. ISSN 0261-3077. https://www.theguardian.com/us-news/2024/nov/07/susie-wiles-trump-profile 2024年11月10日閲覧。 
  19. ^ Sheth, Sonam (2024年11月7日). “Trump names Susie Wiles, known as 'ice maiden,' his chief of staff” (英語). ニューズウィーク. 2024年11月10日閲覧。
  20. ^ Cockerell, Claudia (2024年11月8日). “How 'ice maiden' Susie Wiles became the most important woman in Washington” (英語). The Standard. 2024年11月10日閲覧。
  21. ^ “Meet Susie Wiles, the ‘ice maiden’ behind Trump’s win - and his new chief of staff” (英語). The Independent (2024年11月8日). 2024年11月10日閲覧。
「https://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=スージー・サマーオール・ワイルズ&oldid=103510878」から取得