ルイ・ロペス
a | b | c | d | e | f | g | h | ||
8 | 8 | ||||||||
7 | 7 | ||||||||
6 | 6 | ||||||||
5 | 5 | ||||||||
4 | 4 | ||||||||
3 | 3 | ||||||||
2 | 2 | ||||||||
1 | 1 | ||||||||
a | b | c | d | e | f | g | h |
ルイ・ロペス (Ruy Lopez) は、チェスのオープニングの1つ。スペインのチェスプレーヤーであるルイ・ロペス・デ・セグラが考案したため彼の名にちなんだオープニング名が名づけられた[1][2]。英語圏ではルイ・ロペス・デ・セグラの名にちなんだ「ルイ・ロペス」と呼ばれるが、英語圏以外では国名に因んだ「スペイン定跡[2]」「スペイン布局」「スペイン・ゲーム[1]」「スパニッシュ・ゲーム」とも呼ばれる[3]。
右図はその基本形である[4]。基本形までの手順は1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.Bb5である[4]。
15世紀から指されているオープニングで[1]、21世紀現在でも数多く指されているオープニングである[1]。日本のチェスプレーヤー・有田謙二は「ポーンをセンターに出して、ナイトをビショップより先に出す。そしてすぐキャスリングをするのはチェスの基本。その意味でルイ・ロペスはオープニングの基本形」と評している[1]。
黒の3手目により多くの変化に分かれる。
モーフィー・ディフェンス
[編集]a | b | c | d | e | f | g | h | ||
8 | 8 | ||||||||
7 | 7 | ||||||||
6 | 6 | ||||||||
5 | 5 | ||||||||
4 | 4 | ||||||||
3 | 3 | ||||||||
2 | 2 | ||||||||
1 | 1 | ||||||||
a | b | c | d | e | f | g | h |
3.… a6[5]
黒の3手目で3.… a6と指した形をモーフィー・ディフェンスと呼ぶ[6]。ルイ・ロペスの中で最も変化の多い型。
白の4手目は4.Ba4か4.Bxc6のどちらかである[7]。4.Bc4や4.Be2と指すと手損[7]。白の4手目で4.Bxc6と指せばエクスチェンジ・ヴァリエーションになる[5]。
4.Ba4と指した時の黒の4手目は4.… Nf6[8]、4.… Bc5[7]、4.… d6[7]、4.… f5[7]、4.… Nge7[7]、4.… Nd4[7]、4.… g6[7]、4.… b5[7]と指す手がある。
4.Ba4に対し4.… Nf6と指した時の白の5手目は5.0-0[8]、5.Qe2[7]、5.Nc3[7]、5.d4[7]、5.d3[7]、5.Bxc6[7]、5.c3[7]と指す手があるが、5.0-0と5.Qe2以外は今日ではあまり指されない[7]。
4.Ba4 Nf6に対し5.0-0と指した時の黒の5手目は5.… Nxe4[7]、5.… Be7[9]と指す手があるが、5.… Nxe4と指せばオープン・ヴァリエーションになる[10]。
4.Ba4 Nf6 5.0-0に対し5.… Be7なら6.Re1 b5 7.Bb3と進行した後黒の7手目として7.… 0-0[9]、7.… d6[11]、7.… Bb7[11]と指す手がある。7.… 0-0と指せば8.c3 d5と進行しマーシャル・ギャンビットになる[12]。一方7.… d6と指せば8.c3 0-0 9.h3と進行しクローズド・ヴァリエーションになる[13]。
4.Ba4に対し4.… Bc5と指すと5.0-0 Nf6 6.c3 Ba7 7.d4 b5 8.Bb3 Qe7 9.Bd5 ed 10.Bg5 h6 11.Bxf6 Qxf6 12.e5と進行し白が有利[7]。
4.Ba4に対し4.… d6と指すと5.c3 Bd7 6.d4 Nf6 7.0-0 Be7 8.Nbd2 0-0 9.Re1 Be8と進行し形勢互角[7]。この手順中白の5手目では他に5.Bxc6+、5.0-0、5.d4、5.c4と指す手もある[7]。5.Bxc6+と指すと5.… bc 6.d4と1手遅れてビショップとナイトを交換することになり[7]、5.0-0と指すと5.… Bg4 6.h3 h5!と進行しビショップとナイトの交換はしていないもののエクスチェンジ・ヴァリエーションに似た局面となる[7]。
4.Ba4に対し4.… f5と指すと5.d4 ed 6.e5 Bc5 7.c3 dc 8.Nxc3 Nge7 9.Bb3 d5 10.0-0 Be6と進行する[7]。 この手順中白の5手目では他に5.Nc3と指す手もある[7]。黒の5手目で5.… feと指すと6.Nxe5 Nf6 7.Bg5と進行し白が有利になる[7]。白の6手目で6.e5の代わりに6.Nxd4と指す手は以下6.… Nxd4 7.Qxd4 c5 8.Qe5+ Qe7 9.Qxe7+ Bxe7と進行し形勢互角[7]。黒の6手目で6.… Bc5のところを6.… Bb4+と指す手に対しては7.c3 dc 8.0-0!とギャンビットしてオープン・ファイルを沢山作るのが白にとって楽しい局面となる[7]。
バード・ディフェンス
[編集]a | b | c | d | e | f | g | h | ||
8 | 8 | ||||||||
7 | 7 | ||||||||
6 | 6 | ||||||||
5 | 5 | ||||||||
4 | 4 | ||||||||
3 | 3 | ||||||||
2 | 2 | ||||||||
1 | 1 | ||||||||
a | b | c | d | e | f | g | h |
3.… Nd4[14]
黒の3手目で3.… Nd4と指した形をバード・ディフェンスと呼ぶ[1]。
白の4手目は4.Nxd4[1]、4.Bc4[15]、4.Ba4[15]と指す手がある。4.Bc4は本来f1から1手でいける場所に戻るため悪手になるケースが多いが、バード・ディフェンスに関しては4.Bc4と指す手も定跡となっている。
白の4手目で4.Nxd4と指すと4.… ed 5.0-0 c6 6.Bc4 Nf6 7.Re1 d6 8.d3 Be7 9.Nd2 0-0と進行する[14]。この手順中白の5手目では5.0-0の他に5.d3[15]、5.Bc4[15]と指す手がある。また黒の5手目では5.… c6の他に5.… Ne7[15]、5.… g6[15]、5.… Bc5[15]と指す手もあり、5.… Ne7と指した場合は6.Re1 g6 7.d3 Bg7 8.c3 Nc6と進行する[15]。
4.Nxd4 ed 5.0-0 c6と指したときの白の6手目では6.Bc4の他に6.Ba4があり[15]、以下6.… Nf6 7.d3 d5と進行する[15]。この途中の白の7手目で7.e5なら黒の7手目は7.… Nd5である[15]。
4.Nxd4 ed 5.0-0 c6 6.Bc4に対し6.… Bc5?は7.Bxf7+ Kxf7+ 8.Qh5+で黒のポーン損[15]。
クラシカル・ディフェンス
[編集]a | b | c | d | e | f | g | h | ||
8 | 8 | ||||||||
7 | 7 | ||||||||
6 | 6 | ||||||||
5 | 5 | ||||||||
4 | 4 | ||||||||
3 | 3 | ||||||||
2 | 2 | ||||||||
1 | 1 | ||||||||
a | b | c | d | e | f | g | h |
3.… Bc5[16]
黒の3手目で3.… Bc5と指した形をクラシカル・ディフェンスと呼ぶ[17]。
白の4手目は4.c3[17]、4.0-0[18]と指す手がある。4.Nxe5と指すと4.… Nd4 5.Bc4 Qg5で黒が有利になるが[18]、この途中で4.… Nxe5とすると5.d4で黒はフォークをかけられる[18]。
4.c3と指した後の黒の4手目は4.… Nf6[17]、4.… d6[18]、4.… Nge7[18]、4.… Qf6[18]と指す手がある。4.… Nf6と指すと5.0-0 0-0 6.d4 Bb6 7.de Nxe4 8.Qd5 Nc5 9.Bg5と進行する[16]。この手順中黒の5手目で5.… Nxe4と指すと6.Qe2 d5 7.d3で白が有利[18]。5.… Qe7と指しても6.d4 Bb6 7.Bg5でやはり白が有利[18]。
4.c3 Nf6 5.0-0 0-0 6.d4 Bb6と指したときの白の7手目では7.deの他に7.Bg5[18]、7.Re1[18]がある。7.Bxc6と指すと7.… dc 8.Nxe5 Nxe4 9.Re1 Nd6と進行し黒の駒の展開が良くなる[18]。この途中の白の8手目で8.Bg5なら黒に8.… Bg4と指され黒が有利になる[18]。
フィアンケット・ヴァリエーション
[編集]a | b | c | d | e | f | g | h | ||
8 | 8 | ||||||||
7 | 7 | ||||||||
6 | 6 | ||||||||
5 | 5 | ||||||||
4 | 4 | ||||||||
3 | 3 | ||||||||
2 | 2 | ||||||||
1 | 1 | ||||||||
a | b | c | d | e | f | g | h |
3.… g6[15]
黒の3手目で3.… g6と指した形をフィアンケット・ヴァリエーションと呼ぶ[15]。元世界チャンピオンのワシリー・スミスロフがよく指していたオープニングである[15]。4.… Bg7とフィアンケットするのが黒の狙いである。
その他の変化
[編集]- 3.… Nf6(ベルリン・ディフェンス)[19]
- 3.… d6(シュタイニッツ・ディフェンス)[20]
- 3.… f5(シュリーマン・ディフェンス)[21]
- 3.… Nge7(コツィオ・ディフェンス)[2]
- 3.… Qf6[2]
参考文献
[編集]- 有田謙二 著 『チェス・マスター・ブックス 1 定跡と戦い方』 河出書房新社、1980年1月25日初版発行、1995年10月25日改訂版初版発行[22]、2010年9月30日新装版初版発行[23]
- 有田謙二 著 『チェス・マスター・ブックス 5 やさしい実戦集』 河出書房新社、1976年6月15日初版発行、1996年6月20日改訂版初版発行[24]、2011年1月30日新装版初版発行[25]
脚注・出典
[編集]- ^ a b c d e f g 『定跡と戦い方』、58頁。
- ^ a b c d 『やさしい実戦集』、37頁。
- ^ 厳密には「スペイン定跡」「スペイン布局」「スペイン・ゲーム」「スパニッシュ・ゲーム」に相当する各言語の単語である。
- ^ a b 『定跡と戦い方』、57頁。
- ^ a b 『定跡と戦い方』、63-64頁。
- ^ 『定跡と戦い方』、64頁。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa 『定跡と戦い方』、66頁。
- ^ a b 『定跡と戦い方』、65頁。
- ^ a b 『定跡と戦い方』、67頁。
- ^ 『定跡と戦い方』、65-66頁。
- ^ a b 『定跡と戦い方』、68頁。
- ^ 『定跡と戦い方』、67-68頁。
- ^ 『定跡と戦い方』、68-70頁。
- ^ a b 『定跡と戦い方』、58-59頁。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o 『定跡と戦い方』、59頁。
- ^ a b 『定跡と戦い方』、60-61頁。
- ^ a b c 『定跡と戦い方』、60頁。
- ^ a b c d e f g h i j k l 『定跡と戦い方』、61頁。
- ^ 『定跡と戦い方』、59-60頁。
- ^ 『定跡と戦い方』、61-62頁。
- ^ 『定跡と戦い方』、62-63頁。
- ^ ISBN 978-4-309-72171-2
- ^ ISBN 978-4-309-73141-4
- ^ ISBN 978-4-309-72175-0
- ^ ISBN 978-4-309-73145-2