スケリドテリウム
スケリドテリウム属 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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フランス国立自然史博物館の骨格標本
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分類 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Scelidotherium Owen, 1840 | ||||||||||||||||||||||||||||||
種 | ||||||||||||||||||||||||||||||
スケリドテリウム(Scelidotherium)とは、哺乳類異節目ミロドン科に属する、1500万年前~1万年前(中新世中期~更新世末期)にかけて栄えた地上棲ナマケモノ(ground sloth)の属である[1]。
特徴
[編集]ミロドン科(ミロドンやグロッソテリウムなど)は頑丈な前肢とモグラにも似た後肢を用いて地上での生活を送っていた[1]。体高は110センチメートル、体重は850キログラムと推定されており、ミロドン科では比較的に小柄である[2]。
北米大陸にも達したエレモテリウムなどとは異なり、スケリドテリウムの分布は南米大陸に限定されていた。
植物性で木の葉を主食としていた。
ミロドン科は頑丈な前肢と爪を使って洞窟を掘り、住処とすることで寒さや天敵の影響が限定され育児に適した環境を作り出していたと思われる[1]。
天敵
[編集]トクソドンやマクラウケニア同様、捕食者に襲撃されることは少なくなかった。フォルスラコスや有袋類のティラコスミルス、北米から渡ってきたスミロドンなど、天敵は少なくなかった。しかし、約1500万年の間に時代ごとに天敵が存在したため、事実上天敵は少なかったとも言われている。
絶滅
[編集]地上棲ナマケモノの絶滅には、環境の変化、急速に拡散した人類による影響、またはそれらが多重作用した可能性が指摘されている[1]。
南米は、北米大陸と陸続きになり、スミロドンなどが南米に進出したころまでは、温暖な背丈の高い草原と森林が広がっていたと考えられており、その後も100万年ほどはそれが続いた。しかし、30万年前ころから急速に砂漠化が進み、氷期になると、背丈の低い、乾燥した草原となってしまい、スケリドテリウムが好んで食べた木の葉などは消滅し、数を減らしていった。
また、マクラウケニアやグリプトドンなども、主食は植物だったため、乾燥化により、多くが枯れてしまい、それによってそれらを主な獲物とするスミロドンも勢力を狭めた。南米には、北米の草原に生息していたシカなどが進出し、それらが縄張を広めて餌場を少なくしたことも絶滅の一因である。スミロドンなどの捕食者も、大型で動きの遅いスケリドテリウムやグリプトドンの絶滅により、獲物を捕らえることが非常に難しくなった。
草原の背丈が低いこともあり、獲物にすぐに気づかれてしまうという弱点もあった。砂漠化を生き残ったのはグリプトドンの一種の、小型化したアルマジロや、シカ程度だった。また、氷期を過ぎると再び気候は温暖になり、熱帯雨林の広がる森林へと変化した。現在も発掘作業が進んでおり、パラグアイなどで発見が進んでいる。
脚注
[編集]出典
[編集]- ^ a b c d 福田芳生 (2009). “新・私の古生物誌(5)- 絶滅した巨大地上性ナマケモノの進化と古生態(その2)-”. ケミカルタイムス (関東化学) 213: 12-16 2025年1月4日閲覧。.
- ^ M. Susana Bargo、Sergio F. Vizcaíno、Fernando M. Archuby、R. Ernesto Blanco (1998-09-09). “Limb bone proportions, strength and digging in some Lujanian (Late Pleistocene-Early Holocene) mylodontid ground sloths (Mammalia, Xenarthra)”. Journal of Vertebrate Paleontology (テイラーアンドフランシス) 20 (3): 601-610 2025年1月4日閲覧。.