スキージャンプ週間
スキージャンプ週間(スキージャンプしゅうかん、ドイツ語: Vierschanzentournee (4ジャンプ台ツアー) / 英語: Four Hills Tournament)とは、毎年の年末年始8日間にドイツとオーストリアで集中開催される4試合で争われる、スキージャンプの大会である。
スキージャンプ・ワールドカップよりも古い、1952-1953シーズンから始まる歴史を有している。
日本人では船木和喜が1997-98シーズンに、小林陵侑が2018-19シーズンと2021-22シーズン、2023-2024シーズンに、総合優勝を飾っている。
スキージャンプ週間に開催される4大会はワールドカップを兼ねており、この4大会で得た順位ポイントは、ワールドカップの総合ポイントにも組み込まれる。
開催会場
[編集]日付 | 画像 | 場所 | 会場名 | K点 | サイズ | ヒルレコード |
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12月30日 | オーベルストドルフ ドイツ |
Schattenbergschanze | K-120 | HS 137 | 143.5 m (2003) シグール・ペテルセン ノルウェー | |
1月1日 | ガルミッシュ=パルテンキルヒェン ドイツ |
Große Olympiaschanze | K-125 | HS 142 | 144.0 m (2021) ダヴィド・クバッキ ポーランド | |
1月4日 | インスブルック オーストリア |
ベルクイーゼルシャンツェ | K-120 | HS 130 | 138.0 m (2015) ミヒャエル・ハイボック オーストリア | |
1月6日 | ビショフスホーフェン オーストリア |
Paul-Ausserleitner-Schanze | K-125 | HS 142 | 145.0 m (2019) ダヴィド・クバッキ ポーランド |
歴史
[編集]長年の間、4連勝で総合優勝を成し遂げるジャンパーは存在しなかった。日本人では笠谷幸生が1971-72シーズンのジャンプ週間を3連勝しながら、4戦目を札幌オリンピックの国内選考大会のため欠場しており、また船木和喜も総合優勝した年は3連勝しながら4戦目は8位に沈んでいる。また、冬季五輪開催シーズンのジャンプ週間を制した者はそのシーズンの五輪の個人種目で金メダルを獲得する、というジンクスが1984年のサラエボオリンピックから長く続いた。2001-2002年シーズンのジャンプ週間では、スヴェン・ハンナバルト (ドイツ)が史上初の4連勝を果たした。しかしその年のソルトレークシティオリンピックではノーマルヒルで銀メダル、ラージヒルで4位と後者のジンクスも破れてしまう。が、団体戦ではドイツがフィンランドをわずか0.1点差で制し、金メダルの獲得はかろうじて継続された。
2005-2006年シーズンのジャンプ週間では、史上初めてヤクブ・ヤンダ (チェコ)とヤンネ・アホネン (フィンランド)が同点で総合優勝を分け合った。しかし同シーズンのトリノオリンピックでは両者共に個人・団体とも金メダルの獲得はならなかった。
2017-2018年シーズンのジャンプ週間でカミル・ストッフ (ポーランド)が2連覇を史上2人目の4連勝で達成し、平昌オリンピックの個人ラージヒルでも2大会連続となる金メダルを獲得した(個人ノーマルヒル4位、団体ラージヒル銅メダル)。翌2018-2019年シーズンのジャンプ週間で史上3人目の4連勝を小林陵侑 (日本)が達成した。冬季五輪開催年度以外での4連勝達成は小林が初である。
総合優勝
[編集]ワールドカップの総合優勝は各試合の順位点の合計で争われるのに対し、ジャンプ週間の総合優勝は各試合のジャンプで取った得点、すなわち4試合8本のジャンプの飛距離点と飛型点の総合計で争われる。よって後述「記録」の項にもあるとおり、たとえ7本まで良いジャンプをして3勝していても最後に失敗すると得点が足りずに総合優勝を逃すこともある。
ノックアウトシステム
[編集]この4大会の特殊性の一つは、伝統的な勝敗の決定法である。他の大会で、1本目の上位30選手が2本目に進めるのに対して、ジャンプ週間の大会では1996/97年のシーズンからノックアウト方式を採用している。1本目の参加者50人は2人ずつ25組に分かれ、勝者25人と敗者のうち成績上位5人が2本目に進む。
ジャンプ週間の記録
[編集]- 総合優勝の回数
- 国別の総合優勝の回数
回数 | 国 | 備考 |
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16 | ドイツ | 東ドイツ 11回 西ドイツ 2回 ドイツ統一後 3回 |
フィンランド | ||
15 | オーストリア | |
11 | ノルウェー | |
5 | ポーランド | |
4 | 日本 | |
2 | チェコ | チェコスロバキア 1回 チェコ 1回 |
スロベニア | ||
1 | ソビエト連邦 |
- 優勝回数
- シリーズ4戦全勝
- 2001-2002 スヴェン・ハンナバルト
- 2017-2018 カミル・ストッフ
- 2018-2019 小林陵侑
- シリーズ3勝
- 1953-1954 オーラフ・ビョルンスタット
- 1958-1959 ヘルムート・レクナゲル
- 1959-1960 マックス・ボルカート
- 1962-1963 トラルフ・エンヤン
- 1966-1967 ビョルン・ヴィルコラ
- 1968-1969 ビョルン・ヴィルコラ
- 1970-1971 インゴルフ・モルク (総合優勝ならず)
- 1971-1972 笠谷幸生 (総合優勝ならず)
- 1974-1975 カール・シュナーブル (総合優勝ならず)
- 1975-1976 アントン・インナウアー (総合優勝ならず)
- 1983-1984 イエンス・バイスフロク
- 1987-1988 マッチ・ニッカネン
- 1991-1992 トニ・ニエミネン
- 1997-1998 船木和喜
- 1999-2000 アンドレアス・ビドヘルツル
- 2003-2004 シグール・ペテルセン
- 2004-2005 ヤンネ・アホネン
- 2008-2009 ウォルフガング・ロイツル
- 2015-2016 ペテル・プレヴツ
- 2021-2022 小林陵侑
- 2022-2023 ハルヴォル・アイネル・グラネル
- シリーズ4戦で1勝もせずに総合優勝
- 1954-1955 ヘンモ・シルベノイネン
- 1955-1956 ニコライ・カメンスキー
- 1969-1970 ホルスト・クヴェック (ジャンプ週間での優勝なし)
- 1970-1971 イジー・ラシュカ
- 1971-1972 インゴルフ・モルク
- 1986-1987 エルンスト・フェットーリ
- 1988-1989 リスト・ラーコネン (ジャンプ週間での優勝なし)
- 1998-1999 ヤンネ・アホネン
- 2023-2024 小林陵侑
- 同点総合優勝
歴代優勝者
[編集]- 1952-53は第1戦がガルミッシュ=パルテンキルヒェン、第2戦がオーベルストドルフで行われた。
- 1956-57,1961-62、1962-63は第2戦がインスブルック、第3戦がガルミッシュ=パルテンキルヒェンで行われた。
- 1971-72は第1戦がインスブルック、第3戦がオーベルストドルフで行われた。
- 2007-08,2021-2022はインスブルックが悪天候のため中止となり、ビショフスホーフェンで2戦行われた。