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ジョージ・ヴェイジー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ジョージ・ヴェイジー

ジョージ・ヴェイジー(George S. Vasey、1822年2月28日 - 1893年3月4日)は、イギリス生まれのアメリカ合衆国の植物学者である。アメリカ農務省などで働き、アメリカ自然史博物館の国立標本館(United States National Herbarium)の学芸員も務めた。

略歴

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イングランドノース・ヨークシャースカーブラ近くの、Snaintonに生まれた。家族は、ヴェイジーが1歳の時に、アメリカ合衆国に移民し、ニューヨークのオリスカニーに住んだ。ヴェイジーは12歳で学校をやめ、店員として働いた。

働きながら植物学に興味を持ち、植物学の書物を手書きで写し、植物学を学んだ。博物学者のニースカン(Peter D. Knieskern)と知り合い、さらに多くの植物学者を紹介され、手紙のやりとりをするようになった。地元の多くの植物を集めたが、論文を発表するようになるのは1870年代になってからである。

1846年にバークシャー医学校(Berkshire Medical Institute)を卒業した後、結婚し、イリノイ州のリンウッド(Ringwood)に住んだ。1854年に雑貨店(dry good store)を開いて家族と母親を養った。1858年に、イリノイ自然史協会(Illinois Natural History Society)の創立会員となり、その後、数年間、学会の会誌や、イリノイ州で創刊された週刊新聞、"Prairie Farmer"に記事を書いた。1864年に子供の一人を失い、妻も衰弱したので、リッチビューに転居したが1866年に妻を失った。

しばらく執筆をやめ、その後寡婦と再婚するが生活は苦しかった。1868年にイリノイ自然史協会の会員で探検家のジョン・ウェズリー・パウエルに誘われ、ロッキー山脈やグリーン川とコロラド川周辺の学術探検に参加した。"Entomologist and Botanist" の編集を行った後、イリノイ州立大学自然史博物館の学芸員となった。その後、学芸員を止め、チャールズ・クリストファー・パリーの後をついで、アメリカ農務省の主任植物学者となり、標本館の充実や、フィラデルフィア万国博覧会での森林資源展示など貢献した。

スミソニアン協会が運営する国立標本館の標本、特に草本類を充実させたことで知られ、1889年に名誉学芸員に任じられた。エイサ・グレージョン・トーリーの著作『北アメリカの植物相』の草本類の領域に貢献した。

1864年にイリノイウェズリアン大学から名誉学位を受け、1869年にアメリカ科学振興協会のフェロー、1892年にアメリカ芸術科学アカデミーの会員となった。ジェノヴァの1892年国際植物会議に出席し、副議長を務めた。

息子のGeorge Richard Vaseyも父親の後をついで、アメリカ農務省で働き、植物の収集を行った。

イネ科の植物の属名 VaseyaMuhlenbergia のシノニム)、Vaseyochloaウリ科の植物の属名、Vaseyanthusツツジ科の種名 Rhododendron vaseyi がヴェイジーもしくはその息子に献名されている。

著作

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  • A Descriptive Catalogue of the Native Forest Trees of the United States (Washington, 1876)
  • The Grasses of the United States, a Synopsis of the Tribes, with Descriptions of the Genera (1883)
  • Agricultural Grasses of the United States (1884)
  • A Descriptive Catalogue of the Grasses of the United States (1885)
  • Report of an Investigation of the Grasses of the Arid Districts (2 parts, 1886–87)
  • Grasses of the South (1887)
  • Grasses of the Southwest (1890–91)
  • Grasses of the Pacific Slope (1892–93)

参考文献

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  • Collins, Ed (Winter 2001). “Searching for Doctor Vasey”. Chicago Wilderness Magazine online. 2008年1月1日閲覧。
  • Coville, Frederick Vernon (May 1893). “Death of Dr. George Vasey”. Bulletin of the Torrey Botanical Club (Bulletin of the Torrey Botanical Club, Vol. 20, No. 5) 20 (5): 218–220. JSTOR 2477497. 
  • Canby, Wm. M.; Rose, J. N. (May 1893). “George Vasey: A Biographical Sketch”. Botanical Gazette 18 (5): 178–183. doi:10.1086/326929. JSTOR 2464581.  (with bibliography)
  • Spady, Betty (2004). “George Vasey: An Email Conversation”. Rhododendron and Azalea News 3 (1). オリジナルの2008-03-14時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20080314182332/http://www.lib.virginia.edu/brown/sciscan/rhododendrons/ran0103/people.htm#Vasey 2007年12月31日閲覧。. 
  • Pennington, Susan J. (2004). “The Rebirth of the Contributions Series” (PDF). The Plant Press 7 (4): 1. http://botany.si.edu/pubs/plantpress/vol7no4.pdf 2007年12月31日閲覧。. 
  • Armstrong, Joseph E.. “George S. Vasey Herbarium (ISU)”. 2008年5月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年1月1日閲覧。
  •  Rines, George Edwin, ed. (1920). "Vasey, George" . Encyclopedia Americana (英語).
  • Wilson, J. G.; Fiske, J., eds. (1889). "Vasey, George" . Appletons' Cyclopædia of American Biography (英語). New York: D. Appleton.